デジタル業界で働いていると3DCADや3DCGという言葉を見聞きすることがあると思います。
どちらもパソコンにインストールされたソフトを使って3Dデータを作ります。
CADはComputer Aided Designの略でCGはComputer Graphicsの略です。
今回はこの3DCADと3DCGの違い、用途、ソフトの種類などをご紹介したいと思います。
デジタル業界に20年以上働いている筆者が詳しく説明します!
3DCGと3DCADの用途の違い
3DCGはアニメやゲームなどに登場するキャラクターやアイテム、背景などの3D形状をイメージすると分かりやすいでしょう。
3DCGソフトを使って、この3D形状を作ることをモデリングといったりします。
またCGの世界では3D形状をモデリングするだけでなく、その3D形状に動きを付けたり、ビジュアル的に臨場感を出すための加工をくわえます。
それに比べ3DCADは自動車や電化製品、建築などのモノづくりに使うための3Dデータを作成します。
モノづくりに直結するため、形状に細かく寸法が存在し、図面として表現され、それがそのまま部品や建物などの現物として作られます。
昔は2DCADが主流で、建築の設計士や大工さんが紙の図面を広げているのを見たことがあるのではないでしょうか?
今では時代の流れで2Dより3Dの方が分かりやすいですし、デジタルデータとしての活用の幅が広がるということで3DCADが登場したという背景があります。
以上のように3DCGと3DCADで作った3Dデータにはそれぞれに用途があり、それぞれの性質上、CADは正確性、CGはビジュアル性が求められるということです。
3DCGと3DCADの使われる業界の違い
3DCGの業界
- 映画やアニメの映像
- ゲーム
- 遊技機(パチンコ、スロット)
- フィギュア
- vtuber
3DCGソフトで作成したキャラクターや3D形状などは上記のような業界で使われます。
パチンコ、スロットをやったことがない人は分からないかもしれませんが、パチンコ、スロットの画面には、アニメなどのキャラクターが登場し、大当たりすると色んな映像が流れます。
そういったキャラクターやアニメーションもCG技術が使われています。
有名なのが「エヴァンゲリオン」や「進撃の巨人」でしょう。
パチンコ、スロットのキャラクターCGには予算が付きやすく、また納期も長いようでCGデザイナーとして新しい技術に挑戦できやりがいがあります。
その反面、キャラクターCGのバリエーションが多くなるため作業自体は大変になる傾向があります。
更には、メタバースという言葉を聞いたことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか?
メタバースは3DCGのバーチャル空間で様々なサービスを行うことをいいます。
3DCGは、そのメタバースの中核を担う技術で今後も注目されています。
3DCADの業界
- 建築・土木
- 自動車
- 航空宇宙
- 電化製品
- インテリア
- 服飾
3DCADソフトで作成した3Dデータは上記の業界で実際のモノづくりに使われます。
これらは建造物や工業製品であり、より人命に影響を及ぼすものなため3Dデータとしても正確性が求められます。
したがって、3Dデータや図面がモノが作れる状態になっているかをチェックする作業にも結構な時間をかけます。
3DCGと3DCADの職業の違い
3DCGの職業
3DCGの仕事といっても以下のようにかなり細分化されています。
全体的に人手不足となっているので興味のある人は3DCGの業界に挑戦するのが良いでしょう。
- モデラー
キャラクターや背景といった3DCGモデルを作る(モデリングする)人 - リガー(リギングアーティスト)
3DCGモデルに動かくための設定をする人 - アニメーター
3DCGモデルにアニメーションを付ける人 - モーションキャプチャスタッフ
現実世界の人間や動物の動きを記録し、3DCGのアニメーションに利用する人 - エフェクトアーティスト
爆発、炎、煙、物体の破壊、発光などのエフェクトを3DCGに設定し、3DCGの見栄えや臨場感、盛り上げをする人 - コンポジター(コンポジットアーティスト)
CG素材、映像を組み合わせて合成(コンポジット)し、最終的に作品にする人
3DCADの職業
3DCADの職業は、3DCGに比べて職種の少ないと見えるかもしれませんが、例えばCADオペレーターで見ても、建築、機械、電気と業界が違うと通用しない世界だったりするので一概に職種が少ないとは言えないのです。
また、3DCADの世界も新しい技術がドンドン出てきているので、昔主流であった2DCADのオペレーターはニーズが減ってきており、3DCADオペレーターが主流になっています。
更には3DCADの次の技術として建築・土木業界ではBIM/CIMといった新しい技術も出てきているので、それにより新しい職種も誕生しています。
- CADオペレーター(建築、機械、電気)
- 設計者(建築、機械、電気)
- BIMオペレーター(建築)
- CIMオペレーター(土木)
- CAMオペレーター(機械、電気)
それぞれの職種の詳細については以下の記事も参考にしていただければと思います。
3DCGで作ったデータは3Dプリンターで印刷できるか?
最近、家庭にも普及している3Dプリンターですが、ここで質問が多いものに「3DCGで作ったデータが3Dプリンターで印刷できるか?」というのがあります。
結論は、3DCGデータは3Dプリンターで印刷するのは難しいです。
理由は、3DCGデータはサーフェース(面)として作られることが多く、3Dプリンターで印刷するためには3D形状がサーフェースでなくソリッド(中が詰まった状態のもの)である必要があります。
サーフェースだとそのままでは印刷できず、ソリッドとして作り直しが必要になります。
ただ最近は技術も進歩してきており、3DCGも最初からソリッドで作るケースも増えてきていますので、この場合だと3Dプリンターで印刷可能となります。
3Dプリンターの技術の進歩はすさまじいものがあり、3万以内で買えるものもあり、キャラクターのフィギュアを印刷するのが盛り上がっています。
もし3Dプリンターを持っていなくてもDMM3Dプリンターサービスのように印刷を代行していくれるサービスなどもあります。
メタバース到来でデジタル資産「NFT」で3Dデータ作品が数千万に!?
NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)というのをご存知でしょうか?
これは最近話題の暗号通貨にも使われているブロックチェーン技術を使っています。
ブロックチェーン技術はそもそも、コピーや改ざんを許さない仕組みなので、これをNFTにも流用することでデジタルデータ上に、これは唯一無二のものですという偽造不可な鑑定書を付けることができます。
今は3DCGや3DCADで作ったキャラクターや映像、CADデータなどは自分が企業に属していれば企業のものになりますが、将来、自分が作った3DCGデータにNFTを付け、コピーや改ざんを許さず、唯一無二のデータにすることで3DCGデータに価値が付き、オークションなどで高値で落札される可能性があります。
自分で作った3DCGデータや3DCADデータに凄い価値が付くことも夢ではないと思うのです。
実際、日本人のデジタルアートがNFTのオークションで1300万円で落札され話題になっています。
このようにNFTとはデジタルデータの価値の担保と、それと共に個人の活躍の幅を広げてくれる技術として注目されています。
NFTの浸透により3DCGデザイナーやクリエイター、3DCADオペレーターの市場価値も爆上げするかもしれませんね。
NFTはメタバースを支える中核技術の一つとして注目されています。
3DCGと3DCADの代表的なソフト
ここでは3DCGと3DCADの代表的なソフトを挙げておきます。
ただ、両方とも用途に合わせものすごい種類があり、メリット・デメリットも存在します。
また有料から無料のものもあります。
ですが、ここでは本当に有名なソフトに絞ってご紹介しておきます。
3DCGの代表的なソフト
- MAYA(Autodesk社)
- 3DS MAX(Autodesk社)
- Cinema 4D(Maxon社)
- Blender(オープンソース)
この中で3DCG業界でシェアが大きいのはMAYAです。
開発元であるAutodesk社はアメリカの企業で3DCGだけでなく、3DCADもソフトのラインナップが豊富です。
また上記の中ではBlenderのみ無料です。
しかし、機能はかなり豊富で全部の機能を使いこなせないほどです。
3DCADの代表的なソフト
- CATIA(ダッソー社)
- Creo(PTC社)
- NX(シーメンス社)
- Fusion360(Autodesk社)
- SolidWorks(ダッソー社)
- Revit(Autodesk社)
上記の中で無料なのはAutodesk社のFusion360だけになります。
その他のCADフリーソフトおすすめは以下の記事も参考にしていただければと思います。
3DCGデザイナーと3DCADオペレーター間の転職について
個人的には3DCGデザイナーと3DCADオペレーター間の転職はありだと思っています。
例えば両者には以下のような共通点があります。
- 3Dデータを作る(モデリングする)
- ソフトを使ったパソコン作業
3DCGデザイナーは美術の知識、3DCADオペレーターはモノづくりの知識がそれぞれ強みだと思うので、それぞれを勉強すれば問題なく活躍できるでしょう。
また両業界とも日本の労働者人口減少に伴って人手不足なので自分のキャリアアップや収入アップを目指して挑戦してみてはいかがでしょうか?
以下はそれぞれの業界に強い転職サイトになりますので、まずは登録し自分の可能性を模索し始めるのも良いでしょう。
転職サイトへの登録は無料なので一歩目が踏み出しやすいでしょう。
転職サイトにはカウンセラーがいることが多いので、まずは自分のキャリアやおすすめの会社などを聞いてみると良いです。
3DCGデザイナーへ転職するためのおすすめサイト
日本にはたくさんの転職サイトがありますが、それぞれ、強い業種、地域があるのはご存知でしょうか?
3DCGデザイナーに転職したい場合、我々が選ぶのはCGに強い転職サイトです。
そして、それらの複数に登録しておきます。登録は無料なので心配無用です。
以下にCGに強い転職サイトをご紹介していますのでご参考にしていただければと思います。
3DCADオペレーターへ転職するためのおすすめサイト
続いて3DCADオペレーターに転職したい場合は、CADに強い転職サイトを選びます。
そして、言わずもがなですが、それらの複数に登録しておきます。登録は無料です。
以下に各雇用形態別でCADに強い転職サイトをご紹介していますのでご参考にしていただければと思います。
CADに強い転職サイトはこちら
CADに強い転職エージェントはこちら
CADに強い派遣会社はこちら
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は3DCGと3DCADの違いを用途、業界、ソフト別にご紹介してみました。
これからは世界的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れで、様々なものがデジタル化していきます。
そんな中で3DCG、3DCADの業界は人材の市場価値を上げていけるチャンスだと思いますので、この流れに乗り遅れないように、ピンと来た方は自分のキャリアについて考え直してみてはいかがでしたでしょうか?
コメント