建築や機械・電気など様々な業界で、ものづくりに当たり前に使われるようになってきたCADですが、最近は働き方や人生観の多様性も相まって、CAD設計やオペレーターのフリーランス、業務委託や独立開業が増えてきています。
そこで、今回はCAD設計やオペレーターで独立開業した現役のフリーランスの方、5名に以下の内容で語ってもらいました。
- CADフリーランス・業務委託の仕事内容(使用CAD含め)
- 独立開業した理由
- 年収や仕事環境、生活スタイルの変化
- CADフリーランスのメリット・やりがい、デメリット
- 仕事の探し方
- CADフリーランスになるために必要なこと
では早速、具体的な事例について見ていきましょう。
いきなりフリーランス・独立でなくても副業やアルバイトから始めるのもありですね。
CADを使ったインテリアデザイナーのフリーランスの事例
マンションや店舗の設計・インテリアデザイナー
30代男性でフリーランスのインテリアデザイナーとして活動をしており、マンションのリノベーションや店舗の設計を主の業務としています。
クライアントへの提案用や施工会社への説明用として図面が必要となり、その時にCADを使用して作図を行っています。
報酬としては、坪単価で設計・デザイン料を試算することが多いですが、金額や規模によっては総工費の数%が報酬となる場合もあります。
他の設計事務所の手伝いなどをする場合は、時給計算や図面1枚当たりの単価で請求する場合もあります。
使用ソフトはVectorworksがメインとなり、このソフトで2Dも3Dも作成しています。
仕事の見つけ方は、前職で関わりのあった施工会社などからの紹介や、オンラインでのマッチングサービスを利用しています。
現在登録しているのはアーキクラウドというサイトです。
ベクターワークスや建築パースのフリーランスの事例はについては以下の記事も参考にしてみて下さい。
独立しても仕事の目途が立つ見込みがフリーランス転向の理由
フリーランスになるまでは、いくつかの設計事務所を渡り歩いてきました。
主に店舗のデザインをしており、飲食店や物販店、旅館の設計などを担当していました。
その時にもVectorworksを使用して作図をしていました。
フリーランスになったきっかけは、最後に勤めていた会社の業績が怪しくなってきており、転職をするか独立をするか悩んでいました。
その事を回りの取引先や協力業者の人達に相談をしたところ、独立しても仕事の目途が立ちそうな事が分かり、フリーランスとして活動を始める事を決断しました。
2022年4月から活動を始めたばかりなので、年収ベースでは会社勤めの頃よりは現状下がっています。
仕事環境や生活スタイルは自由な為、通勤電車などのストレスもないのが良いところです。
しかし、打合せなどの予定が入っていないと、丸一日、人と話さないという事もある為、少し寂しく感じる事もあります。
CADフリーランスのメリット・デメリット
メリットとしては、やればやった分だけ収入アップに繋がる事だと思います。
また、仕事のスケジュールも、納期さえ守れば自由に時間配分できる為、平日の昼間に気分転換で運動をしたりできるので、生活クオリティが豊かになったと感じています。
そして最初から最後まで自分一人が担当をする事になる為、クライアントとの関係も深くなり、仕事以外でも色々な話ができたり、新しい仕事のチャンスにも繋がっていると感じています。
大変な事としては、忙しくするのも暇にするのも自分次第となってしまうので、モチベーションを維持する事が少し大変に感じます。
そんな時は、同じく独立している仲間や、異業種の先輩などと話をしてやる気を回復するようにしています。
また、経費削減のため、税理士に依頼せず、自分でクラウド会計ソフトを使って経理処理が面倒です。
最近はクラウド会計ソフトでだいぶ楽になりました。
誠実な対応が一番大切
CADフリーランスは専門職の色が強いと思いますが、仕事を頂いたりする為には人付き合いも大切になると感じています。
オンライン上で仕事を得る事ができるようになってきていますが、口コミや紹介で仕事を頂く方がクライアントとの信頼関係を築きやすいと感じています。
当たり前の事になりますが、誠実な対応が一番大切かなと感じます。
自動車業界の機械設計・CADフリーランス、業務委託の事例
3Dモデリングから機械設計までが仕事
自動車製造業界にて、機械設計のフリーランスをしている40代男性です。
3Dをトレースするだけの仕事もありますが、基本は構想から詳細設計まで機械設計として活動中。
案件によっては構想は客先で詳細設計のみの受注や、局部のみの依頼等、内容はその時々によりさまざまです。
単価は幅がありますが、時給換算で3500円~5000円程度です。
また、時間による単価ではなく、案件毎に金額を見積り提示する場合もあります。
CADは、iCAD SXやFusion360、Solidworksを使っています。
仕事は知人との繋がりで知り合った製造会社さんや前職の時に付き合いがあった関係会社からの受注がほとんど。
最近は以下の記事で紹介しているようなCADのフリーランス案件を横断検索で探せるサイトを活用して、新規案件を取りに行っています。
こういうサイトは登録が無料なので複数に登録しておき、仕事をきらさないようにするのがポイントです。
サラリーマン時代からフリーランスを意識して仕事をしていた
前職も今と同様、機械設計の業務に就いていましたが、もともと独立したいと数年前から考えていた為、会社員として働きながらも常にフリーランスになった時との比較はしていました。
例えば会社の組織・人数が多い部署としての非効率な面、やりがい等、収入面、将来にかけてのスキルアップ等。
またコロナ禍のことも大きく影響しますが、仕事のスタイルとして、打合せ、現物確認等は客先へ伺いますが、仕事をする場所はほとんどが自宅での業務が多いです。
会社員の頃と比べ通勤時間がない分、仕事に充てる時間を増やしたり家族と過ごす時間は断然増えました。
フリーランスへの転換のタイミングは、現在仕事を頂いている方と話し、転換後も仕事が得られそうだと思ったことが大きい理由です。
フリーランスはストレスフリーなことが多い
メリットは、会社員の頃と比較し、業務に充てる時間の自由度が高く、会社員の頃は自動車通勤で、渋滞等もあり往復で1時間半はかかっていたが、フリーランスではほとんどそれが無いです。
打合せ等で客先へ伺うこともありますが、朝一ですることはあまりなく、渋滞等が無い時間で動くことが多いので、移動もストレスフリーです。
色々な業務に携われるのもスキルアップにつながります。
会社員の頃と比べ設計の業務の中でも偏りがない為毎回新鮮な気持ちで仕事をやれます。但し、難しそうな案件等を受けるときは、そのプレッシャーも大きいです。
あとは、新しい人との出会いが多い、やればやるだけ稼げるなどのメリットもあります。
デメリットは、収入が安定しなかったり、人との付き合い方に慎重になる必要がああります。
また受けた仕事が日程通りにいかない時も多々ある為、負荷、日程調整が難しいです。
行き詰った時に踏ん張れる気持ちが持てるかが大切
受けた仕事は責任をもってやりきる胆力、途中で投げ出すことは基本NGなので、行き詰った時等に踏ん張れる気持ちを持てるかどうか、フリーランスになる前にも経験できると思います。
そいった時の自分に自信が持てるならやっていけるかと思います。
また、仕事が途絶えるのは本末転倒なので、仕事を貰えるルートを複数持っておくこと。
ロボットのCADオペレーターのフリーランス・業務委託の事例
FreeCADを使ったロボット部品設計の請負
製造業(ロボット製造)で、ロボット部品の設計を請け負っている20代女性です。
単価はその時によって様々ですが、最低だと1案件5000円、高いものだと1案件1万円程度となっています。
使用CADソフトはFreeCADです。
フリーランスの仕事を見つけた方法は、知人から一緒に仕事を行う方たちを紹介してもらって始めました。
また、SNSを通して自分の経歴をアピールして、仕事を提供して下さる方を数人見つけて仕事を提供してもらいました。
それから、長期的な仕事を確保するために、以下のようなクラウドソーシングサイトで自分の技術力を活かせる案件を探して単価などを交渉して仕事を請け負う形で毎月の仕事を確保しています。
事務職からCADフリーランスで年収20万UP
CADフリーランスになる前は、IT関連会社で事務職として働いていました。
収入は安定していて仕事内容にも特に不満はなかったのですが、将来長く働き続けることを考えた際に、結婚や出産を経ても働けるかという部分で不安を感じ、手に職をつけたほうがいいのではないかという気持ちが強くなりました。
そんな中で大学で同じサークルに所属していた友人と近況報告をしていた際に、CADフリーランスとして働いていてやりがいを感じつつ、プライベートの時間を確保して働いているという話を聞き、自分の理想としている働き方ができるのではないかと感じ、CADフリーランスになることを決めました。
それから、CADフリーランスになり年収は事務職だった頃に比べて20万円程度増加し、仕事環境は自宅ですべての作業を行うことができて仕事量を自分で調節できるようになり残業もなくなりました。
それから生活スタイルも、週3日休日を取るなど会社員だった頃にはできなかった働き方ができるようになりました。
相手の要望をCADスキルで実現するのがやりがい
CADフリーランスのやりがいは、相手の方が何を求めているかを考えながら、自分の技術力を最大限に活用していけることです。
仕事を依頼して下さる相手の方が、どの程度詳しい製品の製図を必要としているかをリモートでの打ち合わせなどを通して把握しつつ、分かりやすさと自分のオリジナリティをどうバランスを取りながら製図を作成していくところにやりがいを感じます。
CADフリーランスのメリットは、他のフリーランスの仕事に比べて競争相手が少なくて比較的新規の仕事を獲得しやすいことだと思います。
CADフリーランスのデメリットは、確定申告を自力で行う際の手続きが煩雑なことです。
様々な相手と仕事をしていることもあり、確定申告を行う際に源泉徴収が行われているかなどを1つ1つ確認しなければならず、収入に関する書類を確保するまでに時間がかかってしまい確定申告を期日間際に行うことになってしまったことが大変でした。
継続的なスキル向上が大切
CADフリーランスになるとプライベートの時間を確保しやすくなるなどのメリットが多いですが、CADの知識を身に着けるためには半年程度が必要になるので、新しい知識を身に着けることを楽しめて難しい内容でも粘り強く毎日学習を続けていく心構えが必要だと思います。
電気・機械のCADオペレーターのフリーランス・業務委託の事例
複数CADを使って様々な業界の仕事に対応
以下のような様々な業界のCADモデルを作成しています。
- 音響機器業界
- 電機機械
- 食器関係
- 樹脂部品関係
- 金属部品関係
- 木工家具関係
- ジュエリー関係
- 雑貨業界
仕事内容は、商品企画段階のデザイン検討や試作用途の3Dモデリング商品説明用途の3Dレンダリング、及び、量産実現性設計と評価、量産治工具関係、CAE強度解析と余裕度算出、CAE振動モード解析と色々とやっています。
単価については、単純CADオペの場合、時給換算で2000円程度、設計を含む場合3500円程度です。
使用CADも幅広く、Fusion360、ZW CAD(2D CAD)、Solidworks、CATIAです。
フリーランスの仕事は、クラウドワークス、ランサーズ、タウンワーク、indeedなどで探しています。
定年退職を機にCADフリーランスへ転向
CADフリーランスになる前の仕事は、一部上場企業で商品企画~量産設計までのコンシューマー製品開発設計業務をしていました。
その会社を定年退職後、CADフリーランスとして稼いでいます。
空いた時間でゆったりと仕事をしているため、フリーランスになって年収はサラリーマンと比べ1/10程度になってしまいました。
ですが、仕事環境は時間と場所の自由度が増え、生活スタイルは自分中心になり土日に働き、平日に遊ぶ様になりました。
業務委託案件の場合には自宅で業務が完結する為生活スタイルは在宅ワーク中心です。
欠点としては受注゛か常にある訳では無いのて収入の予測ができなく安定しません。
この為固定費をできる限り縮小して受注が無くても凌げるアルバイト等で副収入の確保をしています。
また、その他CADソフトやハードのメンテ費用の償却も考慮して生活費の収支を考慮する必要があります。
CADフリーランスは自分のやりたい仕事を選べる
CADフリーランスのメリットは何と言っても自分の意思のみで仕事を受ける受けないが決定できる点で、時給が安価でもやりたい仕事であれば受ければ良いし、時給が高価でもやりたく無い仕事であれば、受けなければ良いです。
やりがいとしても自分の得意分野に特化する事で時給単価もUPできるし差別化も可能。
一方で、デメリットとしては求人が常にある訳では無く、更に自分の得意な業務内容でヒットする確率は低く専門外の仕事でも受けて行く必要があります。
また、信用を得られるまでの期間の収入は非常に安価で生活を維持するのが大変です。
失敗談は色々とありますが、最も困るのは、発注側の知識が無く、目標物のゴールが曖昧で、納品しても何度と無く修正依頼が入り検収までに元々の見積もりの数倍かかる場合がある事。
CADフリーランスは建築・土木系の求人が多い
CADは大別すると建築土木系と機械系の2種類に分類できますが、一般的に建築・土木系は求人案件も多く、常に住宅の建て替えがある為、フリーランスの仕事がある傾向です。
特に建築系は募集専用のサイトもあるので、建築の方が直接求人をかけていたりするそうです。
意匠やリフォーム系での求人はよく募集をみかけます。
機械系の場合は基本的にメーカー内部の正社員業務で完結している場合が多く、フリーランスの案件自体が多くは無いし、CADも同一機種で履歴を含めてやり取りする必要があるので、注意が必要。
またCADのライセンスは自前で用意する事が殆ど。
機械系の板金物のCADフリーランス・業務委託の事例
板金物・一般購入品のモデリング、アセンブリ、バラシ図作成
地元で3次元CADの仕事を探していたところ、CADオペレーターを探していた設計者の方とマッチングして数年間アシスタントをしていました。
守秘義務契約があるので内容については具体的にかけませんが、業界は機械系、仕事内容は板金金物や一般購入品のモデリング、アセンブリ、バラシ図作成などを行っていました。
時給は、1900円程度だったと記憶しています。
使用ソフトはSolidWorksとAutoCADで、ライセンスは設計者の方からお借りしていました。
リモートで繋いでいたため、不明点もリアルタイムで聞けるメリットがあり、遠隔でも仕事の内容については困ることがありませんでした。
仕様の変更で穴位置をずらすなどオンタイムで変更が加わるので、臨機応変さは求められましたが。
大手の派遣社員からCADフリーランスへ転向
フリーランスになる前は派遣労働者として大手企業に派遣されていました。
景気の悪化と田舎住みということもあり、次の仕事がなかなか決まらずにやむを得ずフリーランスになったのが理由です。
年収は三分の一程度に減りましたし、仕事環境は整える必要がありましたが、フリーランスであればこそ暇な時期は他の仕事で埋めることもできたため、なんとか継続してこられた感じです。
生活スタイルの変化は、フリーランスは時間の拘束がないので、夕方連絡が入って明日の朝までにといった飛び込みの仕事があるところです。
普通であれば終業時間を過ぎていても関係ないですし、時間外だからといって割増もつかないのは難しいところではあります。
またソフトによっては大容量のパソコンが必要なため、出費はそれなりにありました。
CADフリーランスのメリットは時間に縛られないこと
フリーランスのメリットは時間が自由なところ。
病院や買物など私用で出かけたい放題ですし、時間に縛られることはありません。
デメリットは求人者にはハイスキルを求められがちだということ。
設計者は設計者レベルのアシスタントを欲しがるため、図面が書けるとかモデリングやアセンブリができる程度では、じゃあ自分でできるからいいと言われてしまい契約に繋がらないことが多々ありました。
建築や電気はできる人が少ないのか比較的CAD求人も多い傾向があります。
意匠とかリフォームとか積算とかができる人は仕事が得られるかも知れないです。
機械系は求人自体がかなり少ないのにライバルが多いので、受注が難しいです。
私も新規の仕事が得られず外に働きに出ることも多いので。
CADオペレーター以外の可能性も探してみる
「自分の才能を活かして新たな挑戦をしたい」「趣味や得意なことを副業にして、収入アップを目指したい」と感じている方は少なくないでしょう。
そんな方にぴったりのサービスが「キャリフリ」です。
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副業を始めるべきか、転職が適しているか、またはフリーランスとして独立するのが自分に合っているのか。
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キャリフリでは、以下の4つのコースを選ぶことができます。
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- パーソナルキャリアコース
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あなたに合ったキャリアの道筋が、きっと見つかるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はCADフリーランスの事例をまとめてご紹介しました。
以下の記事も参考にしていただければと思います。
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