モノづくりに欠かせない存在になっているCADですが、建築、機械、電気など職種別に様々な種類があります。
2次元CADから3次元CAD、建築ではBIM(Building information modeling)、土木ではCIM(Construction Information Modeling)など新しい技術も登場しています。
このようにたくさんの種類がありますが、これをカバーするようにCADやBIMの資格も色々とあります。
よくCADやBIMの資格は意味があるの?という質問が多いので、本記事では、その実態やおすすめの資格について業種別にご紹介したいと思います。
たくさんあるCADの資格に驚かれるかもしれませんが、自分にあった資格を見つけて、転職時にアピールしてみましょう。
CADの種類
CADには職種別や2次元、3次元など様々な種類があります。
2次元でメジャーだと、AutoCAD、JW_CADです。
3次元だと、機械系はCATIA、Creo、NX、Solidworks、Fusion360、建築系だと、Autocad、Vectorworks、Sketchup、Rhinoceroがメジャーです。
また建築のBIMだとレビットやアーキキャドがメジャーでしょう。
これに対して資格は、CADを作っているメーカーがCAD毎に資格を作っている場合や、営利団体などがソフトは違っても汎用的な資格を2次元と3次元C、BIMというカテゴリー別に作ったりしています。
CADやBIMの資格取得は意味がない?メリットは?
資格について、必ず言われるのが取得して意味があるか?給料が上がるか?転職時に有利か?メリットがあるのか?というところです。
私は資格取得は意味があると思っています。
ただ建築や機械、インテリアなど業種別にたくさんあるCADやBIMの資格なので、どんな資格なのか知った上で取得するべきですし、取得してどういったメリットがあるのか知りたいですよね?
資格取得するのにも時間やお金もかかったりもするので、メリットを知ったうえでスタートを切りたいものです。
私の周りの場合、資格にもよりますが、CADやBIMの資格取得により総じて以下のようなメリットがあったという声があります。
- 資格手当があり給料アップした
- 転職の時にアピールになった
- 昇格の要件になっている
- 他人に自分の技術力を客観的に伝えることができる
- 資格を取得することで業界のスキルを体系的に知ることができた
- 資格つながりで人脈が広がった
- 名刺に記載できる資格もあり対外的なアピールになった
当たり前かもしれませんが、CADオペレーターはCADの操作ができないことには、3Dモデルや図面を作ることもできませんし、講師として人に教えることもできないので、その操作を習得する資格が必然的に多くなります。
CADオペレーターが転職する際は、CADスキルが最も重要視されます。
特に最新技術である3DCADやBIMなどの資格を持っていると、採用側もその人の技術力を客観的に知ることができるので、転職する時に効果大なので経歴書等で必ずアピールするようにしましょう。
それでは、次に具体的にどんな資格があるのか職種などに分類しながらおすすめをご紹介します。
建築系CADオペレーターにオススメの資格
CADオペレーター人口の中で1、2を争う業種は建築系ではないでしょうか?
この建築系のCAD資格だけでもたくさんのものがあります。
一つずつ見ていきましょう。
2次元CAD利用技術者試験
どんな資格か?
2次元CAD利用技術試験は、一般社団法人コンピュータ教育振興協会が運営する資格です。
3次元CADが主流になりつつありますが、会社によってはまだ2次元CADが主流なところもあります。
この2次元CAD利用技術試験は、製図スキルをもとに2次元CADを使って効率的に作図をしていく技能を身に付けるための資格です。
ここでは建築版ですが、機械版もあり、後で紹介します。
資格の種類
2次元CAD利用技術試験には以下の3種類があり、難易度に違いがあります。
- 2次元CAD利用技術者試験1級(建築・トレース)⇒1年以上の経験者を想定
- 2次元CAD利用技術者試験2級⇒1級受験の必須条件
- 2次元CAD利用技術者試験基礎⇒3カ月程度の経験者を想定
Space Designer検定試験
どんな資格か?
Space Designer検定試験も2次元CAD利用技術試験同様に、一般社団法人コンピュータ教育振興協会が運営する資格です。
建築図面を理解したうえで、CAD、BIM、CGソフトを使ってCGパースを作成できる人材を評価、認定するための資格です。
これを取得することでCGパースを使ったプロフェッショナルになれます。
資格の種類
以下の2種類で難易度に違いがあり、2級は基礎課題の総合評価で70点以上、1級は基礎課題の総合評価で70点以上、応用課題の総合評価で80点以上で合格です。
もし1級で応用課題で不合格でも、基礎課題が70点以上だと2級を取得できます。
- Space Designer検定試験1級
- Space Designer検定試験2級
建築CAD検定試験
どんな資格か?
建築CAD検定試験は、一般社団法人全国建築CAD連盟が運営しています。
建築の図面やCADを使って建築図面を正しくトレースする技能を測れるCAD技能だけでなく、真の実務遂行能力を問われるものとなっています。
1993年に誕生し、受験者数は延べ13万人を超え、学校、専門学校、職業訓練校、スクールなど全国700校以上の教育機関で広く採用されています。
資格の種類
以下の4種類があり、難易度に違いがあります。
- 建築CAD検定試験準1級
- 建築CAD検定試験2級
- 建築CAD検定試験3級
- 建築CAD検定試験4級
建築CAD検定試験を受けるなら個人レッスンの資格対策講座があるWinスクールがおすすめです。
Vectorworks操作技能認定試験
どんな資格か?
Vectorworks操作技能認定試験は、VectorworksというCADの国内総販売元であるエーアンドエー株式会社が運営しています。
試験はインターネットで受験することができ、合否も試験終了後に即座に分かります。
資格の種類
種類は以下の3種類があり、Vectorworksが持つ2次元CAD、3次元CADおよびレンダリングの技能について認定していくれる試験になっています。
- Vectorworks操作技能認定試験2D
- Vectorworks操作技能認定試験3D
- Vectorworks操作技能認定試験レンダリング
CAD実務キャリア認定制度
どんな資格か?
CAD実務キャリア認定制度は、NPO法人日本学び協会のCAD検定部会が運営しています。
CADの実務遂行上必要な技術や技能、モラルを判定してくれますが、TCADsという試験が他と違うのは合否判定というのではなく、スコア制で技能を判定する全国初の試験になっている点です。
建築向け以外にも機械系のTCADsもあります。
資格の種類
以下の4種類のほかにTCADsは機械系のものもあり、あとでご紹介します。
- TCADs(建築)
- 3次元CADトレーサー認定試験
- 3次元CADアドミニストレーター認定試験
- CADアドミニストレーター認定試
CADデザインマスター認定試験(建築)
どんな資格か?
CADデザインマスター認定試験は、日本デザインプランナー協会が運営しています。
AutoCADやJW_CADといった2次元CADを使って作図していく技能を認定しれくれるものとなります。
資格の種類
種類は1種類ですが、建築、機械、設備、電気、土木とあらゆる職種を想定した試験になっています。
建築系BIMオペレーターにオススメの資格
今後ニーズが高まることが予想されているBIMの資格になります。
これから普及していくだけに、資格取得は転職の武器になるはずです。
とにかく短期間で人気BIMソフトのRevitやArchiCAD、Vectorworksを学びたい人は、Winスクールがおすすめです。
BIMプロフェッショナル認証
一般社団法人buildingSMART Japanが運営する資格で2021年6月より開始しています。
buildingSMART Internationalが実施してきた「プロフェッショナル認定制度」という現在世界8カ国(オーストリア、中国、ドイツ、イタリア、ノルウェー、ロシア、スペイン、スイス)で実施され、80プロバイダー、約3000人の認定者を出している認定制度により国際的に標準化されたBIMスキルによって、個人のBIMスキルを判定しようというものです。
AutoCAD Revit Architecture ユーザー試験
Revit Architecture ユーザー試験はRevitの販売元であるAutodesk社が運営する試験です。
試験内容は、Revitの使い方や応用などを問う試験で、筆記と実技から構成されています。
出題数は30問で、試験時間は約50分となっています。
AutoCAD Revit Architecture ユーザー試験
ARCHICAD オンライン認定試験
ARCHICAD オンライン認定試験はArchicadの販売元であるGRAPHISOFT社が運営する試験です。
試験内容は、試験の対象者は、Archicad使用歴が1年以上のユーザで、出題数は30問で、試験時間は約120分となっています。
BIM利用者技術者試験
BIM利用者技術者試験は23年度開始を目標に現在、進められています。
本記事でもご紹介しているCAD利用者技術試験を運営している一般社団法人コンピュータ教育振興協会がBIM利用者技術者試験も進めています。
資格級は1級、準1級、2級と3段階に分かれおり、実技試験もあります。
使用するBIMソフトはArchiCAD、Revit/LT、VectorWorksが考えられているようで、現在トライアルが行われています。
BIM利用者技術者試験のトライアルについては以下、一般社団法人コンピュータ教育振興協会のホームページに掲載されているので確認してみましょう。
機械系CADオペレーターにオススメの資格
2次元CAD利用技術者試験
2次元CAD利用技術試験は、一般社団法人コンピュータ教育振興協会が運営する資格です。
どんな資格か?
先ほど、建築版の2次元CAD利用技術試験を紹介しましたが、その機械版になります。
建築版同様に、製図スキルをもとに2次元CADを使って効率的に作図をしていく技能を身に付けるための資格です。
資格の種類
こちらも建築版同様に以下の3種類があり、難易度に違いがあります。
- 1級(機械・トレース)⇒1年以上の経験者を想定
- 2級⇒1級受験の必須条件
- 基礎⇒3カ月程度の経験者を想定
3次元CAD利用技術者試験
どんな資格か?
3次元CAD利用技術者試験は、一般社団法人コンピュータ教育振興協会が運営する資格です。
基本的には自動車や機械系において3次元CADを使ってモデリングできる人材を評価、認定するための資格です。
教育訓練給付金制度の対象資格です。
資格の種類
以下の3種類があり、難易度に違いがあります。
- 1級⇒半年~1年の経験者を想定
- 準1級⇒
- 2級⇒CADオペレーターを目指す人を想定し、準1級、1級受験の必須条件
CAD利用技術者試験の取得に向けて勉強するならKenスクール、ヒューマンアカデミーがおすすめです。
3次元設計能力検定試験
どんな資格か?
特定非営利活動法人 3次元設計能力検定協会が運営する資格になります。
これは機械系の資格で、3次元CADの操作スキルや機械設計の基礎能力を客観的に判定できる試験になっています。
資格の種類
以下の3種類があり、それぞれ想定する受験者が異なります。
- 3次元CADコース⇒3次元CADのオペレータ向け
- 図面作成コース⇒3次元CADを使った製図技術者向け
- プロ設計者コース⇒3次元設計技術者向け
その他の3DCADに特化した資格については以下の記事も参考にしてみてください。
CAD実務キャリア認定制度
どんな資格か?
CAD実務キャリア認定制度は、NPO法人日本学び協会のCAD検定部会が運営しています。
CADの実務遂行上必要な技術や技能、モラルを判定してくれますが、TCADsという試験が他と違うのは合否判定というのではなく、スコア制で技能を判定する全国初の試験になっている点です。
建築向け以外にも機械系のTCADsもあります。
資格の種類
以下の4種類のほかに上記でご紹介したとおりTCADsは建築系のものもあります。
- TCADs(機械)
- 3次元CADトレーサー認定試験
- 3次元CADアドミニストレーター認定試験
- CADアドミニストレーター認定試験
機械・プラント製図技能士
どんな資格か?
中央職業能力開発協会が運営する資格です。
国家資格で、機械系やプラント系の図面を作成する技能を認定してくれます。
資格の種類
以下の3種類あり、難易度に違いがあります。
- 機械製図手書き作業(1級、2級、3級)
- 機械製図CAD作業(1級、2級、3級)
- プラント配管製図作業(1級、2級)
CADトレース技能審査の廃止理由は?
CADトレース技能審査は、機械・プラント製図技能士を提供していた中央職業能力開発協会が運営していましたが、平成29年に廃止になっています。
廃止の理由は、公式ホームページによると受験者数の減少とのことです。
ただ、これからはCADも2次元から3次元が主流になってきており、建築業界ではBIM/CIMなども出てきています。
なので、単純にCADでトレースするだけのスキルは淘汰されていく方向だと思うので、受験者数が減っているというのは需要が減っているとも見れるので、資格の廃止は必然だったのではないでしょうか?
電気系CADオペレーターにオススメの資格
電気CAD資格
どんな資格か?
電気CAD資格認定事務局が提供する電気系CADに特化した資格です。
資格の種類
以下の3種類があり、難易度に違いがあります。
一番簡単な電気CADオペレーターから電気CADインストラクターでは、人に教えたり、電気CADを販売できるスキルが求められます。
- 電気CADオペレーター
- 電気CADエキスパート
- 電気CADインストラクター
職種共通でCADオペレーターにオススメの資格
AutoCADユーザーオートデスク認定資格プログラム
どんな資格か?
CAD大手メーカーであるAutoDesk社が提供するAutoDesk社の各種CAD向けの資格になります。
全世界で20万人以上が取得しています。
資格の種類
種類は以下の4つがあり、プロフェッショナルが付いているものは中・上級者向けになります。
これにプラスしてBIMソフトであるAutoDeskレビットの資格もあります。
- AutoCADユーザー
- Fusion 360ユーザー
- AutoCADプロフェッショナル
- Autodesk Inventorプロフェッショナル
CADプログラマーにオススメの資格
CADにもプログラマーが必要なのはご存知でしょうか?
CAD操作は繰り返しのものになるので、そういった部分をプログラミングを使って自動化してしまうというニーズがあります。
一般的にCAD操作を自動化する際は以下のプログラミング言語が使われることが多いと思いますので、それに関する資格を取得するのがおススメです。
- Python
- Rubby
- JavaScript
CADコンサルタントにオススメの資格
技術士・技術士補
CADのオペレーターにとどまらず、業務全体を改革、改善していくコンサルタントも不可欠です。
コンサルタントは企業が抱える課題、問題を浮き彫りにし、ソリューションを提供する立場にあります。
そういった職種向けの資格は中々ないのですが、唯一、国家資格である技術士がそれに該当します。
技術士は建築、土木、機械、電気など様々な部門があり、CADに特化した資格ではありませんが、かなり難易度も高いです。
格好良く言うと、弁護士の技術版が技術士に相当します。
建築、土木などは技術士を持っていると行政からの仕事を取りやすいなどもあり、保有を推奨している会社も多いです。
3Dプリンター活用技術検定試験
3Dプリンター活用技術検定試験は、一般社団法人コンピュータ教育振興協会が運営する資格です。
3Dプリンターの造形方法、材料、後工程、CADデータの取り扱いなど3Dプリンターの活用する人を評価、認定するための国内唯一の資格です。
CAD・BIMオペレーター資格におすすめのスクール
簡単なものですと、本やネット、参考書を使って独学が可能でしょう。
ただ難易度が上がってくると独学は難しいです。
例えば技術士は、独学で取得できるものでもないので、受験仲間が必要です。
受験仲間がいることで切磋琢磨できますし、勉強方法などもシェアすることもできるでしょう。
そういった意味で独学ではなくスクールなどに通うのも選択肢の一つだと思っています。
もしくは今は無料で使えるCADがたくさんあるので、それをパソコンにインストールして練習するという方法もあります。
思った以上に簡単に3DCADを自宅で試すことができますよ!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、CADの資格を体系的にご紹介しました。
こうやってみるといかにCADの資格が多いかが分かります。
ただ時代に合わせて求められるスキルも変わってくるので、今後これらの資格が内容変更や廃止されていくことも考えられます。
そのあたりはエンジニアとして常に業界の動向に目を光らせ、どういった人材が今後求められかを自問自答しておく必要があると思います。
コメント