今や、建築、機械、電機などあらゆる業界で必要不可欠なツールになっているCADですが、それを扱えるCADオペレーターの職業も人気があります。
CADは専門職として手に職が付き、また一般事務より時給が高めなのが人気の理由なのでしょう。
今回は30代・未経験でCADオペレーターになった3名の現役の方に、実際にどのように未経験からCADオペレーターの仕事に就いたのか、今どんな仕事をしているのか、年収はどれぐらいかを語ってもらいました。
【この記事は以下のような人向けです】
・未経験でCADオペレーターになりたい
・未経験からどんなCADの仕事に就けるのか知りたい
・未経験の仕事の見つけ方を知りたい
・未経験からどのようにスキルアップしていけるのか知りたい
・未経験から苦労するところを知りたい
これから3DCADやBIMを学びたい人向けにスクール(オンライン含む)やE-Learningのおすすめを以下にまとめてありますので是非参考にしていただければと思います。
30代・未経験からAutoCADオペレーターとして図面作成(派遣社員・女性)
そこそこ大手の機械製造会社の設計子会社の派遣社員として働く41歳、女性です。
3年前の38歳の時に、その設計会社に派遣社員として配属され、初めてCADを使いました。
使っているソフトはAutoCAD(2D)です。
最初はCADの使い方に慣れるために画像の整理などをしていましたが、3ヶ月くらいから既存図面のちょっとした修正をする様になりました。
学生時代は普通科高校だったので特に製図関係の勉強はしておりませんが、以前の会社でJW_CAD作成された図面を印刷しており、その関係でCADに興味を持ちました。
配属後1ヶ月位はCADの使い方すらよくわかっていませんでしたが、ずっと使ってるうちに製図速度も増し、簡単な直しなら3時間くらいでできるようになりました。
また、溶接記号やその書き方も徐々に覚えていきました。
年収は200万ほどです。
3年目からリクレーマという大型機械のレイアウト図面作成
1年目は既存図面の修正がメインでしたが、2年目からは、実際の組み立てた機械の不具合部分の修正、改造の図面を製図してきました。
3年目くらいから、各パーツを組み合わせた組立図、仮組図などに取り組んでいます。
機械自体は、リクレーマという建築物くらいある大きな機械なので、部品といっても人が乗るような床だったり歩道の手すりだったり、鉱物を掬うバケットだったりします。
一つのリクレーマの機体に対して全体図、またその各部、更にその中でもパーツを分けて詳細図面を作成…という感じで何段階かに分かれて図面作成しています。
リクレーマ全体をAutoCADで作っていますが、エンジンのような複雑な部品の図面は別の部署で製図していますので、極端に複雑な図面はありません。
3Dデータでの部品間の隙や干渉もチェックしていますが、私は担当していません。
ハローワークや派遣サイトで仕事を探した
以前の仕事で印刷だけでしたが少しCADを触って興味があったので、ハローワークで、システムにCADの文字を入れて検索したり、CADに強そうな派遣会社に登録したりして仕事を探しました。
ハローワークでは検索ワードにCADと入れると、ピンポイントにCADを使う職場が出てきますが、他の施工管理などの仕事も出てくるので要注意です。
私が探した時は条件に合う職場が派遣しかなかったのでそちらに応募しましたが、正社員で募集しているところがあれば、そちらの方が良いかとも思います。
働き方次第なので、自分の要件に合うところを探されると良いと思います。
面接では、実際にCADに触ることはなかったので、そこは未経験でもOKと言われている職場であれば心配することは無いと思います。
気をつけることは他の面接と同じだと思います。ただ、未経験なのに経験があるような言い方はかえって良くないと思います。
未経験だからこそ、志望動機などは以下の記事を見てしっかりと書けるように準備しておきましょう。
30代・未経験からBIM/CIMオペレーターをスタート(派遣社員・女性)
31歳の時に未経験で派遣社員としてCADの仕事をスタートし、その後、2社ほど経由し、今は建設コンサルタント会社に正社員でCIMオペレーターとして働いています。
詳細の経歴は以下になります。
- 空調設備会社で派遣社員として未経験からT-fasを使った現場事務兼CADオペレーター(半年ほどで退社)
- 海洋土木の建設会社で派遣社員としてAutoCAD、Revit 、Navisworks、Civil3d、GEORAMA、c-Groutを使い構造物や地形などのモデリング(CIM)を担当。全てのソフトを未経験からスタートさせ、いきなりの3Dで完全独学でしたが1ヶ月ほどで浅く広く身に付きました。(1年程で退社)
- 海洋土木の会社で契約社員として2社目で使用したソフトに加えて、infraworks、navis+を使い、構造物や地形などのモデリング(CIM)を担当。(5ヶ月程で退社)
- 建設コンサルタント会社で正社員として3社目に加えて3dsmax、twinmotionを使い、構造物や地形などのモデリング(CIM)を担当。(現在、在職中)
年収は250万くらいです。
派遣からキャリアスタート!まずは求人サイト登録から
最初は派遣からキャリアをスタートさせたので、派遣を紹介してくれる、マイナビスタッフ、リクナビ派遣を使いました。
これらに複数登録しておくことで、良い仕事があったら紹介してくれるので、まずは登録しておくと良いでしょう。登録は無料ですし。
派遣会社の面談では自分を誇張せず正直に話すこと。得意な点は自信を持ってアピールすること。
あとは身だしなみも大事かと思います。私以外にも何人か面談したらしいですが他の方より身だしなみが良かったらしいです。(その時は未経験だったのに何故か大手で採用されました。)
正社員の面接では、派遣で経験した会社が大手だったためか採用でした。
人材不足の影響もあったかと思います。
あと面接では資料として、今まで作成したモデルの画像も提示しました。
その時はある建築物のBIMモデルの画像を提示しましたが、BIMモデルは設計フェーズ、あるいは建築プロジェクトの進行状態によって求められる詳細度がレベル分けされています。
そのBIMモデルの詳細度レベルをLOD(Level Of Detail)といい、設計者がプロジェクトを円滑に進められるようになります。
面接の時に提示したBIMモデルは、LOD 400以上のものを見せ、面接官も、「おお〜」となってくれました。
LOD400は詳細度がかなり高いものです。
派遣会社主催の無料CAD講習で勉強
ほとんどのCAD・BIM・CIMのソフトを独学で学びました。
初期にお世話になったのは派遣会社が無料で開催してくれる講習です。
特にCADに特化した派遣会社は登録だけすれば受けられる講習があります。
例えばテンプスタッフでのCAD専門職スキルアップ講座などがあります。
今はCADのノウハウがネットに溢れているのである程度独学が可能だと思います。
そしてCAD関連の有料スクール、講習はとても高価だし初歩的しかやらないのであまりオススメできません。
建設に関する用語や知識は周りの社員さんに教えていただいたり、あとは独学で技術士補(建設)の資格も取得しました。
取得するのにかなり苦労しましたが、第三者が客観的に自分のスキルを理解してくれる資格を持っておくのも転職には有利だと思います。
今はBIM・CIM人材が不足しているのでチャンス
苦労した事は操作方法でよく躓いたことです。
ネットから解決策を見つけだすのも時には大変。でもああでもないこうでもないと思いつく事を片っ端から試していくと道がひらけました。
また未経験から3Dは取っ付きにくいかもしれませんが今はYouTubeなどでたくさん学べます。
今はBIM・CIM人材が不足しているのでチャンスだと思います。
30代・未経験から自動車部品のCADオペレーター(派遣社員・男性)
現在は2DのAutocadと3DのInventor を使用して機械加工の治具図面や自動車部品のモデルを作成しています。
2DCADソフトは自身でフリーソフトをいくつか使用しましたが(Rootpro、頭脳rapid)、ソフトが違えば全く操作性が異なるのであまり複数のソフトを触るのはオススメはしません。
実際のCAD操作性は実務で触るにつれて覚えていきますが、最低限の数学の知識(三角関数など)はあった方が応用が効くのでベターだと思います。
ただCAD機能はとても沢山あるので、基本的な事にはなりますが少しでも効率よく絵を描ける方法はないか色々と自身で調べる事や分からない事は自分で調べたり、分かる人に聞くスタンスはとても大切だと思います。
年収は300万ぐらいです。
35歳でCAD未経験だと転職難しいが、諦めないメンタルが重要
大手転職エージェントdoda を使用して派遣社員として雇って貰いました。客先に常駐しています。
私の場合はCADの経験はありませんでしたが機械加工の経験はあったのでその点は少し有利に働いたかもしれません。
応募時、完全未経験で35歳以上となるとかなり難しいと転職エージェントのアドバイザーの方から言われました。
私自身、数十社の面接に落ちています。ただ諦めずに応募し続けて何とか面接にこぎつけて採用に至りました。
コツは特に思い付きませんが、諦めないメンタルの方が大切かなと思います。
どうしてその職種に応募したのか自分なりに完成度の高い動機を用意することも重要です。
面接までらこぎつけたなら、面接官も人です。真剣に自分の思いを伝える事で採用に繋がると思います。
30代後半のCAD習得はとにかく人一倍努力すること
わからない事は聞くか自身で調べる事が大切です。分からない事をそのままにしておかず、常に貪欲に学ぼうとする姿勢がスキルアップに繋がります。
未経験で周りよりも歳をとっている分、人並みの努力では不十分であり、人の2倍以上の努力が私の場合は必要でした。
頑張っている人間は周りも分かりますし、どれだけ自己犠牲を払えるかですね。
帰宅してからもその日の学んだ事を何度も何度も復習したり調べたりしていました。
30歳以上でCAD未経験なら覚悟を持つ必要あり
年齢はダイレクトに響きます。もしあなたが30歳以上で未経験ならかなりの覚悟を持つ必要があります。
20代以下の方なら、採用自体はそれ程狭き門ではありませんが、未経験な分、入社後やはりそれ相応の努力は必要になってくると思います。
どれだけ自分の仕事の為に自分の時間を避けるか…これが私はキーポイントになると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
30代・未経験でも立派にCADオペレーターなれるのが分かると思います。
CADの仕事の中にも業界や取り扱う商品、部品によって難易度があるので、未経験時はいきなり難易度の高い仕事につくのではなく、CADの仕事を派遣社員として1年ほど経験し、徐々に会社や仕事を変わり経験を積むのがキャリアアップのコツのような気がします。
今はフリーで使えるCADも非常に増えたので、まずはご自身で試してみるのも良いでしょう。
会社を渡り歩くのは苦労もあるかもしれませんが、人生100年時代にとっては30代はまだまだ若いです。
その若いうちに色々とチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
その他、以下の記事も参考にしていただければと思います。
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