私はAutoCADの2次元を使って板金物の機械設計の仕事をしていました。
勤務先は資本金1億円で従業員200人程度の中小企業で、メインは自動車業界ですが、近年は食品業界にも力を入れている産業機械メーカーです。
その会社で、防音カバーやサイレンサーといった防音関係の機械設計の仕事をしていました。
図面作成や構造計算はもちろんのこと、性能検査や仕様確定前の現地調査、工事全体の見積も、自ら作業員として組み立てを行うことや監督として現場作業員への指示も行うこともありました。
私が担当していた防音製品は板金製作品が多く3次元CADのメリットが少ないため、普段は2次元CADの「AutoCAD」を使用していました。
構造解析が必要な場合や客先仕様で3Dデータを提出する必要がある場合、3次元CADの「Autodesk Inventor」を使用していました。
今回はその時の経験をもとに、機械設計が向いている人はどんな人か、CADなどの必要スキルや有益な資格などをご紹介したいと思います。
機械設計経験者のインタビュー記事です。これから機械設計を目指すかた、いま機械設計で転職を考え中のかた、のためになる記事になっています。
機械設計の仕事内容や年収は?
機械設計の業務内容は業界や会社規模によって異なるため、一般的な業務について説明します。
設計の流れとしては「構想設計」→「基本設計」→「詳細設計」の順番になります。
はじめの構想設計で製品の構造や仕様を決めます。この段階ではCADではなく手書きのポンチ絵レベルで済ますこともあります。
仕様や構造が決まったら、基本設計で具体的な設計図を描きます。
この段階で、部材に負荷が掛かっても壊れないか確認するための強度計算を行います。
強度計算は解析ソフト(CAE)や専門の計算ソフトなどを使用します。複雑な構造でない場合は、手計算で出すこともあります。
最後に詳細設計を行い、製品の最終形状を決定します。
この段階で、実際に製造できるかだけではなく、製造コストや作成にかかる時間、組み立てやメンテナンスのし易さなど様々な要因を加味して、製品の形状を決定します。
これらが機械設計の仕事の流れですが、機械設計の業務はこれだけではありません。
客先との仕様打ち合わせをしたり、加工先や組付け現場で製作品を確認したりする必要があります。
機械設計の平均年収は約587万円で、日本の平均給与と比較するとやや高い傾向がありますが、高度なスキルが求められるため、その専門性からやや高めの年収となっているようです。
機械設計が向いている人とは?
前提条件として、機械やモノづくりが好きな人があげられます。モノづくりに興味がある人は、率先して楽しみながら働けるため、スキルも早く身に付きます。
モノづくりに興味は無くても機械設計の仕事はできますが、どうしても好きな人より熱量が負けてしまいます。
次に学び続けることができる人です。技術は日々進化しているため、古い知識のままだと、周りから取り残されスキルが通用しなくなってしまいます。
そのために、日々学び続けることが苦にならない人に向いています。
そして、長時間残業に耐えることのできる体力がある人です。
働き方改革によりだいぶ改善されましたが、機械設計の仕事は特に出図時期はピークで大変です。
出図が終わらなければ帰れないこともありますし、休日出勤も含めて、出図時期は夜遅くまで残業することも多いです。体力がない人や精神的に弱い人は数年で駄目になるのはよくある話です。
機械設計に必要なスキル
機械力学、材料力学、流体力学、熱力学の4つの力学及びそれらを理解するための数学や物理学も必要です。
どの様な業界で働くかにより重要なスキルは変わりますが、4大力学の基本的部分は押さえておく必要があります。
また、製図の方法や一般的な規格、加工や組み立てに関する知識も必要です。
図面上では成立していても、手や工具などが入る隙間がないと製品は組めません。
細かな調整が必要な部分では、調整のしやすさを考慮することで、組み立て作業員の工数を削減することができます。
さらに、技術は年々進歩していくため、世間の進化に遅れないように日々勉強する必要があります。
そして、重要なのは思考力です。知識があっても考える力がなければそれらの知識は活かせません。
知識と思考力があれば、CADスキルは最低限あれば十分です。PCの操作に苦手意識がなければ、業務をやっているうちにできるようになります。
ただCADやCAEの高度な機能を使いこなせると、パラメータスタディや感度解析、最適化などより高度な設計ができるのも確かです。
それ以外にも、設計者にはコミュニケーション能力も大切です。
機械設計には前後に数多くの工程があり多くの人と関わります。その人たちとうまく連携していくことが必要です。
海外展開している場合、仕様書が英語だったり、図面や取説を英語で提出したりすることもあるため、必須ではありませんが英語ができれば武器になります。
機械設計で取得していると有利な資格
技術士(機械部門)
技術系の最難関国家資格に技術士というのがあります。
機械設計者であれば、この資格に挑戦してみるのも良いと思います。
名刺にも記載できますし、相互認証制度といってアメリカや欧州でも同様の資格があるために、技術士を持っていると、その人がどのぐらいの技術レベルを有しているかが分かりやすいです。
更には将来は技術士事務所を開設して、独立する方も多いです。
技術士を目指すならスタディングの技術士講座がおすすめ!
2次試験の論文や口頭試験の対策ができます。無料お試し版もあるので、どんな試験か知りたい場合も試してみると良いですね。
私が技術士(機械)を取得した頃は、こういったアプリはなかったので、今受験するなら確実に活用していたと思います。
機械・プラント製図技能士
機械やプラントの図面を作成する技量を評価する国家試験で、1〜3級まであります。
試験は学科と実技があり、学科試験では「製図一般」や「材料力学一般」、「機械製図法」などの問題が出ます。
実技試験では機械装置の組み立て図から、指定された部品を読み解き、部品図を作成します。
必須ではありませんが、機械設計の実務経験が3年以上ならば、2級に合格できる程度の技量は最低限ほしいです。
機械設計技術者試験
機械設計者の技術水準を評価する民間の認定試験で、1〜3級まであります。
資格自体は必須ではありませんが、機械設計の業務をするうえで3級程度は合格できる知識は必要です。
CAD利用技術者試験
CADに関する知識や実技を評価する民間の試験です。
2次元CADと3次元CADに試験がわかれており、それぞれに級があります。
上記の資格より難易度が低く比較的簡単に合格できます。
ですが、資格の知名度が高く、それなりの技量を持っていることの証明となるため、転職時に有利になることもあります。
CAD利用技術者試験の取得を目指すなら、Winスクール、Kenスクール、ヒューマンアカデミーがおすすめです。
以下の記事にこれらのスクールについてまとめていますので参考にしていただければと思います。
機械設計の求人におすすめの転職エージェント
転職を決断する理由は様々です。
- 年収を今より上げたい
- 今の会社の人間関係が嫌だ
- CADオペレーターから機械設計者になりたい
- 逆に機械設計をやめたい
そんな時は思い切って転職するのも大事な決断だと思います。
幸いなことに転職サイトには機械設計の求人がまだまだたくさんありまし、機械設計の仕事は潰しが効くので他の職種への変更も可能ですので自分に合ったものを探したいですよね。
機械設計が転職をする上で大事なポイントが3つあります。
- 転職エージェントは機械設計など就きたい仕事に強いところを選ぶ
- 迷いがあるなら、まずは転職エージェントに登録し、仮でもよいので転職活動をしてみる
- 転職はタイミング(運)も大事
世の中にはたくさんの転職エージェントがあふれています。
以下では機械設計者におすすめの転職エージェントをご紹介します。
こういったところに複数登録しておくことで自分に合った仕事に出会える確率も増します。
国内外で機械設計者の転職におすすめの転職エージェント
国内外のハイクラス、大企業向けの機械設計に強い転職エージェントならマイナビメーカーエージェントがおすすめです。
専門のエージェントが今までのキャリアに合った転職先の選定、給料などの条件交渉、面接の日程調整など一手にサポートしてくれます。
その他の機械設計に強い転職エージェントは以下の記事にまとめてあります。
機械設計の派遣をお探しの場合は以下の記事がおすすめです。
CADやCAEエンジニアとしての転職におすすめの転職エージェント
機械設計者はCADやCAEを使ったことがあるかたが多いのも確かです。
モノづくりに携わりたいが、設計者ほど責任を負いたくないという場合は、CADやCAEのエンジニアがおすすめです。
もちろんCADやCAEのエンジニアも責任感は必要ですが、製品に対して最終的に責任を負う設計者ほどではありません。
CADやCAEのエンジニアに強い転職エージェントのおすすめは以下のdodaです。
まとめ
今回は機械設計に向いている人の特徴や必要なスキル、おすすめの転職エージェントについてご紹介しました。
これから機械設計を目指す人、機械設計者から転職を考えている人の参考になれば幸いです。
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