機械設計に限らず職務を遂行するためには経験は必要不可欠なものです。
しかし、少しでも知識があった方が、知識がないよりは役に立つことが多いです。
知識があることでより多くの仕事も任せてもらえますし、その分、経験も積めます。
そこで、今回ご紹介するのは機械設計の知識の一つである「機械設計技術者試験」という資格について紹介します。

機械設計技術者試験の概要、取得が向いている人、メリット、勉強法について現役の機械設計者が解説します。
資格取得をして転職を考えている方は以下の記事も参考にしていただければと思います。


機械設計技術者試験とは?
既に機械設計に携わっている人でも知らない人がいると思いますので、まずは試験の概要、受験資格、試験内容、難易度、合格率、受験料を表形式でまとめて、紹介していきます。
機械設計技術者試験3級
試験目的:機械設計の経験がない人・経験が浅い初級者の技術・知識や意欲の向上
レベル:大学の機械学科卒レベル
試験概要 | 試験出題範囲 | |
受験料 | 8,800円(税込) | 【機械工学基礎】 機構・機械要素設計、機械力学、制御工学 工業材料、材料力学 流体工学、熱工学 工作法、機械製図 |
試験形式 | 全科目マークシート方式 | |
合格率 | 39.5%(直近3年間平均) | |
受験資格 | 不要 |
機械設計技術者試験2級
試験目的:安全的・経済的・効率的な機械の設計技術力の向上
レベル: 機械設計業務が任せられるレベル
試験概要 | 試験出題範囲 | |
受験料 | 22,000円(税込) | 【機械設計】機構・機械要素設計、機械製図等 【力学】機械力学、材料力学等 【流体・熱】流体工学、熱工学 【材料・加工】工業材料、工作法等 【メカトロニクス】制御工学、自動制御技術等 【環境・安全】技術者としての環境・安全の知識 【応用・総合】機械工学基礎及び関連する知識等 |
試験形式 | 原則マークシート方式、記述あり | |
合格率 | 38.8%(直近3年間平均) | |
受験資格 | 必要 | |
受験資格要件の最終学歴 | 3級取得後の実務経験年数 大学・高専専攻・能開大:2年 短大・高専・専門等:3年 その他(上記非該当):4年 |
機械設計技術者試験1級
試験目的:安全的・経済的・効率的な機械の設計技術力の向上
レベル:機械設計業務を指導できるレベル
試験概要 | 試験出題範囲 | |
受験料 | 33,000円(税込) | 【設計管理】機械設計に関する管理・情報等 【機械設計基礎】機械設計の基本となる計算等 【環境経営】管理者としての環境・安全知識等 【実技課題】設計実務を模擬した計算問題等 【小論文】テーマ選択、1200~1600字程度 |
試験形式 | 全科目記述・小論 | |
合格率 | 34.7%(直近3年間平均) | |
受験資格 | 必要 | |
受験資格要件の最終学歴 | 2級取得後の翌年度から |
3級は受験資格も必要なく、技術者として最低限必要な知識を確認する試験内容になっているため比較的難易度は低いといえます。
2級・1級は受験資格として実務経験が必要になるため中級~上級者向けである上に、経験を積んだ人が受験しても、合格率3割程度の難易度が高い試験といえます。
機械設計技術者試験はどういう人におすすめ?
機械設計者を目指す学生や新人技術者
将来、機械設計者として働きたい学生や新人の機械設計者には3級がおすすめです。
そもそも3級自体が新人技術者や学生の技術水準を適正に評価することを目的にしています。
受験資格もありませんし、合格率は3割です。ご自身の基礎レベルを確認するうえでも取得する人も多いです。
また学生の場合は、就職時のアピールにも繋がるので学生のうちに取得する人も多いです。
自己啓発したい機械設計の実務者
自身の技術力向上を目的に1級や2級を取得する機械設計者が多いです。
1級も2級も受験資格として実務経験が必要になってきますし、1級は小論文もテストにあります。
なので簡単な試験ではありませんが、全体を俯瞰した機械設計能力を向上させるには他にはない資格になっています。
機械設計技術者試験は意味がないと言われる理由
国家資格でない
機械設計技術者試験は一般社団方針 日本機械設計工業会が提供する民間資格に位置づけられる資格です。
国家資格じゃないので取っても意味ないのでは?という声も聞かれます。
それに対して技術最高峰の資格である技術士は国家資格であるため、どうしてもそれと比較される傾向にあるようです。
ただそもそも技術士とは難易度が違うので、技術士を取得するためのステップアップという位置づけでも良いと筆者は思います。
技術士については以下の記事を参考にしていただければと思います。
業務独占資格でない
業務独占資格とは、その資格を持っていないと、やることを禁止されている業務を独占的に行うことができる資格になります。
たとえば、弁護士、税理士、公認会計士などがありますね。
機械設計技術者試験は業務独占資格ではないので、取得メリットがないという意見もあります。
ちなみに技術士も業務独占資格ではないのです。
知名度が低い
機械設計技術者試験はまだまだ知名度が低く、例えば技術士に比べて、機械設計技術者試験の低い点も問題視されます。
採用担当者や上司がこの資格の価値を理解していない場合、取得しても活用しづらい状況が生まれます。
資格がなくてもキャリア形成が可能
資格を持っていなくても実務経験やスキル次第で評価され、昇進や転職が可能なケースもあるため、資格取得の必要性自体に疑問を持つ人もいます。
特に中小企業では、資格よりも成果を重視する文化が根強いです。
資格取得に費用と時間がかかる
試験勉強や受験費用が発生する中で、コストパフォーマンスに疑問を感じる人もいます。
その時間と費用を、実務経験を積むことや最新ツールの習得に充てたほうが有効だと考える人もいるようです。
機械設計技術者試験の取得メリットは?私の経験談
機械設計技術者試験を取得することの一番大きいメリットとしてはやはり、技術者としての意識の向上と自己成長だと思います。
この試験は、機械設計に関する知識や技術を体系的に学び、習得するための有効な手段だと思います。以下では、具体的なメリットをいくつか挙げて説明します。
専門知識の習得とスキルアップ
この試験では、力学、材料学、製図法など、設計業務に必要な基礎知識から応用知識まで幅広く学ぶことが求められます。
この過程で、日々の業務では習得しづらい理論や設計手法を体系的に理解できるため、スキルアップにつながります。試験勉強を通じて得た知識は、設計や製造プロセスの改善やトラブルシューティングにも役立ちます。
キャリアアップや転職に有利
機械設計技術者試験は、設計分野での専門性を証明する資格として、企業でも評価されています。
特に、設計業務の専門性を重視する大手企業やメーカーでは、この資格が採用や昇進の際に有利に働くことがあります。
また、資格を持つことで、転職市場でも「設計に精通している人材」として認識されやすくなるため、新しいキャリアの可能性を広げることができます。
信頼性の向上
資格を持つことで、自身のスキルに対する信頼性を高めることができます。
特にチームで働く場合や顧客と接する際に、資格があることは「この人は基礎から応用まで設計を理解している」と相手に感じさせる要因となります。
これにより、業務での責任ある役割を任されることが増え、さらなる成長の機会を得られるでしょう。
自己成長とモチベーションの向上
資格取得に向けた勉強は、目標を設定し、それを達成するプロセスを経験する貴重な機会です。
特に忙しい社会人が時間を作り、知識を身につけることで、自己管理能力や達成感を得られます。
また、試験に合格することで自信がつき、新たなチャレンジへの意欲が湧くこともメリットの一つです。
基礎力の確認と弱点の克服
試験勉強を進める中で、自分の知識の弱点や不足しているスキルを明確にすることができます。
例えば、製図法が苦手な場合でも、試験に向けて学習することで、苦手分野を克服できます。このプロセスは、日々の業務でも活用できる実践的なスキルの向上に直結します。
機械設計技術者試験のおすすめの勉強方法とコツ
試験勉強は多くの人が参考書を使用して勉強するか、スクールで勉強するかになると思います。
そして機械設計技術者試験に限らず、資格試験合格の一番の近道は過去問をこなすことです。
参考書を全部覚えても、スクールで知識を得ても、実際の試験で回答に活かせなければ意味がないですよね。
大切なのは「問題を解けるように知識を変形させられるようになる」ことです。
参考書で勉強する
勉強の基本は参考書と過去問を併用することです。
おすすめの参考書を紹介します。
まずは3級からですと、森北出版の「わかりやすい機械工学(第3版)」です。
機械の基本から材料、力学、制御など設計に必要な知識を習得することができます。
2級・1級だと、「実務に役立つ機械公式活用ブック 改訂2版」です。
2級、1級を受験する人は、基本的な知識や理屈は身に付いていると思います。
わからない、忘れてしまった時に、ピンポイントで調べることができる公式集を活用することをお勧めします。
オンラインスクール
こちらも基本はオンラインスクールで習った知識を過去問で定着させることです。
「ProSeeds」というeラーニングを提供しているサイトから機械設計に関するオンライン講座を受講することが可能です。
費用は多めにかかりますが、正しい知識を確実に取り込みたい人は検討してはいかがでしょうか。
もしくは、以下のスタディサプリでは機械設計技術者試験が学べるスクールを全国から探すことができます。
キーワードに「機械設計技術者試験」を入力し、自分に合ったスクールを探してみましょう。
過去問を解く
一番大事な部分になります。
機械設計技術者試験を実施している協会のホームページに、過去3年分の過去問と正答が公表されています。
それを何も見ないで制限時間以内に解答し、合格点に達することが安定してできるなら合格は目の前にあるはずです。
過去問を解く際、意識してほしいのは、「問題からも知識を得られる」ということです。
例えば、以下のように4択で誤った記述を択一する問題があります。
A:φ10は、直径10mmであることを表す。
B:C2は、角度30°、寸法2mmの面取りであることを表す。
C:Sφ30は、直径30mmの球であることを表す。
D:□20は、一辺が20mmの正方形であることを表す。
この中で選ぶべき選択肢はBです。面取り角度は45°になるからです。
その際この問題は「B記述載は誤りであるがその他A、C、Dの記述は正しい。」と読み取ることができれば1つの問題を解いただけで3つ知識が増えます。
こうして、問題一つ一つを読み取っていくことができれば合格の近道となるでしょう。
機械設計に関するその他の資格
CAD利用技術者試験
機械設計者が必ず使うツールにCADがあります。
そのCADの資格の中で最もポピュラーなのがCAD利用技術者試験です。
1級~3級まであり、3次元CADや2次元CADなどご自身が使っているもしくは使う予定のCADの種類も選べます。

今なら3次元CADの方を取得した方が良いです。世の中、2Dから3Dに移行しているので。
CAD利用技術者試験の取得を目指すなら、Winスクールがおすすめです。


機械設計技術者試験は意味ない?のまとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は機械設計者向けの資格である機械設計技術者試験の概要、取得が向いている人、メリット、勉強法について以下の内容をまとめてみました。
- 機械設計技術者試験とは?
- 機械設計技術者試験は意味がない?取得メリットは?私の経験談
- 機械設計技術者試験のおすすめの勉強方法とコツ
- 機械設計に関するその他の資格
機械は今後、ソフトウェアによる制御がますます増えていくとは思いますが、将来的に見ても機械というものは無くなりませんし、機械設計者は非常に重要な職業であることは変わりありません。
優秀な機械設計者であり続けるためにも機械設計技術者試験などを取得し、自己啓発していくことが今後も求められると思います。
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