ああ、Zbrush・・・まるで粘土をこねるようにモデリングができる、ハイクオリティなモデリングソフト。
ふと出来上がったモデルを見て、こう思ったことはありませんか?「このモデルが現実世界にあったらいいのにな・・・」
それならば!3Dプリンターを使って現実世界に作り出してしまいましょう!
今では家庭用3Dプリンターも手軽に導入できる価格で流通しています。
ということで、今回はZbrushユーザーのためにZbrushに特にぴったりな3Dプリンターのおすすめを紹介していきます!
そもそもZbrushの特徴ってなんだっけ?
ここを見ているってことはZbrushを知っているとは思いますが、念のためZbrushの強みをざっくりご説明しますね。
Zbrushは、大多数のモデリングソフトとは違う、スカルプティングという方式で3Dモデルを作成できるモデリングソフトです。
スカルプティングというのは、まるで粘土をこねて、盛ったり、削ったりするような感覚で3Dモデルを行う手法です。
扱うポリゴン数が非常に多くなりますが、そこまでハイスペックなパソコン環境を要求しないので、慣れれば非常に表現の幅の広い優秀なソフトなのです。
そのモデリングの特性上、人間や動物、植物などの柔らかい自然物の造形が得意です。
ポリゴンを組み合わせてモデルを造形する多くのモデリングソフトは、かっちりした車や機械などの工業製品が得意ですが、その反面、生物などの自然物が苦手です。
Zbrushは多くのモデリングソフトが苦手とする柔らかさの表現が得意なので、映画作成の現場でモンスターやクリーチャーなどの仮想生物や、フィギュア造形の現場でデジタル原型の政策に利用されています。
家庭用3Dプリンターは大きく分けて二種類!
そんなZbrushにはどんな3Dプリンターがいいのかな・・・?
実は、家庭用3Dプリンターと一口に言っても、種類は大きく分けて二つあり、それぞれ得意な造形物や特徴が異なります。
それは、熱溶解積層方式と光造形式とそれぞれ呼ばれています。
熱溶解積層方式は、一般的にABS樹脂やPLA樹脂などを細く伸ばしたフィラメントと呼ばれる固形の材料を、少しずつ溶かしていき、それを冷やし積み重ねながら造形していく3Dプリンターです。
対して、光造形式というものは、紫外線により硬化するUVレジンを使用し、レジンをためているタンクの下から紫外線を照射し、少しずつ造形をしていくスタイルの3Dプリンターです。
それぞれの主なメリット、デメリットは以下の通りです!
熱溶解積層方式3Dプリンターの特徴
熱溶解積層方式のメリット
- 後処理が簡単
造形物が印刷が完了したら、すでに硬化しているため、光造形式のような洗浄や二次硬化が必要ありません。
- 比較的安価
光造形式のものより、構造が単純なため本体価格もフィラメントも安価で入手しやすいです。
- いろいろな色・素材を使用できる
使用するモデルによって専用のフィラメントを指定されているものもありますが、ABS樹脂やPLA樹脂など、フィラメントを付け替えるだけで樹脂の素材を変えることができ、用途に合わせて変更できるものもあります。
熱溶解積層方式のデメリット
- 精度が低め
少しずつ樹脂を溶かして、層を重ねて造形する方式のため、積層がどうしても見えてしまい、さらに細かい造形はつぶれてしまいます。
- 音が大きい
ノズルをXYZ軸方向に動かし造形するため、可動範囲が広く、稼働時の音が大きめです。夜間に造形しようとすると同じ部屋で眠るのは少々難しいですね。
- 印刷速度が遅め
光造形式と比べて、1層にかかる時間が長めです。ノズルを動かして1層ずつ積み重ねるので構造上仕方ないですね。
光造形式3Dプリンターの特徴
光造形式のメリット
- 精度が非常に高い
熱溶解積層方式のものに比べて、光造形式のものは圧倒的に造形物のクオリティが違います。昨今発売されている、4Kや8KなどのUVパネルを搭載しているものは、目を凝らして積層が確認できるかどうかのレベルまで来ています。
- アール(曲線)の表現がたやすい
熱溶解積層方式のものだと、曲面はどうしても階段状やピラミッドのようなガタガタした形にしかなりませんが、光造形式の3Dプリンターの場合は滑らかな曲面を再現することができます。
- 印刷速度が速い
レジンや、3Dプリンターに搭載しているUVパネルの性能にもよりますが、1層につき照射時間が2~8秒のものが多く、フォーマットのアームの上下の時間を合わせても15秒程度で1層終わるモデルが多いです。そのため、1層プリントする時間が熱溶解積層方式より早いです。
光造形式のデメリット
- 後処理や後始末が面倒くさい
出来上がった造形物は、必ず未硬化のレジンを洗い落とす「洗浄」と、積層の間にある目に見えない未硬化レジンを固めるための二次硬化が必要です。
この時、通常のレジンを使用する場合は、IPA(イソプロピルアルコール)といった危険物を使用する必要があります。
また、3Dプリンターのレジンバットも同様にIPAで洗浄する必要があります。(※洗浄に関しては、水洗いレジンを使用することで大幅に手間をなくすことができます。)
- 比較的高価
最近安いモデルも出てきましたが、それでも熱溶解積層方式のものと比べると本体価格も材料となるレジンの価格も比較的高価です。
たまに各メーカーがセールをやってるので、そこを狙うことで少し改善されますね。
- サポート痕が残りやすい
液体を固めて作成する特性上、液体のレジンには表面張力が働き、サポート材と本体の接している部分に液溜まりのように形が造形され、サポート材をはがすときに跡が残りやすいです。
サポート痕は熱溶解積層方式でも残りますが、光造形式は表面がきれいに造形されるのでよりサポート痕のボコボコが目立ちやすいので、用途によってはやする処理が必要になったりします。
Zbrushでモデリングしたものの出力は光造形式3Dプリンター一択!
Zbrushで作ったモデルを印刷するためには、熱溶解積層方式と光造形式、どっちがいいの!?という答えは、圧倒的に光造形式の3Dプリンターがおすすめということになります!
なぜなら、Zbrushで作成したモデルは、ほかのモデリングソフトと比べて曲面で構成されたモデルになる傾向が高いからです。
曲面を熱溶解積層方式の3Dプリンターで印刷してしまうと、すべてガタガタの表面で印刷されてしまうので、せっかくこだわった滑らかな起伏などは再現できません。
まったく印象が違うものを印刷しても意味がないので、少し高価ではありますが、Zbrushで作成したモデルを印刷するときは、必ず光造形式3Dプリンターを選びましょう!!
Zbrushにおすすめの光造形式3Dプリンター5選!
ということで、具体的におすすめの光造形式3Dプリンターを紹介していきます!
ANYCUBIC Photon Mono4K
出力サイズ13.2(幅)×8(奥行)×16.5(高)cmの家庭用光造形式3Dプリンターとしては平均的な印刷サイズ、4KモノクロLCDスクリーンを搭載していて3万未満という非常にコスパ最強なモデルです。
印刷速度も速めで、高さ12㎝のモデルを印刷するのになんと2.5時間で済んでしまうとか!
早すぎるぜ・・・。説明書や設定が英語でも特にアレルギーないよって人で、特に出力サイズなどにこだわりがなければ、もうこれでいいんじゃないでしょうか。
なお、2Kモデルもあるんですが4000円差しかないので、この際4Kにしましょ、そうしましょ。
Phrozen Sonic Mini 4K
3Dプリンターで4Kのモデルといえばこれ!Phrozen Sonic Mini 4K!
日本の3Dプリンターの販売店といえばSK本舗さんですが、そのSK本舗さんが代理店として入っているので、サポートが手厚い!初めての3Dプリンターって、なんで失敗しているのかわかりにくいんですが、そういった面でもこの商品なら安心です。
ユーザー数も多いみたいで、Twitterやグーグルで検索すると割と設定方法とか書いてくれている親切なユーザーさんもいるので、このモデルはそういう意味で非常に安心なモデルです。
なお、個人輸入でもっと安く買えますが、その場合もちろんSK本舗さんのサポート受けられないので注意です。このモデル買うならSK本舗さんにしましょうね。
ELEGOO Mars 3
高品質で低価格なUVレジンも販売しているELEGOOの光造形式3Dプリンターです。
こちらも4KのモノクロLCDを搭載しているので、早く、高解像度の印刷が可能です。
出力可能サイズ:は14.3(幅)×8.9(奥行)×17.5(高)cmは微妙にANYCUBIC Photon Mono4Kよりも大きいです。
対応言語に日本語があるのもいいですね。
レジンバットには、硬化したレジンが付着しにくく紫外線を効率よく通す特殊なフィルム(FEPフィルム)があるのですが、こちらに付属しているものはより高寿命高耐久なものを使用されているので、張替までの期間が長いのが特徴ですね。
FEPフィルムは消耗品なのですが、慣れる前に破れてしまうと嫌になっちゃう(破れるとめっちゃ悲惨なことになる・・・)と思うので、初めから高品質なものがセットされているのはうれしいですね!
Phrozen Sonic Mighty 4K
UVパネルを4Kの高精度のものを使用していながら、出力サイズ20(幅)×12.5(奥行)×22(高)cmのビッグサイズを出力できる欲張りモデルです。
その割に価格もそこまで高くないところもポイントが高いです!
Phrozen Sonic Mini 4Kと比べると、わずかに解像度は落ちますが、目視でわかるレベルではないですね。
Phrozen という日本でもシェアを取っているブランドですので、わからないことがあってもTwitterなどで情報を調べやすいのもいいところです!
Phrozenの公式サイトから個人輸入すると、2~3万安く入手できますが、日本語サポートがないのが迷うところですね・・・
ANYCUBIC Photon Mono X
こちらも4KモノクロUVパネルを使用していながら、出力サイズ19.2(幅)×12(奥行)×24.5(高)cmの家庭用としては特大サイズの印刷ができるマシンです!
特筆すべきはその価格の安さ!Phrozen Sonic Mini 4Kよりも安く手に入るのはすごいですよね。
スマホアプリで遠隔で印刷の管理もできるので、外出先でも印刷状況がわかるのは面白いですね。
意外といいなあと思うポイントは、レジンバットのレジンのMAXラインが引いてあること!
ついつい欲張ってレジンを入れがちですが、あんまり入れすぎると印刷中にあふれてしまうんですよね。
特大サイズを印刷するときは、途中でレジンが切れないように念のためレジンを多めに入れておきたいですが、見極めが結構難しい・・・。
しかしこのモデルはマックスラインが引かれているのでわかりやすく、レジンを最適な量入れることができます!
まとめ
Zbrushで作成した、こだわりの造形を印刷するためには、圧倒的に光造形式3Dプリンターが有利!
価格もお求め安くなっていますし、デメリットの洗浄なども水洗いレジンを利用すればハードルも低くなるので、この機会に光造形式3Dプリンターを導入してみることをお勧めしますよ!!
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