新聞の分譲マンションのチラシや、建築現場に掲示されているイメージ図などで、私たちは幾度も建築CGパースを目にすることがあります。
リアル過ぎずに、ライティングなどの演出効果により創られた建築CGパースは、単なる完成予想図ではなく、どこか非現実的な雰囲気がミックスされていて、とても魅力的に映ります。
「CGパースを作るのはすごく憧れるけど、技術を習得するのは難しそうだし、どのソフトを始めに選んだらよいか分からない」という悩みや不安を持つ方にとっては、CGパースを制作するソフトの購入は敷居が高いものに感じると思われます。
なぜなら、お小遣いで簡単に購入できる価格でないものが多いからです。
せっかく購入してもうまく使いこなせるようになるのだろうか?何かあった時にサポートしてもらえるのだろうか?自分に合わなかったら宝の持ち腐れになってしまうなどの懸念を抱いてしまうのではないでしょうか?
建築CGパースを制作するソフトは、無料で使用できるものから非常に高価なものまで数多くあります。
手間はかかるけど高品質でフォトリアルな制作物を求めるのか、簡単な操作で瞬時にパースを生成してお客様へのプレゼン用に用いるのか、使用用途によって選ぶソフトは決まってきます。
私の場合は、フォトリアルな建築パースを制作できるものを求めていたので、3DCGソフトを基準に検討しました。
いろいろ考えた上で、私が選んだのはBlenderというオープンソースの統合型3DCGソフトでした。
本記事では、よく使用されている3DCGソフトおよび3DCADソフトをピックアップし、それぞれの使い勝手や特徴について紹介します。
また、数ある建築CGパース作成ソフトの中で、なぜ私がBlenderを選んだのか、その経緯と理由について執筆して参ります。
CGパースソフトってたくさんあるけど、どれを選べばいいの?
そういった方のために、今回はCGパースソフト11個の特徴を比較し、私が建築パース用にBlenderを選んだ理由などもお伝えします!
建築CGパース作成ソフト11個の特徴を比較
以下の11種類の3Dソフトをピックアップし、それぞれの特徴を比較します。
ソフト名 | 開発元 | 購入費用 | 評価 | 特徴 |
3ds Max | Autodesk | 【サブスクリプション】 858,000円(3年)286,000円(1年)36,300円(1ヶ月) | 普及度 ★★★★☆ 美しさ ★★★★★ 使いやすさ★★★★☆ ノウハウ充実度★★★★☆ | 建築業界やゲーム業界で使用される ことが多いハイエンドクラスの 統合型3DCGソフト。 細部に至るまでの高品質なモデリングと レンダリングにより、フォトリアルな 建築ビジュアライゼーションを実現。 |
ライノセラス | Robert McNeel & Associates | 【永続ライセンス】 Rhino8 商用版:187,000円 Rhino8 アップグレード商用版:110,000円 | 普及度 ★★★☆☆ 美しさ ★★★★☆ 使いやすさ★★★☆☆ ノウハウ充実度★★★★☆ | 建築業界や製造業でよく利用される 3DCADソフトウェア。 建築モデリングに特化したプラグイン であるVisualARO」を導入することに より、効率的なモデリングができる。 |
Vectorworks | Vectorworks | 【サブスクリプション(1年間)】 Vectorworks architect:245,300円 【永続ライセンス】 Vectorworks architect2023:490,600円 | 普及度 ★★★★☆ 美しさ ★★★☆☆ 使いやすさ★★★☆☆ ノウハウ充実度★★★★☆ | 建築設計や内装、ディスプレイデザイン に対応の汎用CAD・BIMソフト。 2次元の製図と3次元モデリングを 連動しながら作業することができる。 BIM・インテリア設計支援機能や 拡張機能、建築向けの豊富な データライブラリを使用できる。 |
Shade3D | フォーラムエイト | 【サブスプリクション(Shade 3D ver.24):1年間】 Basic:21,780円 Standard :52,800円 Professional:107,800円 | 普及度 ★★★☆☆ 美しさ ★★★★☆ 使いやすさ★★★☆☆ ノウハウ充実度★★★☆☆ | 建築パースやインテリアデザインなどで 使われている統合型3DCGソフト。 モデリングにはベジェ曲線を採り入れて おり、ベジェ曲線から立体形状を 入力することができる自由曲面による モデリングを主体としている。 |
Cinema4D | Maxon Computer | 【サブスクリプション】 Cinema 4d+RED SHIFT:134,200円(1年)、17,050円(1ヶ月) MAXON ONE:178,200円(1年)22,500円(1ヶ月) | 普及度 ★★★☆☆ 美しさ ★★★★★ 使いやすさ★★★★☆ ノウハウ充実度★★★★☆ | 価格とクオリティのバランスに優れた 統合型3DCGソフト。ベクターワークス と連携ができる他、植物や人物など 素材データも豊富で建築業界でも 使われている。チュートリアルも豊富に 用意されているので、3DCG初心者 で扱いやすい。 |
SketchUP | Trimble | SketchUp Free:無料 【サブスプリクション:1年間】 SketchUp Pro:73,260円SketchUp Studio:149,380円 | 普及度 ★★★★★ 美しさ ★★★☆☆ 使いやすさ★★★★☆ ノウハウ充実度★★★★★ | 建築パースやインテリアデザインなどで 使われている統合型3DCGソフト。 プッシュ・プルによる直感的な操作で モデリングするのが特徴。 有償版はデスクトップ版とWeb版の 両方を使用できる。 |
walk in home | DTS | 【永続ライセンス】 Walk in home Plus スタンダード〈S〉:880,000円 Walk in home Plus プロフェッショナル (P):1,100,000円 | 普及度 ★★☆☆☆ 美しさ ★★★★☆ 使いやすさ★★★★★ ノウハウ充実度★★★☆☆ | 間取りを入力するだけで、平面図や 立面図、高画質CGパースまで生成 できる3次元cadソフト。 プロフェッショナル(P)では豊富な プレゼン機能に加えて、建築図面作成 や法規チェック機能も有している。 |
ARCHITREND ZERO | 福井コンピュータホールディングス | 基本プログラム:990,000円 ※3D外観パースはオプションプログラム(別途料金) | 普及度 ★★★★☆ 美しさ ★★★★☆ 使いやすさ★★★★★ ノウハウ充実度★★★☆☆ | 間取り入力から即座に3次元モデルを 生成できる建築専用3DCADソフト。 プレゼン機能が多彩で、フォトリアルな 3Dパースやパノラマパースなどを生成 できる他、VRにも対応。 |
A’s (エース) | CPU | 基本システム料:550,000円 ※アプリケーション費、サポート会員費(1年目のみ必須)は別料金 | 普及度 ★★☆☆☆ 美しさ ★★★☆☆ 使いやすさ★★★★★ ノウハウ充実度★★★☆☆ | 間取り入力から即座に2D図面及び 3Dパースの作成、プレゼンボード作成 まで一貫して行える建築専用3DCAD ソフト。プレゼン機能が充実しており、 ウォークスルー機能や換気・採光 シミュレーション機能も利用できる。 |
Maya | Autodesk | 【サブスクリプション】 858,000円(3年) 286,000円(1年) 36,300円(1ヶ月) | 普及度 ★★★★★ 美しさ ★★★★☆ 使いやすさ★★★☆☆ ノウハウ充実度★★★☆☆ | VFX映画やアニメーション作品を制作 するために使われることが多いハイエンド クラスの統合型3DCGソフト。 プロフェッショナル向けのソフトであり、 3DCG制作において、トップシェアを占めている |
Blender | Blender Foundation | 無料 | 普及度 ★★★☆☆ 美しさ ★★★★☆ 使いやすさ★★★☆☆ ノウハウ充実度★★★★☆ | 無料で使用できるオープンソースの統合 型3DCGソフト。3ds MaxやMayaなど メジャーなソフトにも劣らない高機能を 有し、3Dモデリングからアニメーション、 ライティング、レンダリングまでBlender 一本で完結することができる。 |
次にそれぞれのCGパースソフトの概要を見ていきましょう。
3ds Max
アメリカのAutodesk社によるハイエンドクラスの統合型3DCGソフトウェアです。
3Dモデリングからアニメーション、ライティング、レンダリングまで3ds Max一本で完結できます。
圧倒的なクオリティが特徴で、建築業界やアニメーション、ゲーム業界で使用されることが多く、隈研吾建築都市設計事務所でも使用されていることで知られています。
建築物を制作するためのチュートリアルも豊富に用意されており、未経験の方でも体系的にCGパースの作り方を学ぶことができます。
Rhinoceros(ライノセラス)
アメリカのRobert McNeel & Associates社による3DCADソフトウェアです。
曲面でモデリングするNURBSを採り入れており、製造業界や建築業界などで幅広く使用されています。
Rhinoceros用の有償プラグインである「VisualARQ」を利用すれば、建築モデリングや編集が手軽にできます。
基本操作を学ぶことができるチュートリアルも豊富に用意されており、建築モデリングの独学用webサイトや建築モデリングを解説している書籍も揃っているので、未経験の方でも体系的にCGパースの作り方を学ぶことができます。
ライノセラスといえば、グラスホッパーとの違いが気になる人も多いかと思います。
そういった方には以下の記事も参考にして頂ければと思います。
Vectorworks(ベクターワークス)
VectorworksはアメリカのVectorworks社による建築業界向けの汎用CADソフトウェアです。
2DCADによる建築設計から3DCAD、3Dモデリング、レンダリング、プレゼンボード、数量拾いや表計算、施工図までVectorworks一本で完結することができ、汎用性が非常に高いことが特徴です。
建築設計とBIMにも対応しているVectorworks Architectには、通常の機能に加えて建築設計や内装設計についての専門機能が搭載されており、豊富なデータライブラリも使用できるので、建築業界において広く普及しています。
学習環境についても、日本の販売代理店であるA&A社から作図工程を取り纏めたマニュアルが用意されており、YouTubeなどでもチュートリアル動画がたくさんアップされているので、未経験の方でも比較的扱いやすいソフトウェアです。
ベクターワークスを使った副業やフリーランス事例は以下の記事も参考にして頂ければと思います。
Shade3D
Shade3Dはフォーラムエイト社による国産の統合型3DCGソフトウェアです。
3Dモデリングからアニメーション、ライティング、レンダリングまでShade3D一本で完結できます。
さまざまなレンダリング形式を有しており、フォトリアルなパースやイラスト風のパース作成もできます。
Shade3Dの公式ページには、基本操作が学べるチュートリアルや公式ガイドブックも出版されていますが、体系的に建築パースの制作を学べる教材が充実していないのと、簡単に扱えるソフトではない分、未経験の方には習得するのが難しく感じるかもしれません。
Shade3Dを使った副業事例は以下の記事も参考にして頂ければと思います。
Cinema4D
ドイツのMaxon Computer社による統合型3DCGソフトウェアです。
3Dモデリングからアニメーション、ライティング、レンダリングまでCinema4D一本で完結できます。
映像制作やゲーム制作において使用されることが多く、モーショングラフィックスに強みがある。
建築パース制作においても、高品質なビジュアライゼーションを実現でき、ベクターワークスとの連携ができることや建築パースに欠かせない素材データも豊富なので、建築業界でも使われている。
操作性も良く、海外サイトを含むチュートリアル動画も充実しているので、未経験の方でも比較的扱いやすいソフトウェアです。
SketchUp(スケッチアップ)
アメリカのTrimble社による建設に特化した統合型3DCGソフトウェアです。
プッシュ・プルによる直感的で感覚的な操作で簡単にモデリングできるのが特徴で、建築業界やインテリア業界にて広く普及しています。
無料版と有料版があり、無料版はオンライン使用のみの利用や、その他いろいろな制限がありますが、基本的なモデリングだけを行うのであれば無料版でも機能が充実しているので、未経験の方にはお試しで使ってみて使い勝手を確認できます。
オンラインチュートリアルも充実しており、有償ではあるがフォトリアルな建築パースを制作する手法を解説しているオンラインチュートリアルもあるので、手軽に高品質な建築パースを制作したい方にはお勧めのソフトウェアである。
Walk in home
DTS社による住空間のプラン立案や高品質な3Dパースを手軽に作成できる国産の3次元cadソフトウェアです。
間取りを入力するだけで、平面図や立面図などの意匠図面、CGパースまで簡単に生成できるのが特徴です。
さらに、プロフェッショナル版では、求積図や構造図、軸組図などの設計図の作図や、道路斜線や北側斜線などの法規チェック、採光・換気チェックなど確認申請の設計図書を作図するのに便利な機能が付いています。
基本的な操作についてのチュートリアルやマニュアルも充実しており、販売代理店による手厚いサポートや有料講習などでスキルを習得できる環境は整っているので、未経験の方でも安心して扱えるソフトウェアです。
ウォークインホームの詳細については以下の記事も参考にして頂ければと思います。
ARCHITREND ZERO
福井コンピュータホールディングス社による国産の建築専用3DCADです。
間取りプランから柱・壁の寸法などの情報や部屋ごとの床面積情報が得られ、即座に3次元モデルを生成できるのが特徴です。
また、耐震性や外皮性能、構造性能、直下率、収納率などをチェックでき、図面の整合性や確認申請に不備がないかのチェックまでできるので、プランニングサポートだけでなく、実施設計や申請にも役立てることができます。
プレゼン機能についても多彩で、フォトリアルな3Dパースやパノラマパース、線画パース、断面パースなどを生成できる他、VRにも対応しており、作成したプランを体感できます。
学習環境については、チュートリアル動画は少ないものの、マニュアルが充実しており、電話やリモートのサポートも受けられるので、未経験の方でも安心して扱えるソフトウェアです。
A’s(エース)
CPU社による2D図面および3Dパースの作成、プレゼンボード作成まで一貫して行える建築専用3DCADソフトです。
間取りプランを入力するとすぐに3Dパースに反映され、区画ごとに部屋名を指定すれば壁、床、天井が自動的に作られるなどの手軽さが特徴です。
また入力したプランは1/50,1/100図面に切り替えられるので、確認申請業務にも役立てることができます。
プレゼン機能も充実しており、ソフトに搭載されているメーカー商品を指定し、貼り付けたい箇所をクリックするだけで瞬時にパースに反映されます。
ウォークスルー機能や簡易通風シミュレーションや採光シミュレーションも付いており、手軽に扱うことができるだけでなく、営業支援ツールとしての強みも持ち合わせています。
サポート体制も手厚く、電話サポートやWebサポートの他に、オンラインの画面共有によるリモートサポートにも対応しているので、未経験の方でも扱いやすいソフトウェアです。
Maya
アメリカのAutodesk社によるハイエンドクラスの統合型3DCGソフトです。
映像制作やゲーム開発などで世界的に使われており、VFXにおいて圧倒的な実績があります。
機能拡張によりその性能を存分に生かすことができるのですが、それにはプログラミングの知識が必要となり、未経験の方には難しく感じるかもしれません。
世界的にトップシェアを占めるソフトウェアですので、操作に関するマニュアルやチュートリアルなど情報量は多いのですが、建築に関する操作を解説しているものは少なく、未経験の方が建築物を制作するにはハードルが高いかもしれません。
Mayaを使った副業やフリーランス事例は以下の記事も参考にして頂ければと思います。
Blender
オランダの非営利団体であるBlender Foundationによるオープンソースの統合型3DCGソフトウェアです。
3Dモデリングからアニメーション、ライティング、レンダリングまでBlender一本で完結できます。
3ds MaxやMayaなどメジャーなソフトにも劣らない高機能を有していますが、機能が多すぎて未経験の方が扱うには難しいと言われています。
建築分野で扱うには、建築に特化した操作方法を学ぶことができるオンラインチュートリアルなどで学ぶことで、その機能を十分に生かすことができるようになります。
Blenderは高品質なレンダリングができるCyclesというレンダラーを標準搭載しており、ライティングやマテリアル設定などのコツを掴めばフォトリアルな建築パースを制作することも可能です。
海外サイトでは本物と見間違えるようなフォトリアルな作品が多数紹介されており、無料で使用できて高品質な機能を有する3DCGソフトウェアはBlenderしかありません。
3DCGの入門ソフトとして大変お勧めです。
以下の記事に建築パースを作るための基本操作とチュートリアルを紹介していますので、参考にして頂ければと思います。
建築3Dパース作成ソフトにBlenderを選んだ理由
ここからは上記のようなソフトを比較しつつ、建築3Dパース作成に私がBlenderを選んだ理由についてお伝えしたいと思います。
結論から言うと、私がBlenderを選んだ理由は以下5つでした。
- 無料で手軽に3DCGを試してみたかった
- 3DCGの基本を学べる
- 高品質な建築パースを制作できる
- 副業にチャレンジしてみたかった
- Blenderの建築パース作品事例もSNS上で確認できた
きっかけは社内でのプレゼン力UPだった
私は建築会社に所属しており、工事管理だけでなく新築工事のプランニングの立案にも関わっております。
プランニングの初期段階においては、計画地の敷地形状と大きさ、法規や条例をクリアするプランを線画程度で配置してみて、社内の打合せ時にプレゼンします。
その際、2DCADで作成した図面ではプレゼン力が乏しく、せっかく作成しても思うような評価や反応が得られないこともありました。
社内には3Dパースを制作するソフトもありませんし、導入するのにも費用がかかる上に、導入してもソフトを扱えずに宝の持ち腐れになるのではないかという懸念も根強くあり、自社で魅力あるパースを作成するにはかなりハードルが高いなと感じていました。
3Dソフトは2DCADより操作が難しそうという先入観私は持っていて、それまでほとんど調べてみたこともなかったのですが、自社で3Dパースを制作できるようになれば、外部に出すより仕上りがスピーディーに出来上がるし、費用も抑えられるので、十分にメリットがあるとの思いがありました。
そこで、いろいろなソフトウェアをネットで検索してみて、3Dパースのサンプルもチェックするようにし、比較検討してみました。
その中で、私に最も適しているソフトウェアだと思ったのがBlenderでした。
数多くある3Dソフトの中でBlenderを導入することを決めたのは、以下に記す理由によります。
無料で手軽に3DCGを試してみたかった
上述したように、いきなり社内に高価な3Dソフトウェアを導入しようとしても、3Dパース制作の経験がない私の意見が受け入れてもらえる可能性がなく、外部のパース制作業者に依頼した方がベターという結論になっていたと思います。
まずは個人レベルで手軽に使用してみてスキルアップを図ること目標とし、そのために適したソフトがBlenderでした。
無料トライアルで1週間から30日は扱える3Dソフトウェアは多数ありますが、ずっと無料で扱えて、かつモデリングからレンダリングまで一貫して扱える高機能なソフトはBlenderだけです。
登録も不要ですぐにダウンロードできるので、手軽さでBlenderの右に出るソフトはないと思っております。
3DCGの基本を学べる
Blenderは、間取り入力するだけで即座に3Dパースが立ち上がるようなソフトではありません。
3DCGパースを作成するには、まず3Dモデリングを行い、建物の形を造形してから外壁や屋根などのテクスチャを張り付けるマテリアルを設定し、効果的な照明や太陽光をライティング設定して、フォトリアルなパースを生成するレンダリングを行います。
その一連の作業工程をBlender1本で行うことが可能であり、そのようなソフトは統合型3DCGソフトと呼ばれています。
Blenderはよく扱うのが難しいと言われていますが、他の統合型3DCGソフトも簡単ではないでしょうし、基本的には3DCG制作の工程は他のソフトと共通するものも多々あると思い、Blenderを通して3DCGの基本を学ぶことを決めました。
会社の就業時間外に数年かけてBlenderを勉強してきて、ようやく扱いにも慣れてきましたが、習得してしまえば難しいと感じていたものもそうではないと感じるようになりました。
高品質な建築パースを制作できる
Blenderは建築向けのソフトウェアというものではなく、どちらかというとアニメキャラや人物をモデリングするソフトウェアという印象でした。
しかしながら、「フォトリアル」「高品質」などのキーワードとセットでBlender作品を探していたら、結構、品質の高い作品がヒットして、FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSでは海外のフォトリアルな作品が数多くアップされていました。
UdemyのBlenderチュートリアルの中でも、外国人講師によるチュートリアルはレベルが高く、受講してみて高品質な建築パースを制作できることを体感できました。
Blenderには利用できる機能が数多くあり、スキルを上げるには多くの時間を要しますが、努力次第で良いものを制作できる高機能な3DCGソフトウェアだと思います。
副業にチャレンジしてみたかった
3DCGのスキルを磨いて、将来的には建築パース制作の副業をしてみたいと思っていたので、個人レベルで手軽に使用できるBlenderは私にフィットしました。
業務用の高価な3DCGや3DCADソフトを会社に導入するとして、そのソフトを堂々と副業で利用することは私にはできません。
Blenderなら導入費用もかからずに、自宅のパソコンに手軽にダウンロードでき使用できるので、将来の備えとして副業にも挑戦してみたかったこともBlenderを選んだ要因の一つです。
以下の記事にBlenderを使った副業事例や推奨パソコンスペックについて紹介していますので、参考にして頂ければと思います。
Blenderの建築パース作品事例もSNS上で確認できた
以下にBlenderで制作した建築パースの事例をいくつか紹介します。
全てX(旧Twitter)上で見つけまして、すごいなーと感心しつつ、Blenderでやれることもイメージできました。
まとめ
建築パースを制作する3Dソフトは、建築業界にも導入事例が増えてきたVRやARにも欠かせないツールであり、今後もソフトを扱える人材が活躍するフィールドは増えていくことでしょう。
どのような用途でどれほどのクオリティのものを必要とするのか、会社レベルでの購入なのか個人レベルでの使用なのか、それらを正しく把握すれば選択するソフトは絞られてくると思います。
また、ソフトによってはスペックの高いパソコンが必要になる場合もあるので、推奨スペックも確認しておくと良いでしょう。
私が使用しているBlenderは、モデリング程度であれば低スペックのパソコンでも行えるのですが、マテリアルプレビューやレンダープレビューでの作業やレンダリングを行うには、動作が鈍くなったり頻繁にフリーズしたりするので、Blenderを快適に動かせるスペックを搭載したデスクトップパソコンを新たに購入しました。
それはBlenderを使ってみて低スペックのパソコンの操作性を体感したからこそ購入を決断できたのであり、無料で使用できる利点でもあります。
いろいろな3Dソフトを比較検討して自分に最適なソフトを選び、共に3Dパース制作を楽しみましょう。
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