3DCG(3Dコンピューターグラフィック)は、今やアニメや映像、ゲームなどが使われないところがないほど、至るところで目にします。
最近はDX(デジタルトランスフォーメーション)や人気Youtuberからの需要で更に3DCGが使われるようになってきました。
そのため業界全体で人手不足になっているようです。
この3DCGを作るのが3DCGデザイナーやクリエイターといったりします。
今回は現役の3DCGデザイナー5人に未経験から実際にクリエイターとして活躍するまでを詳しく聞いてみました。
どのように勉強したのか?就職活動はどうしたのか?などこれから3DCGの仕事に就こうと思っている人は必読の内容になっています。
MAYAユーザーの3DCGデザイナーへ(39歳)
3DCG制作会社に正社員として働いている3DCGデザイナー歴9年の39歳(男)です。
高校卒業後にデザインの専門学校を卒業して広告を制作する会社に勤めていました。
年収も低く会社の経営も安定しないことから、28歳の時にCGの勉強をするために専門学校(東京デザイナー学院)へ入学しました。
昼は学校で夜はバイトの日々でしたが、AUTODESKのMAYAなどの専門的なソフトの使い方を覚えることができました。
専門学校卒業後はCG制作の会社に入社しました。
東京デザイナーズ学院でプロから3DCGを教えてもらう
3DCGは、東京デザイナーズ学院で学びました。
全くの未経験でしたが、実際に企業で働く講師からソフトの使い方や企業で求められるクオリティなどを学びました。
特筆することは、ソフトの使い方ではなく、「3DCGをどう見せるか?」、「どのような3DCGを(社会から)求められているか」ということです。
2Dではなく、3Dとは何かという基礎理論から始まり、実際に使われる手法や技法を知ることができました。
その上で、お金が稼げる3DCGの制作方法とはどういったことかという実務に近いところを学ことができたのが非常に良かったです。
更にインターネットで公開されているプロの3DCGと自分の作品を比較しながら試行錯誤を繰り返し、最後はプロと遜色ないレベルになることができました。
東京デザイナーズ学院からの紹介で苦労せず就職
就職活動については全く苦労しませんでした。
私は専門学校の成績もよく講師とも仲の良かったので、講師から企業を3つほど紹介してもらい、面接に行きました。
面接の内容は採用が前提であり、入社した場合に実際に行う業務内容と待遇の話しがメインでした。
3社受けましたが、業務内容はほぼ同じような感じでしたが、待遇(年収)は全然違いました。
講師とも相談した結果、年収は3社中2番目でしたが、「残業が少ない」、「サービス残業は絶対にない」、「副業OK」という条件の会社に入社を決めました。
今働いている会社ではテレビ番組で使う3DCGを作成する部署で仕事と、個人のYoutuberから3DCGを依頼されて制作する部署で働いています。
背景モデラー特化した3DCGデザイナー(28歳)
背景モデリングに特化した会社で、正社員として働いている28歳(男)です。
ゲーム、映画、CM、遊技機など幅広いコンテンツに使われるCGを作っています。
ソフトは基本的にMayaで、SubstancePainter、Zbrush、Marverous Designerなどもたまに使います。
セルルックな案件もありますが、基本的にはフォトリアルなルックを得意としています。
大学に通いながらYoutubeで3DCGを独学
大学は情報学部でCGの授業はなかったのですが、youtubeや本などで3DCGの基礎的な部分は独学で学びました。
いまでこそyoutubeにはたくさんのチュートリアル動画がありますが、当時は今ほどyoutubeがメジャーではなく書籍がメインだったと思います。
またソフトは敷居の低さからBlenderから学びはじめました。Blenderはアマチュアユーザーも多く、チュートリアル動画が割と豊富だったのも決め手の一つです。
その後もっと本格的にCGを学びたいという思いから上京して東京のデジタルハリウッドスクールに通うことを決めました。
基礎的な部分は独学で身に着けていたので、スクールでは応用的な部分と作品作りに没頭しました
同じ志を持った仲間たちと切磋琢磨しながら学べたのはすごくいい環境だったと思います。
デジハリのクリエイターズオーディションで数社からスカウト
スクール卒業後の就職活動ですが、実のところほとんど行っていません。
というのもデジハリでは卒業制作発表会のあと、一部の人だけが参加できるクリエイターズオーディションというものがあります。
そこでは卒業制作を見た企業の人が、学生を直接スカウトする仕組みになっています。
自分はそこへ参加し、数社からスカウトを受けました。
その中からさらに興味のある数社にお話を聞きに行かせてもらったのですが、それと同時期にFacebook経由でお誘いをいただいた会社でフリーランスとして働くことを決めました。
どうやらFacebookにあげた卒業制作を偶然見た人事の方が、興味を持っていただけたようです。
その会社に決めた理由は、私の尊敬するアーティストや業界でも有名な方が多数働いており、こんなすごい人たちと一緒に仕事が出来ればきっといろいろ学べると思ったからです。
建築系の3DCGデザイナー(24歳)
私は建設業界で正社員として3DCGを作成している24歳(男)です。
3DCGデザイナー歴は8年です。
建築現場ではあらゆる部材や建具の立体図を見ながら寸法などを決めていくため、3DCGを用いた画像と寸法図の作成がかなめとなっておりました。
施工管理での3DCGは実際の施工における、いわばシミュレーションという形で行います。
マンションのモデルを広告に掲載する際に完成写真のようなものを掲載していると思いますが、そのようなイメージです。
使っていたソフトはAUTODESK社のINVENTORです。
部材のカラーに合わせた同じ色番号の塗りつぶしも出来るので大変重宝しておりました。
未経験で新卒入社で3DCGを学んだ
未経験から3DCGを学ぶのなら、建築系やデザイン系の会社へ入社する事がおすすめです。
会社員であれば上司から教えてもらいながら仕事を覚える事ができ、実際の仕事に携わる事で仕事の実績も生まれますし、なんといってもお金を会社から貰いながら仕事を学べるので1番勉強効率が良いと言う利点があります。
年齢にもよりますが未経験でも3DCG業界は人手が不足しているので採用確率は高いです。
ですので学校に行ってお金を払って学ぶ事も選択肢の一つとして素晴らしいですが、可能なら実務を経験できる会社へインターンなどでも行ってみる事がオススメです。
インターンで入っていれば正社員になるお誘いなども受けることが出来るのでチャンスの幅は広がります。
インターンからそのまま就職すると採用率高い
私の場合は新卒で施工管理の会社へ就職したので、そこで初めて3DCGを使用しました。
その会社へは学生の頃にインターンで短期間就業した事があったのでその旨を伝えた事ですぐに入社が決まり、早速3DCGを用いた業務を教えてもらう事になりました。
その後、その会社で培ったノウハウと3DCGのスキルを活かして転職を行いました。
転職活動するときのポイントは実績のある案件数やポートフォリオなどを具体的に伝える事です。
現場名も出せる限り有名な建造物を出す事で面接担当者へイメージが伝わりやすく、採用確率もかなり向上します。
いずれにせよ、最初はインターンからでも会社へ行ってみる事をオススメします。
また3DCGの会社を検索して直接問い合わせてみるのも一つの手段となります。
3DCG歴25年のベテランフリーランス(47歳)
3DCGクリエイター歴25年で現在はフリーランスとして働いている47歳(男)です。
初めて3DCG(レイトレーシング)に触れたのは、小学5年生(10歳で36年前)の時で、友達の家に遊びで泊りに行った時に友人の兄がPC98というパソコンを持っていて、簡単なプログラムをBASICで打ち込みをして、水色のつやのある球体を長時間かけてレンダリングをしたのを観て感動してから、今の今までレイトレーシングにお世話になっています。
現在は映像仕事をしていますが、VJ素材向けや、ミュージックビデオに登場させる映像演出用の簡単なビデオ素材として3DCGを使っています。
過去、セガに勤めておりゲームのプリプロダクション用にイメージ映像を3DCGで作ってプレゼン用に作っていました。
独学で3DCGを学びながら新卒で入社
大学生の頃に友人の進めで海外製品のAMIGA1200という映像に特化したパソコンを購入して、友人にゆずってもらった3DCGアプリケーションを使い独学で勉強してアニメーション化までの作業を覚え、お金をためてより高度な制作が出来るアプリケーションに乗り換えて一通りの業務向け3DCG制作を学びました。
その後デジタルハリウッド系列の会社に新卒で入社し、Softimage 3Dを覚えました。
この会社はグループ会社全員がSoftimage 3Dを使える様にするという方針だったので、新卒社員研修でも朝~晩までデジタルハリウッドの講義内容を勉強し、3DCG制作をして発表するという研修を受けました。
その後はMAYAが台頭してきたので、そちらも覚えました。
ダイキンが当時の代理店でしたので、そちらで講習を受けました。
本業、転職、副業で3DCG技術を磨きながらフリーランスへ
デジタルハリウッドグループ時は3DCGを学んだあと、セガに転職してから本格的に3DCGの仕事をし始めました。
Softimage 3DとSDKを使ってゲーム機のドリームキャスト向けの3DCGモデルを作っていました。
具体的には以下のような流れです。
- リアルタイムレンダリングでチェック
- モデルデータとアニメーションデータをドリームキャスト向けにエクスポート
- プログラマーがゲームシステムに組み込み
- ドリームキャスト実機で最終確認
ゲームの世界観のプリプロダクションでしたので、あらゆる思いついた3DCGシューティングゲームのイメージをSoftimage 3Dを使って制作をして、1年程の間にトライアンドエラーをする毎日でした。
その後に渋谷の街頭ビジョン向けのTV番組向けに3DCGでタイトルの映像を作ったり、ブルーバック合成向けのヴァーチャルセットを3DCGなどを手掛けていきながらキャリアを積み、今はフリーランスとして独立しました。
3DCGデザイナーは専門職なので作品を作りながら技術を磨き、あとは副業などをしながら経験を積むのがおすすめです。
その後、独立してもやっていける自信がついたら、フリーランスになるのもおススメです。
化粧品・サプリメント業界の3DCGデザイナー(51歳)
化粧品・サプリメント業界で、メーカーに正社員として勤めている51歳(男)です。
モデリングにはBlenderを用い、レンダリングにはKeyshotを使っています。
用途は、パッケージ・広告・SNS用のCGやCGアニメーションも作成しています。
私はクライアントですが、広告代理店に頼むことなく、自身で作成しています。
3DCGデザイナー歴は5年位です。
CG検定など資格取得しながら独学で3DCGを学んだ
今から30年近く昔ですが、20代前半に、独学で始めました。
Mac用3DCGソフトを使っていました。
本屋でそのCGソフトの参考書を購入し、1ページづつこなしていきながらモデリングとテクスチャーの基礎は習得しました。
また、CG検定があったので、2級を取得しました。
それから20年以上触っていなかったのですが、昨年のコロナにより商品撮影等を行なうのが難しくなった時期があり、それを期に撮影できないなら、CGでつくってしまおうと考えました。
そこからCGソフトをいろいろデモ版で試し、一番目的を達成できそうだったソフトがblender とKeyshotでした。
WEBで動画やHPを見ながら、改めて独学で習得しました。
3DCGやDTPを作成しながらクライアント企業で活躍
20代の頃は、就職してから本格的に3DCGを学びました。
主に業務はDTP(DeskTop Publishing)でしたので、CGを使ってTV番組の番宣ポスターを作成しました。
DTPで3DCGを使うのは、その頃はまだ珍しかったため、大変重宝されました。
現在の業務は、宣伝・販促系の業務で、たまにDTPや3DCGを制作しています。
特に3DCGは外注すると高いため、自身で行なったりしています。
自身でもできることで、外注ではどこが大変か、手順等がわかりますので、見積もり交渉等にも役立っています。
これからの時代を考えれば、クライアントに入ることをおススメします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は未経験から3DCGデザイナーやクリエイターになり、現在各方面でご活躍されている現役4人に勉強方法や就職の仕方、現在のお仕事についてインタビューしました。
個人的に印象に残ったのは以下です。
- 専門学校などでプロの3DCGデザイナーに教えてもらう
- 専門学校から就職先を紹介してもらう
- インターンからの就職がおすすめ
- デジハリではリエイターズオーディションで企業からスカウトある
- 3DCG業界は基本、人手不足なので採用率が高い
- 本業、転職、副業で3DCG技術を磨きながらフリーランスを目指すのもあり
- クライアント企業で3DCGを知っていると外注時の目利きができる
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