ここ最近、メタバースというキーワードがバズっていますね。
メタバースとは、インターネット上に3Dモデルの人物や建物で作られたバーチャル空間や、それを使ったサービスのことを差し、今後は伸びていくと予想されています。
というのも、世界人口の増加や、地球の環境問題の中で、経済活動を継続、発展させていくためには、人間の居住空間や経済活動の場を「宇宙」にするか、「バーチャル空間」にするかの選択です。
そういった意味でもメタバースというバーチャル空間で経済活動をしていくのは必然的なことなのかもしれません。
メタバースには、Facebookをはじめ名立たる大企業が参入を表明しており、今後ますます発展していく分野でしょう。
そこで注目される仕事が、このメタバースというバーチャル空間の3Dデータを作る3DCGや3DCADといったソフトを操る仕事です。
今回は、この中でも3DCADやBIMを使うエンジニアやオペレーターのメタバースにおけるビジネスチャンスについて書こうと思います。
3DCGのメタバースにおけるビジネスチャンスは以下の記事を参考にしていただければと思います。
メタバース上の建物にCADやBIMで作った3Dデータを活用する
前述したようにメタバースとは、インターネット上に建物や人が共存する空間です。
建築業界のCADやBIMのオペレーターの皆さんはピンとくるかもしれませんが、建物を設計するために作成した3Dモデルがメタバースにも流用できるのでは?という可能性があります。
実際に大手の建設会社のいくつかは、自社の資産であるCADやBIMで作った3Dデータを独自のメタバース空間で流用するトライも始めています。
せっかく作ったデータは、徹底的に使い尽くさないともったいないですよね。
メタバース上のVRシミュレーションにより施工工数やコストの削減
メタバースを現実世界のコピーだとすると、建物の大きさも原寸大の方が都合が良いです。
今までは3Dプリンターなどで原寸大の現物の試作を作り、施工検討していたのが、メタバース上の建物3DデータとVRシミュレーションを使うことで現物の試作を作るコストを削減できます。
またデジタルにより様々な施工検討ができるために、計画段階で問題点を潰し込めるので、後工程での設計のやり直しが削減し、コスト削減につながります。
ちょっとした形状修正も、CADやBIMで作成した3Dモデルの寸法をパラメトリックに変更することで自由できるので、現物の試作を作り直す必要もないのもうれしいところです。
自動運転のバーチャル上でのシミュレーションに3Dデータを活用する
現在、自動車メーカーやテックカンパニーは自動車の自動運転技術の実現化に躍起になっています。
その際に重要になってくるのがバーチャル上での自動運転技術実現のためのシミュレーションです。
やはり現実世界の公道でテストするのは安全性に問題があるケースもありハードルが上がります。
ですがバーチャル上であれば安全性の問題はクリアできているので、後は現実世界と同じものを3Dデータとしてどれだけバーチャル上に準備できるかです。
そこで現在行われているのが、既にCADやBIMで作成済の3DデータをゲームエンジンであるUnityやUnreal Engineを介して3DCGに変換することです。
この辺りの技術に強いのが3DCGに強いシリコンスタジオです。
シリコンスタジオは自ら技術開発をしながら転職エージェントも行っているので、現在CAD/BIMオペレーターで働いている方々が転職する際は、この業界を熟知しているシリコンスタジオを活用すると将来性のある会社に転職できる可能性も高いです。
今後、こういった変換された3DCGデータを使い、建物、自動車、人などを現実世界と同様に動かしながら、天気、時間、交通量といった様々なパラメータを変えながら、想定されるパターンに対するシミュレーションを行い、安全性の確認をすることは重要な技術です。
バーチャル完結によりSDGsへの貢献
そもそも、今まで現物の試作を作っていたのがバーチャル上の3Dモデルで事足りるので、余計な現物を作成する必要がなくなります。
これは原材料を削減できるので自然にやさしく、SDGsへの貢献と言えるでしょう。
メタバース上でCADやBIMデータを使ってデザインレビューをやる
メタバース上での設計のデザインレビューが当たり前になると、CAD/BIMオペレーターが作成した3Dデータをより活用されます。
ないデータを作るのはもちろん、デザインレビューの運営でCAD/BIMオペレーターの守備範囲も広がるかもしれません。
メタバースは設計製造向けにこそ力を発揮するという考えもあります。
自動車業界でも今まで活発に3DデータとVRやARを使ったデザインレビューが行われてきましたが、うまく使いこなしてデザインレビューが行われている会社は少ないと思います。
それは会議室にVRの設備を整えるのにお金がかかったり、VRゴーグルが使いづらかったりなどもあるかと思います。
場所の制限が、あまり普及しない一番の要因だと思っています。
VR/ARを使ったデザインレビューの場合、一同がデザインレビューをやる場所(会議室)などに集まる必要がありました。
そのためその場所に移動する必要もありましたし、もし海外の設計者や関係者とデザインレビューしたい場合は、不可能でした。
場所の制限があると、限られた人しか知らない、使えないとなるのです。
それがメタバース上でデザインレビューをすることで、場所の制約はなくなります。
メタバース上の会議室のURLさえ知っていれば、そこに皆のアバターが集まってデザインレビューをすればよいのです。
さすがに時差の問題は解決されませんが、世界各地からメタバース上の会議室にアバターとして集合することは可能です。
アバターも本人を再現したリアルアバターにすれば、より臨場感を持ってデザインレビューできるますね。
実際に、NVIDIA社CEOのジェンスン・ファン(Jensen Huang)氏は、3DCADで設計したクルマやロボットの設計を皆でレビューしながら、形状変更したり改良したりするというシーンを想定しており、これをデジタルツインの表現する手法の一つだと言っています。
そのうち、ダッソーシステムズやPTC、シーメンス、Autodeskといった3DCADの大手ベンダーもメタバースでのデザインレビューを提案してくるでしょう。
メタバース上で住宅の内覧会をやる
今まで現地でのモデルルームを使って内覧会が当たり前でした。
最近では、VRを使った内覧会をやる会社も出てきましたが、それでもお客さんは、モデルルームまで足を運ばないといけませんでした。
それが、メタバース上でCADやBIMデータを使った内覧会にすることで、お客さんのアバターがメタバース上の建物内を自由に見れますし、接客する側のアバターも今まで通りにご案内することも可能です。
コロナ感染のことや、場所を気にする必要もありません。
遠方への転勤や海外への移住の際にも現地に行く前に、住宅探しができるのはメリットがあります。
NFTによりメタバース上の3Dデータの価値向上
先日、メタバース上でアバターが住む家として3Dデータが約5000万円で購入されたとのニュースがありました。
これは、NFT(Non-Fungible Token)というブロックチェーン技術を使い、家の3Dデータが鑑定証として唯一無二のデータとして証明された状態で、売買されています。
勝手に家の3Dデータをコピーしたりできないので、購入者は自分だけの3Dデータを手に入れたことになります。
ここでは、アバター用の家の3Dデータでしたが、住宅を設計するためや、メタバース用の3Dデータとして価値が認められれば、NFT技術により高額で売買される可能性もあります。
そうなると、それを作ったCAD/BIMオペレーターにも還元され、収入アップを見込めるかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今後、メタバースの普及により、そこで使われる3Dデータ作成の需要はますます伸びるでしょう。
グーグルアースのように現実を写真でコピーした世界のように、現実を3Dデータでコピーされるとすると、そこで使われる3Dデータの数は計り知れないものがあります。
そうなると3DCGでなく、CADやBIMデータのようにより詳細なデータが必要になるはずです。
CAD/BIMオペレーターは、今のうちからメタバースについて勉強し、ビジネスチャンスをつかみたいものです。
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