機械設計の仕事に携わりたいけどどこから始めたらいいかわからない。。
私も実は最初そう思っていました。工業高校で設計や材料、機構などの勉強はしていたものの、実務となるとそう単純にはいきません。
会社の業種や分野によって扱う機器や要素が変わってくるのでどこにいっても通用する知識を身に付けなければならないと思っていました。
会社に勤めて機械設計に関わるとその分野に対してはプロフェッショナルになりますが、オールマイティとは言えません。
やはり平均的に知識と技術を身に付けるには色々な業種を経験しなくてはなりません。
それは機械設計に関わらず何においてもそうだということは言うまでもないと思います。
そこで派遣会社という手段があります。派遣会社は多種多様な業種の中から選ぶため、知識の幅と可能性が極めて高くなると言えます。
現役エンジニアが派遣で設計職を目指すコツを解説します。
機械設計の派遣の仕事内容や年収
派遣での機械設計の仕事内容
派遣だからと言って、仕事内容が変わることはほぼありませんが、どこまで任されるかは会社の方針や契約内容によって異なりますので勤務先へ確認してください。
一般的には設計の全工程に携わりますが、定期的なメンテや修理はその会社に所属する専門の技術者に任せることになります。
下記表は機械設計の一般的な仕事の流れになります。
1 | 企画・仕様・予算等打合せ | 必要な性能や予算・いつまでに仕上げるかなど |
2 | 現場視察・作業者の意見集め | どこに設置するか、どうすれば作業しやすいか |
3 | 設計・図面作成 | 強度・材料・購入部品の型番・加工部品の見積 |
4 | 部品調達 | 部品購入・加工依頼・自社加工など |
5 | 組上げ、修正、調整 | 干渉部分、欠陥、異音や設計ミスの有無 |
6 | 現場への説明と引渡し | 使い方・注意点の説明、故障時の対応など |
7 | (定期メンテと故障時の修理) | (オイル交換)油圧、ドレン抜き(エア機器)消耗品の交換(ベアリング、チェーンなど) |
この中でも特に1~6まで、もしくは1~5までを担当することが多いです。
とは言え、現場の状況や希望などを把握したり、整備性を考えなければならないのは変わりませんので、現場に足を運んで勉強したり、作業性を考慮することも重要な役割です。
派遣での機械設計の年収
機械設計エンジニアは技術職です。多くの経験や知識を必要とするため技能職よりは高めに設定されているところが多い印象です。
初級設計者は350万~430万程度、上級になるにつれて450~500万程度が相場な傾向です。
派遣という勤務形態柄、経験を積んだ技術者は比較的ベースが高くなります。
機械設計の派遣のメリット
- 技術的な仕事に集中できる
- 幅広い業種を経験できる
メリットは色々ありますが、1つは技術的な仕事に集中できるという点です。
正社員ですと様々な会社の行事に参加しなければならず、技術的な仕事以外にもやる事があります。
この会社行事は社内での人付き合いが煩わしいと思っている人には苦痛でしかないですよね。
しかし派遣の場合、派遣期間も長くても3年と短いため、そういった行事に参加しなくても人間関係にそれほど影響しません。
2つ目の派遣のメリットは、幅広い業種を経験できるという事です。
派遣期間は3年程のため、契約が終わると次の派遣先に移ります。
そのため派遣先が自動車関連、航空宇宙関連、工作機械関連と変われば、それらを全て経験する事ができます。
もちろん、そのような派遣先を希望することもできるでしょう。
一般的に正社員でこういった複数の業界を経験できるほぼいないです。
それは転職を何度も繰り返す必要があるからです。
ですが派遣の場合は、比較的容易に3年おきにキャリアを変更する事ができます。
このように技術的な経験を積んでいき、最終的に大企業へ正社員として転職しても良いですし、独立してフリーランスの機械設計者として稼いでいく事もできるでしょう。
機械設計の派遣求人の探し方のコツ
やはり派遣というと経験者が優遇される傾向にあります。
派遣社員を受け入れる側からしても、経験を積んだ即戦力の人材を迎えられるといメリットを活かしたいため、ある程度場数を踏んでいる人は派遣会社からOKを貰えることが多くなります。
もし経験が全くない場合は派遣会社よりも転職エージェントをおすすめします。
転職エージェントについては別記事でも紹介しているため、そちらも併せてご覧ください。
また、経験があるからと言って日々の勉強を怠ってはなりません。
機械部品や構造、センサやアクチュエータは日々進化しています。利便性が高い新しい技術も毎日のように開発されています。
それらを組み込むことも、生産性・経済性を上げるために必要になります。
特徴とメリットデメリットを知ることも業務の一環と言えます。
機械設計の求人に強い派遣会社ランキング
ここで機械設計の求人に強い派遣会社ランキングを特徴や求人数も併せて紹介します。
パーソルクロステクノロジー
パーソルクロステクノロジーはITやメカトロニクスに特化した派遣会社です。
主に経験者採用の求人を取扱っており、キャリア人材に向いています。
機械設計での求人ヒット数は146件、設計エンジニアでの求人ヒット数は4426件です。(重複求人含む)
以下はその求人の一つで世界3大CADのNXを使った自動車用サスペンションの設計業務です。
リクナビ派遣
リクナビ派遣は技術職のみならず幅広い分野の求人を取り扱っている派遣会社で、総合求人数は群を抜いています。経験者から未経験まで幅広くサポートを行っています。
機械設計・電子設計ジャンルでの求人ヒット数は関東地方だけで801件、関西で563件でした。(産業主要都市を抜粋)
以下は求人の一つで、AutoCADを使った建設機械の設計業務です。
ヒューマンソリシア
ヒューマンソリシアは福利厚生やサービスまで幅広く手厚いサポートがあり、スキルアップのために資格取得支援・オンライン講座の提供も行っています。
機械設計での検索結果は26件、設計での検索結果は710件でした。
機械に限らず多種多様な分野でのCADオペレーターの求人が目立ちました。
以下は求人の一つで計測器メーカーでのメカ設計の仕事です。
リクルートスタッフィング
こちらも幅広い分野の求人を取り扱っている派遣会社になります。
また、個人的主観にはなりますがホームページの使い勝手が非常によく、わかりやすいです。
仕事には直接関係ありませんが、求人を探す段階でストレスになっては元も子もありませんからね。
機械設計での求人数は41件と少なめですが、CADオペレーターの募集は118件と、図面製作に特化した求人が多いです。
アデコ
総求人数はそれほど多くはありませんが、平均賃金の水準が高い求人が集まっています。経験者であればいい求人が見つかるでしょう。
検索ジャンルとしてメカトロニクス・エレクトロニクスという項目があり、都道府県別に検索できるのが魅力です。
求人数は東京都で62件、機械産業が盛んな神奈川県で73件、自動車産業で有名な愛知県は57件でした。
以上の紹介結果から、経験者であれば「パーソルクロステクノロジー」と「アデコ」、実力に不安がある人は「リクナビ派遣」、「ヒューマンソリシア」、特に図面関連で働きたい人は「リクルートスタッフィング」をお勧めします。
求人を探す際の派遣会社の活用の流れ
一般的な転職エージェントは登録・面談・応募となりますが、ほとんど変わらないと思っても大丈夫です。
登録
必要な内容(居住地や年齢、資格など)を入力します。ここは何も難しいことはないと思います。
自分に合った派遣求人を早く見つけるコツは、上記でご紹介した派遣会社に複数登録しておく事です。
良い求人なら当たるのは運もあるので、その確率を複数登録で可能な限り上げる事ができます。
面談
派遣会社のスタッフと電話やWebなどでカウンセリングを行います。
ここで伝えてほしい事項や希望勤務地、希望職種などを遠慮なく話しましょう。遠慮はいりません。
また、疑問に思ったことや不安なことも親身になり解答・アドバイスをくれるので、心配しなくても大丈夫です。
求人紹介・就業
希望に合った求人を紹介してもらい、条件に問題がなければ契約をし、就業開始となります。
ここでは提示された条件をよく確認し、わからないことは予め確認しておくことが重要です。
機械設計の転職に有利な資格やスキル
ここでは、機械設計者が転職時に持っていると有利になる資格をご紹介します。
やはり資格はその人のスキルを客観的に把握できますし、資格を取り、向上していこうという姿勢もアピールできるので転職には有利です。
中には国家資格で難易度が高く、アピール大の資格もあります。
それでは一つずつ見ていきましょう。
機械設計技術者試験
機械設計技術者試験は1級~3級があり、1級に行くにつれて難易度が高くなります。
3級は学生時代に取得する人も多いです。1、2級は実務経験がないと受験することができず、1級に限っては試験に小論文も入ってきます。
以下の記事に試験の概要、取得が向いている人、メリット、勉強法について解説しますので参考にしていただければと思います。
機械・プラント製図技能士
機械・プラント製図技能士は、機械やプラントの図面作成の国家資格です。
機械製図手書き作業、機械製図CAD作業、プラント配管製図作業の3種類があり、それぞれ1級から3級に分類されます。
1級に行くにつれ難易度も高くなり、受験資格に実務経験が必要になってきており、1級は実務経験7年以上、・2級は実務経験2年以上、3級は実務経験の規定なし、となっています。
CAD利用技術者試験
機械設計者にとって必須のツールの1つにCADがあります。
CADはツールですが、それを使いこなすかどうかで設計の効率化や、高度化に繋がります。
医者が手術器具を使いこなす事で神業的な手術ができるように、設計者もCADなどの設計ツールを使いこなす事で今までできなかった設計ができたりもします。
そのCADの中で最もポピュラーな資格がCAD利用技術者試験です。
2DCADと3DCADでそれぞれ級があり、実技試験がある級もあります。
資格の詳細や、勉強方法などは以下の記事にまとめてありますので参考にしていただければと思います。
技術士(機械)
技術系国家資格の最難関といえば技術士です。
技術士は機械や建築、土木、農業など様々な部門があり、機械設計者は機械部門の取得がおすすめです。
筆者も技術士(機械部門)ですが、非常に取得まで苦労しました。1次試験と2次試験があり、それぞれ1回/年しか試験が開催されないので、最短でも2年は取得にかかります。
また受験資格に7年を超える実務経験が必要というのがあるので、それなりの経験を積まないと受験できないという資格になります。
まとめ
派遣会社を利用することで幅広い業種を経験することができ、知識を蓄えることができます。技術というのは知識があっても経験が伴わなければ宝の持ち腐れです。
今回紹介した派遣会社はほんの一例です。自分に合う会社を探し、心地よい働き方ができれば、技量の習得もより質の良いものとなるでしょう。
この記事を読んだ方の参考になれば幸いですし、良い結果を祈っております。
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