世界的にDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する中、日本もデジタル庁を設立するなど様々な対策を打っています。
そんな中、国内ではデジタル社会を目指し益々IT系の仕事に人気が集まっています。
IT系の仕事の中に同じパソコンを使うCAD(Computer Aided Design)の仕事とプログラマーの仕事があります。
どちらも男性、女性、関係なく活躍できる職種で人気があると思います。
ただこれから働き始める人や、キャリアアップを考えている人にとって、どちらの仕事を選ぶべきか?どちらの方が将来性があるのか?という疑問もあるかと思います。
そこで今回は、それぞれの仕事の特徴や、どちらを選ぶべきかを書きたいと思います。
デジタルエンジニアリング業界で20年以上働く筆者がお答えします!
CADとプログラミングの違い
CADは、Computer Aided Designと言い、パソコン上で2次元の線や、3次元の立体形状を描くソフトのことをいいます。
CADを使って上記の作業をする職業をCADオペレーターと言ったりもします。
これに対して、プログラミングとはPythonやJava scriptなど様々な言語でプログラムを書き、パソコン上の作業を自動化したり、簡素化したりすることです。
そう考えるとCADとプログラミングは非常に相性が良く、CADの単純作業をプログラミングにより自動化してあげることで、生産性が劇的に向上できます。
なので、CADを使っている企業ですと、CADとプログラミングの両方を精通している技術者は非常に重宝されています。
CAD技術者とプログラミングどちらの職種を選ぶべきか?
CAD技術者とプログラミングどちらの職種を選ぶべきか?
結論から言うと、私はどちらもやれた方が良いと思っています。
そりゃそうだろ!と思われるかもしれませんが、大事なのはどちらを先にやるべきか(経験すべきか)?という順番で、私は、CADの仕事をやった後にプログラマーをやった方がキャリアアップがやりやすいと思っています。
これは現場を20年以上見てきて思った答えになります。
CAD技術者(オペレーター)とプログラマーの役割の違い
CAD技術者とプログラマーのどちらかを選ぶというのではなく、どちらもできるようにしていく、そのためにはCAD技術者、プログラマーの順番で経験したほうがキャリアアップには良いという話しをしました。
この理由を説明するには、それぞれの仕事の役割から見ていく必要があります。
CADの仕事の役割ではCADソフトを操作してCADを使って図面を描いたり、3Dモデルを作り、3Dプリンターや金型製作で使ったりします。
この仕事はCADオペレーターと呼ばれ、建築、土木、自動車、航空宇宙、電気、インテリア、服飾など様々な業界で活躍しています。
これに対してプログラマーは、PythonやRubyなど様々なプログラミング言語を使って、パソコン上の色んな作業を自動化するプログラムやツールを作っています。
CADオペレーターはCADを操作する、プログラマーはパソコン上の作業を自動化するプログラムやツールを作る、この役割の相性がものすごく良いのです。
CADの操作には以下のように色んな繰り返しの作業があります。
- 線を描く、消す
- 線の線種を変える
- 要素(線、面)に色を付ける
- 3DモデルにR(フィレット)を付ける
これは単調な作業でCADオペレーターにとっては肩こりや目の疲れに繋がる辛い作業です。
これらをコンピューターが自動でやってくれたらどれだけ楽だろうとほとんどのCADオペレーターが思うのではないでしょうか?
こういったCADでの単純作業をプログラミングで自動化できたら、かなりの効率化、生産性向上につながるのです。
プログラマーがCAD操作を知るところからスタートする
前述した通り、CAD操作の中でも単純作業をプログラミングを使うことで自動化できると、生産性向上につなげられます。
したがって、CADとプログラミングは相性が良いと言いました。
ここで重要なのが、プログラマーがCAD操作の自動化ニーズをどれだけ知れるかです。
CAD操作のどこに時間がかかっていて、非効率か?を知ることが重要です。
一般的に企業内ではCADオペレーターとプログラマーの仕事が分かれていて、自動化する案をプログラマーがCADオペレーターにヒアリングし、ツール作成します。
しかし、プログラマーはCAD操作をメインでやったことがないので、CADオペレーターの気持ちになりきれないというか、潜在的なニーズまで感じ取ることが難しいのです。
これは起こりがちなツールの仕様決めの際の問題です。
結果、出来上がったCAD操作自動化ツールが使い物にならない、使い勝手が悪いなどの問題が起こります。
もしプログラマーがCAD操作の非効率なところを知っていれば、簡単に自動化ツールのアイデアが浮かんでくることでしょう。
1番良いのはプログラマーが少しでもCADオペレーターの実務経験を持つことです。
プログラマーとしてCADオペレーターを2年経験すれば十分
では、プログラマーとしてどれぐらいの期間、CADオペレーターの経験を積めばよいのでしょうか?
私としては2年で十分だと思います。
業界や会社ごとにCADの使い方も違うので、一番良いのは特定の業界の特定の会社でCADオペレーターを経験し、そのままその会社でプログラマーに転向し、CAD操作自動化ツールなどを作っていくというのが良いキャリアパスだと思います。
更にプログラマーとしてキャリアアップしていくのなら、上記の経験を活かしつつ、違う業界や会社に転職や副業で年収アップを狙うのも良いでしょう。
副業なら以下のフリーランススタートが良いですよ。
CADプログラミングの案件が結構あります。
転職ならやはり大手のDodaですね。
一通りCADオペレーターからプログラマーまでの経験を積んでいれば、業界、会社が変わってもやることは同じですし、CADオペレーターの気持ちも分かっているので自動化すべき点、ヒアリングのコツなども手に取るように分かると思います。
これからは自動化できるところはプログラミングなどでドンドン自動化されていきます。
それをプログラマーとして、自動化ニーズを素早くツール化し、改善していくというサイクルをどれだけ早く回せるか、いわゆるアジャイル開発できるか、というのが重要です。
これができるプログラマーは人材の市場価値がかなり上がるのではないでしょうか?
CAD操作が自動化されるとCADオペレーターは不要?
ここまでの内容だとプログラマーとしてのキャリアアップに偏っていて、CADオペレーターはどうなるの?
あらゆるCAD操作が自動化されるとCADオペレーターは不要になるの?と思われたかたも多いかもしれません。
たしかにCADの世界も技術が発達しており、昔のようにCADオペレーターが活躍できる領域も変化しつつあると思います。
例えばほとんどの会社が2DCADから3DCADへ移行しています。
したがって、昔ほどトレーサーなどと呼ばれる、紙図面を2DCADを使ってデータ化する仕事などは減っていくでしょう。
更には建築業界では3DCADからBIM/CIMといった3Dモデルに様々な情報を付加し、各種自動化に活用していくという次の技術も始まっています。
BIMと同様の技術は、機械系でいうと3D図面(3DA)でしょう。
なのでCADオペレーターとして生き残っていく一つの方法としては新しい技術に適応していくことです。
また、CADオペレーターから設計士、設計者へ転身する方法もあります。
そもそもCADオペレーターは設計者からの指示をもとにCADを使って図面にしたり、3Dモデルにしたりします。
上記の仕事を通してベテランのCADオペレーターだと、自分でも設計者になりたいと思っている人や自分でも設計者の仕事をこなせそうだと思っている人が多いと思います。
そういう人はCADオペレーターから設計士、設計者へ転身すれば良いと思います。
いずれにせよ、CADの操作だけができるというのは今後の長い目で見ると市場価値が下がっていく可能性があります。
なので、CADオペレーター+αのスキルを身につけ、スキルの掛け算で人材の市場価値を上げていくことが重要だと思います。
CADオペレーターの将来性については以下の記事でも体系的にまとめてみましたので参考にしていただければと思います。
CADプログラミングが学べるスクールおすすめ
CAD周りの操作をプログラミングで自動化したいというプログラマー志望の方におすすめするのが、CADに使うプログラミングが学べるスクールや、転職支援をしている会社です。
私としては以下をおすすめします。業界でも有名なので安心して色々と相談できます。まずは無料カウンセリングから!
まとめ
今回は、CADオペレーターとプログラマーはどちらかを選ぶべき?ということについて一つの考えをまとめてみました。
再度内容をまとめると以下になります。
- CADオペレーターとプログラマーはどちらかを選ぶのではなく両方できるのが望ましい
- その際、CADオペレーター、プログラマーの順番で経験を積むと良い
- CAD操作を知らない人がプログラミングだけできても良いツールはできない
- 今後、可能な限りCAD操作は自動化されていく
- そのためCAD操作だけできる仕事は価値が減っていく
- CADオペレーター+αのスキルで将来に備えるべし
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