建築業界のCADオペレーターの仕事は、2D図面を作成するだけでなく、3DCADやBIM、パース作成などマルチスキルが求められています。
建物の図面を描いて終わりではなく、よりエンドユーザーに3D形状としてビジュアル的な訴求をするために、専用ソフトでパースを作成したり、それをアニメーションやVR技術を使って、よりリアルに建物を内覧してもらうなどの技術も出てきています。
そんな中、今回ご紹介するのは建築パースのフリーランスの事例です。ソフトとしては以下を使ったものです。
- CINEMA4D
- VectorWorks
- SketchUp
- Shade
- Lumion
- AutoCAD
経験豊富なフリーランスの方に、それぞれの具体的な仕事内容、収入、これからフリーランスになりたい人や、副業したい人へのアドバイスなどを語ってもらいました。
全て女性の事例です。手に職があると、バリバリと稼げる典型的なパターンなんだと思います。
CINEMA4DやVectorWorksを使った建築パースのフリーランス事例
フリーランスとしてフリーでCGパース(建築)作成、画像加工・写真合成などをしている31歳女性です。
建築パースのフリーランスの具体的な内容と収入
副業の内容はCINEMA4DとVectorWorksを使ったオフィスパース、商業施設、住宅、店舗などです。
CINEMA4Dは自分で購入し、VectorWorksはリモート経由で発注先の会社から貸与してもらっています。
時給1400円でやっており、作業は案件にもよりますが1件につき3日~2週間程度です。
副業は、元々働いていた会社の人の紹介や、お客さんにフリーになった旨をメールで伝え、そこから依頼をもらったりしています。
あとは以下のようなフリーランス向けのサイトに登録し、新規顧客開拓もしています。
これらのフリーランス向けサイトは、登録が無料なのと、アドバイスや営業代行などもしてくれるので、複数サイトに登録しておくことがポイントです。
建築パースのフリーランスのメリット
メリットは、時給制なので途中で用事かあったりして中抜けしても問題がない。
自宅で仕事ができるので、移動や通勤の手間がなく、時間を有効に使える。
また仕事が少ないときは無理にやらなくていいし、逆に仕事が多いときはあまり時間を気にせずに残業ができるところです。
建築パースのフリーランスのデメリット
デメリットは、仕事のスイッチが入らない時があります。
また家族が経営する会社の一角を借りて作業しているので、いろいろな人が来て集中できないこともあります。
自分の得意な作業・苦手な作業を他の人とバーターすることができないため、必要以上に作業に時間がかかてしまうことがある。
レンダリングには高スペックのパソコンが必要
自宅のパソコンは、台数も1台のみなのでレンダリングに時間がかかってしまうと他の作業ができなくなってしまいます。
過去の副業案件で、3カット程度の案件でもレンダリング時間が長いと、1台しかないパソコンが稼働しっぱなしになり、丸一日ほかの作業ができなかったりします。
なので金銭的に余裕があれば作業用PCのほかにレンダリング用のPCを用意しておくといいかもしれません。
レンダリングPCをレンタルできるサービスなどもあるようなので、そうしたものを使うのも一つの手段かなと思います。
営業が難しいのでまずは下請けからでもOK
私の場合、運よく以前働いていた会社の方から仕事をもらうことができ、ある程度安定して仕事ができていますがコロナによる建築業界全体の落ち込みもあり、設計事務所やデザイン事務所から安定して仕事をいただくことが難しくなったと思います。
そのためこれからフリーになる場合は、100%自分で仕事を取ってくるというよりは、まずは下請けから始めてみるのもいいかもしれません。
ベクターワークスの副業事例は以下の記事を参考にしていただければと思います。
確定申告や会計の知識も必要になってくる
フリーランスになったら青色申告など確定申告が必要になります。
そこで私も会計ソフトの「弥生」を導入してみました。
会計ソフト利用がはじめてだったの不安でしたが、かんたんに使える作りになっていたので問題なく使えています。
私が選んだベーシックプランでは分からない操作が出てくると、電話・メール・チャット・画面共有などで丁寧に教えてくれたので非常に助かりました。
さくっと確定申告を済ませることができましたよ。
SketchUpを使った住宅用パースのフリーランス事例
建築のCADオペレーターのフリーランスをしている38歳女性です。
今回はSketchUpの副業事例ですが、普段はJW_CADをメインで使っています。
その他にアーキトレンドやA’sも作業できます。
住宅パース副業の内容と収入
SketchUpを使った木造兼用(美容室)住宅のプラン作成から平面図、配置図、パースまでを作成する副業をやっています。
時給1200円で7時間/日で5日間で合計42000円でした。
副業の仕事は、クラウドワークスはもちろん、ママワークスやSOHOも探したりします。
スタジオアンビルトは建築に特化した依頼で、依頼も取引先決定も早かったりするので、建築関係を副業している方であればこちらは毎日チェックした方が良いと思います。
お取引ある会社様も、いつでもお仕事の依頼があるわけではないので、何社様かとお取引しています。
また以下のようなクラウドソーシングサイトに登録したりもしています。登録は無料です。
自分のプロフィールにポートフォリオを追加し、やれることをしっかりとアピールしておくと、依頼主が連絡をくれたりします。
こういう地道な努力が新規顧客開拓に繋がったりします。
SketchUpを独学でマスターした
SketchUpはフリーソフトでインターネットでダウンロードして使用しています。
SketchUpは以前働いておりました設計事務所で少し作業した事があるぐらいでしたので、習得にかなり時間がかかりましたが、ネット検索するとノウハウや操作方法等もあり、自分のスキルアップにつなげることができました。
作業で分からない点は自分で調べるしかない
作業しながら疑問点がある場合、周りに気軽に聞ける人がいないのがフリーランスの辛い所です。
分からい箇所は、ネットで調べるしかなく、解決するまで時間がかかってしまいます。
また突発依頼があった場合、今の作業を一旦中断し、突発の図面に取り掛かったりするので、そこで集中が途切れる事があります。
但し、これは自分のスキルが上がる事で少しづつ出来るようになりますし、作業効率も上がっていくと思います。
ShadeやLumionを使ったインテリアパースのフリーランス事例
完全フリーのインテリアデザイナーをしている45歳女性です。
現在、地方移住した為、仕事内容を厳選しています。
建築パース作成とカスタマーサポートの掛け持ちフリーランス事例
フリーランスではパース作成だけでは食べていけなかったので、他にもLumionのカスタマーサポートの仕事もかけもちをしていました。
もともとインテリアデザイナー希望でパース作成を習得したかったので、このカスタマーサポートの仕事を通じて、Lumionの静止画・動画作成が可能となり、一石二鳥でした。
Lumionのパース作成の収入は、10,000円くらい/枚 ×3枚で、作業日数は5日間でした。
Shadeの場合、内容によるので一概に決められないです。案件によりクライアントと都度確認した方が良いです。
ShadeとLumionはどのように準備したか?
Shadeは購入し、フリーランスになった時にバージョンアップして最新のものを準備しました
Lumionについてはカスタマーサポート時代に、実際の取扱い代理店で働いて習得しましたので購入ではなく無料で使用する事が出来ました。
今後はパースも動画・VR対応が必須
3DSMaxなどのパースソフトは静止画はもちろん動画・VR対応のデータ作成が可能です。
パース職人と言われるほどなので、緻密にそして時間との勝負でいかに早くキレイで忠実な絵が描けるかが重要視されます。
そしてパースソフトだけでなく今の通信業界やパソコン媒体機器の情報にも強い方が一目おかれると思います。
具体的には、これから世の中は5Gになるので、そういう情報やパソコン媒体はVRが当たり前になってきたので接続して動画と絡められる媒体は知っておいて損はないです。
さまざまな無料セミナーやソフト会社が主催する無料イベントなどに参加して情報収集するのは有益です。
パソコンや機械が好きな人には楽しいイベントがあると思います。
報酬交渉は慎重に
報酬はたたかれがちなのでちゃんと強気でいけるほど絵に自身が無いと安価にされてしまいます。
安価にされたらずっとそのままなので値段交渉は慎重にやる必要があります。
またフリーランスになったらいくつかクライアント探しで営業をかけて持っておく必要があります。
私はパース専門の仕事ではなく本業はインテリアでしてパースばかりを描いていたわけではないですが、フリーランスは時間の自由度は高いけれど収入が不安定なのは違いないです。
AUTOCADとJWCADを使った住宅用パースのフリーランス事例
建築関係のCADオペレーターとしてフリーランスをしている42歳女性です。
現在は建築だけではなく経験やスキルを活かしながら土木の分野なども行うようにしています。
CADの種類なども増やして継続的に仕事を受注しています。
住宅用パースのフリーランス事例の詳細内容と収入
フリーランスになる以前から使用していたAUTOCADやJWCADを使った作業が基本になりました。
発注先がお客さまと打ち合わせ後イメージを手書きされた図を元に、AUTOCADやJWCADを使って3Dでリアルに確認できるように外観CGパースや外観パースなどの作成をし、理想のお住まいを目の前でCGなどでシミュレーションできるように作成し納品していました。
報酬は時給1200円ぐらいになるように設定し作業を行っていました。
1週間で20時間ほどの稼働時間になるようにし、1業務2〜3ヶ月ほどでした。
なので、1業務での収入は、合計29万ほどでした。
仕事自体は、以前勤めいていた会社からの委託がほとんどで、ママワークスでも少しお仕事をさせていただきました。
仕事に合わせてCADを準備するのは難しい
発注先の要望があれば、準備できる範囲でのソフトの追加なども行ってきましたが、工務店などが使用するCADソフトは高額な物も多く、受注に合わせて購入はできませんでした。
2次元図面をAUTOCADでDXF形式で出力し、マイホームデザイナーにインポートして使用したりしていました。
その後3D化を行い、発注先に確認してもらう流れでした。
使い慣れないCADだと作業効率が落ちてしまいがちなので、基本はAUTOCADで作業をしていました。
住宅用パースのフリーランスのメリット・デメリット
メリットは自宅で子供と一緒に居ながら自分の時間の範囲で仕事をこなすことが可能になったことや気を使わずに仕事を出来ること。
デメリットは、安定的に収入を得るには請け負う仕事の量の調整が難しかった。
保育園などに預けるための就業証明などが出ないところもあり、少し面倒でした。
大変だったエピソードやこれからやる人へのアドバイス
アドバイスがあるとすると、フリーランスだと時間などは自由になりますが、自分の稼働時間がそのまま金額に反映されるので、自宅にいながら仕事をするコツなどを掴む必要があります。
なかなか自宅にいるとやる気が起きなかったり時間をうまく使わないといけないです。
仕事の請負も最初は知り合いを通じてやると自分のペースなど掴みやすいかもしれません。
フリーランスだからと言っても細かい連絡や確認は必要だと思うので連絡はこまめに行う方が修正や変更などがある時は作業にも響いてきます。
失敗談として、長期休みなどがある時に一般的な会社もお休みだということを忘れてしまっていて、自宅で仕事をしている時に日にちの感覚が無くなってしまっていて、打ち合わせや納期の確認が取れていなくてすごく大変な思いをしてしまったことがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
メリットは時間が自由になる反面、デメリットとして自宅でのやる気の出し方、集中の仕方や収入の不安定さを挙げるかたが多かったですね。
やはりフリーランスが軌道に乗ったあとも、顧客を1つに絞るのではなく、継続して営業するなどし、複数の顧客を持つことが重要のようです。
CADの経験さえあれば、複数のパースソフトを扱うのも、問題なくこなせてしまうと思います。
今は様々なスクールなどもあるので、継続的にスキルアップし収入源を増やしてはいかがでしょうか?
その他のCADの副業事例や方法については以下にまとめてあります。
AutoCAD、Fusion360、Solidworks、ベクターワークス、RIKCADなどの副業事例や副業の仕事を見つけるためのサイトなどが掲載されています。
CADのアルバイトを見つける方法については以下の記事を参考にしていただければと思います。
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