パソコンを使い生成するグラフィックをCGと呼び、CGを使って作品を作る人達をCGモデラーと呼びますが、さらにイラストや画像編集など2D作業がメインの2DCGモデラーと、3Dのデータを扱いコンテンツを作る3DCGモデラーに分けられます。
今回は3DCGモデラーの仕事内容やフリーランスの年収などについて、フリーランスで3年ほど様々な案件に関わってきた私の経験を交えてお話したいと思います。
ただ2DCGモデラーの方にも参考にして頂ける情報もあると思います。
いきなり3DCGのフリーランスの仕事紹介に強いサイトを見たい場合は、以下の記事も参考にしていただければと思います。
3DCGモデラーの仕事の種類は?モデラー、アニメーター、エフェクターの違い
3DCGモデラーの中でも分業化が進んでいて、大きく3つの種類に分けることが出来ます。
- モデラー(3Dでモノの形状を作り質感をつける仕事)
- アニメーター(主にキャラクターなどに対し、生き生きとした動きを与える仕事)
- エフェクトアーティスト(爆発や煙、水など流体の動きをPCでシミュレーションする仕事)
これらの3つは、それぞれ必要なスキルは全然違いますが、私はモデラーをやっています。
モデラーは専用のソフトを使い3Dでモノの形状を組み立て、それにリアルな質感(アニメっぽい質感の場合もあり)を設定するまでを担当します。
観察力・造形力・デザイン力など多くのスキルが求められますが、3DCGにはなくてはならない存在です。
私は背景など専門としたモデラー(背景モデラー)で、これまでにはコンシューマーのホラーゲームの背景制作やCMの映像などに関わりました。
3DCGモデラーのフリーランスの年収は?
3DCGモデラーには、フリーランスで働く人が多くいます。
一般的にはCGプロダクションで一通りCG制作の手順を理解し、スキルをある程度身につけ一人である程度なんでもこなせるようになった段階で独立する人が多いようです。
独立する理由は、人それぞれですが基本的には以下のようなことだと思います。
- 出勤せず在宅で仕事をしたい
- 好きな仕事だけ自分で選んで受注したい
- もっとお金を稼ぎたい
そこで気になるのがフリーランスの年収事情ですが、残念ながらフリーランスになるだけで会社員よりも断然稼げる!というわけではありません。
というのも、CG業界には使用期間としてまずは業務委託契約からスタート(成果を出せば契約社員・正社員へ登用)するケースもあるため、単価が低いお試しフリーランスも多くいます。
フリーランスは社員と違って契約を切りやすいので、まずは実力を見るためにお試しで契約するといったイメージです。
一方、一般的に会社員より多くのお金を稼ぐことが出来るのは“即戦力型”フリーランスです。
こちらはある程度仕事を一人こなせるだけのスキルや知識が必要になるため、すぐにそのレベルになるのは難しいですが、交渉次第ではがっつり稼ぐことも出来ます。
私のケースで言うと、最初に契約した映像会社の報酬はフリーランスながら大卒の初任給と同じくらいで、安定性の低い”お試し”フリーランスでした。
しかしその会社である程度スキルを身につけて次のゲーム会社と契約した時は、交渉によって前回の倍近い金額で契約することが出来ました。
これは当時社会人2年目だった私にとってはかなりいい条件だったともいます。
まとめますと、月当たりの収入は、1年目は23万、2年目は42万円(年収だと単純計算で500万ほど)でした。
このように報酬はクライアントと直接交渉して決める場合が多いので、ある意味自分の年収は自分で決められると言えます。
もちろんそこで高い報酬を提示するのであれば、それなりの実績とスキルなど交渉材料が必要になるでしょう。
また同じスキルをもった人でも、契約する会社の規模によって支払える金額も変わります。
たとえば大手ゲーム会社の大きなプロジェクトなどでは、開発費が膨大なため支払われる金額も多い傾向にあるようです。
3DCGモデラーのフリーランスのメリット・デメリット
フリーランスはたくさん稼げる可能性がある一方で、もちろんメリット・デメリットがあります。私の感じたのは以下の通りです。
メリット
スキルがあれば若いうちから活躍できる
何歳からでもフリーランスは目指せます。完全実力主義の業界なので、20代前半の若いうちから活躍し、稼いでいる方はたくさんいます。
働く場所を選ばない
会社員だと基本出勤して会社で作業しますが、フリーランスだと自宅のPCで出来る案件も多くあります。
私も一時期、自宅で仕事をしていましたが、東京の満員電車に乗る必要もないですし、部屋でBGMをかけながら仕事をしていたのでかなりストレスが減りました。
九州の実家に帰って仕事をしていた時期もあります。
自由なワークスタイル
フリーランスだと、お金が欲しいからこの時期はがっつり働こうとか海外旅行に行きたいからこの時期は仕事入れないでおこうとかワークスタイルを自分で選択することが出来ます。
私の場合、契約期間が半年ほどの仕事が多かったのでその間しっかり働き、その後1か月間は何も仕事を入れず実家に帰ったり旅行に行ったりしてのんびりしていました。
海外旅行が好きだったり子供がいる人は特に向いていると思います。
デメリット
ソフトウェアが高い
3DCGに用いるソフトは高額なものが多いです。在宅で仕事を行う場合それらを経費として自分で購入しなければいけません。
例えばAutodesk Mayaのライセンス料で月30,000円ほどかかってました。
ただしクライアントの会社で作業する場合は、現場のPCに入っているソフトを使わせてもらえる場合がほとんどなのでこの心配はいらないでしょう。
成長する機会が少ない
私が考えるフリーランスの大きなデメリットはこれです。
フリーランスは基本的に即戦力として仕事を振られるので、成果を上げられない人はすぐに契約を切られます。
クライアントもフリーランスを教育する義務はないためどこが悪いかも教えてくれないことも多く、常に自分で調べて勉強し続けないとなかなか成長できません。
そのため私は以下のようなことで日々のスキルアップや、新しい技術を知り取り入れることをやっています。
- モデリングがうまい人のチュートリアル動画を見る
- 3Dモデルを購入してよく観察する
- 知り合いのCGモデラーに自分の作品を見せてフィードバックをもらう
フリーランスになる前には、しっかり勉強して一人である程度仕事をこなせるよう準備をしておくことをおすすめします。
確定申告についてはそこまで大変ではなかった
確定申告についてはそこまで大変ではなかったので、すべて一人でやっていました。
というのもCGモデラーは経費としてお金がかかる項目は、ソフトのライセンス料や交通費、本などの資料など分かりやすく頻度も少なかったためです。
そのうえ今は便利な会計ソフトがあります。私は弥生を使っています。
会計ソフト利用がはじめてだったの不安でしたが、かんたんに使える作りになっていたので問題なく使えています。
私が選んだベーシックプランでは分からない操作が出てくると、電話・メール・チャット・画面共有などで丁寧に教えてくれたので非常に助かりました。
3DCGモデラーでフリーランスで働くために必要なこと
SNSで自分の作品を情報発信する
3DCGモデラーとして仕事を取り続けるには、シンプルにクオリティの高いものが作れることが一番です。
意外と人脈やコミュニケーション能力というのはそこまで重視されません。(ディレクターなどリーダー的なポジションの場合は別です)
というのも、今の時代SNSがあるためそこに作品を投稿すれば、それが自分の実績、実力としてのポートフォリオとなり、多くの人の目に留まるからです。
私もfacebookにあげた作品がきっかけで仕事につながりました。
なので仕事は基本的にSNSで決まります。仕事募集中ですという投稿をすればクライアントから相談していただけたので。
フリーランスになるなら以下のようなSNSは絶対活用したほうがいいと思います。
- twitter(おすすめは拡散されやすい)
- インスタグラム
3DCGの様々なソフトウェアに触れておく
あとは3DCGの様々なソフトウェアに触れておくのもよいでしょう。
私の場合、以下のようなソフトが使えます。
- Autodesk Maya
- Blender
- Substance Painter
- ZBrush
- Adobe Photoshop
- Speed Tree
今だとHoudiniやBlenderを使える人は重宝されると思います。
専門性の高いソフトは使える人が多くないため、それが使えるというだけで契約が決まりやすくなります。
3DCGモデラーのフリーランスで年収アップに必要なこと
最後に、フリーランスで今より年収を上げるためのどうしたらいいかについて私の考えを話します。
自分の強みを持つ
一番分かりやすいのは金額交渉で有利に立つこと、そのために自分の強みを持つことだと思います。
例えば3DCGでロボットを作る仕事があったとして、ただクライアントから指示された通りに作業するだけの人は多くいます。
しかし自らデザインを考えてクライアントに提案し、オリジナリティのあるかっこいいロボットを作れるような人がいれば、その人の価値はぐんと上がるでしょう。
さらに、かっこいいロボットの仕事ならあの人に任せれば安心だな、とクライアントから直接指名されるようになれば条件交渉がかなり有利に進められます。
そのためには、普段から自分の作品をSNSに投稿して技術をアピールすること、新しいCG表現に挑戦して仕事の幅を広げてみたりするとよいかもしれません。
高単価を狙うなら業界も選ぶのもコツ
高単価で言えばゲーム業界、特に大手がおすすめです。
開発期間も長いので一度契約が決まればしばらくは安定できます。
遊技機の映像も単価は高いですが、実績としてプロジェクトの名前を出せない場合が多いので注意が必要です。
更なる収益アップを狙いたい場合は、フリーランスサイトでプロに相談するのも手です。
フリーランスの多くが働く土俵や収益化の論点が間違っているなどで収益アップにつながっていないケースも多いです。
3DCGモデラーのフリーランスに強い仕事紹介サイトのランキング
3DCGフリーランスの契約期間は平均半年と短いです。
そのため、複数の仕事を並行してやったり、仕事を切らさないようにするのが重要です。
それを実現するためにサポートしてくれるサイトがいくつかありますが、やはり3DCGモデラーのフリーランス案件に強いところを選ぶことが大切で、以下にそれらをランキング形式で3つご紹介します。
登録は無料のため複数に登録し、常に仕事が入ってくる環境を整えましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は3DCGモデラーのフリーランス3年目の収入や仕事内容、メリット・デメリット、フリーランスとして必要なことをご紹介しました。
いきなりフリーランスにならなくても、まずは副業から始めるのも手だと思います。
しっかりとした技術を身につけ次にステップアップしてはいかがでしたでしょうか?
その他の3DCGフリーランスの事例は以下の記事にもまとめています。
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