様々な分野で話題となっている「メタバース」。
建築の世界でも「建築メタバース」として注目を集めています。
現実空間では実現が難しい空間・建物でも、仮想空間に作り出せたり、今までとは違う体験をすることができます。
建築メタバースでの豊かな体験のためには、優れた「3DCG」が欠かせません。
建物のBIMモデルを建築メタバースの3DCGへの活用が試行されており、ここにBIMオペレーターの新たな役割が生まれています。
また、本記事では現実世界の建設業への建築メタバースの活用方法についても触れていきます。
こちらは現在のお仕事の延長線上の話ですので、今のスキルがどのように役立っていくのかをイメージしやすいと思います。ぜひご覧になってください。
建築メタバースの世界
メタバースの中で自由な建築を行う事を「建築メタバース」と言います。
現実世界と違い、法律や重力などの様々な制約条件から解放され、今までは実現不可能だった建物を作り出すことができます。
自分の分身となるアバターで建築メタバースを訪れることで、実現不可能だった建物の空間を追体験として楽しむことができるのです。
建築メタバースの世界にも土地や建物があります。
ここでは建築メタバースの世界を形成する土地、建物について解説いたします。
メタバース上でのプラットフォーム「comony」
メタバースは仮想空間のことですが、この仮想空間は1つではありません。
企業、もしくは個人が作成した仮想空間がいくつも存在します。
このそれぞれの仮想空間のことを「プラットフォーム」と言います。
プラットフォームの中に建物を建てるという意味で、プラットフォームは現実世界における「土地」と同じ意味合いを持ちます。
建築メタバースの中で特に有名なのが、ラストマイルワークス株式会社のcomonyです。
comonyは「空間作り」に対するデザイナーのこだわりを再現することに力を入れており、メタベースの中で、建築空間におけるとても豊かな追体験をすることができます。
企業・個人で活躍するクリエイターの活躍の場や、大学の設計課題プレゼンテーションの場としても利用されています。
メタバース空間でのアンビルド建築
メタバースの中の建築を「アンビルド建築」と言います。
現実世界で作るわけではないので、「アンビルド」という名を冠しています。
今までは、実現不可能な建築を皮肉のようにアンビルド建築と言うことがありました。
技術は進み、建築メタバースの中では、今までは作れなかった建物が、作れるようになったのです。
アンビルド建築家(バーチャル建築家)と呼ばれる建築家も現れており、番匠カンナ氏や、古田悠哉氏らが活躍しています。
建築メタバースの特徴
建築メタバースにおける建築は現実世界での建築とは異なる特徴を持っています。
ここでは、建築メタバースにおける空間表現、制約という観点から、現実世界における建築との違いを紹介したいと思います。
建築メタバースにおける空間表現
現実世界では雨が降ったり、風が吹いたり、暑かったり、寒かったりします。
人はこれらの様々な要素を五感で感じることで、空間を知覚しています。
建築メタバースでは意図的に再現しない限り、雨が降ったり風が吹いたりはしません。
そして、これらを建築メタバースの中で自然に再現することは非常に難しいのが現状です。
しかし、メタバースがますます進化を遂げ、人がメタバースの中で暮らすようになると、これらの自然現象や人の五感による知覚の追体験も求められていくことになるでしょう。
物理演算システムで風などを再現することも試行されており、BIMだけでなくシステム開発技術を持っている方には大きなチャンスとなるかもしれません。
建築メタバースにおける制約
建築物を設計する際には様々な制約を受けます。
現実世界で言えば、建築基準法、材料調達、重力、災害などです。
法令を守り、調達できる材料を使い、災害に対して壊れない建物を作らなければいけないという制約を受けているわけです。
しかし、建築メタバースでは建築基準法はありませんし、材料も自由に作り出すことができ、重力も災害もなくすことができます。
建物を空中に浮かせ、人が空を飛んでアプローチをすることもできます。
今までは当たり前に受けていた制約から解放されて、自由な空間設計を楽しむことができるのです。
一方で、建築メタバースはインターネットのサーバー上に存在することになるので、データ容量という制約を受けることとなります。
複雑な建物をたくさん作り、そこに多くの人が集まると、スペックが低いパソコンを使っている人は快適に過ごすことができません。
できるだけ負荷の少ない建物モデルを作ることも、今後のBIMオペレーターに求められる技術となることでしょう。
建築メタバース活用の将来性
建築メタバースは現実空間での建築においても活用方法が模索されています。
ここでは建築メタバースによって現実世界の建築がどのように変わっていくかを紹介いたします。
設計者と建築主のイメージの共有
今まで、設計者と建築主は図面や、パースでイメージを共有してきました。
建築主は建築の専門知識を持っていないことがほとんどであり、見慣れない図面で正確なイメージを持ってもらうのが非常に難しいのが実情です。
なんとかイメージを共有するために、設計者が多大な労力をかけて多くのパースを作成していました。
建築メタバースを使えば、設計中の建物を3DCGを用いて疑似体験することができるので、イメージを正確に共有できるようになります。
ホテルの客室や、オフィス、研究所の研究室など、使い心地が集客性や生産性に直結するような用途では、使い心地も確認できるため、更に大きな力を発揮します。
客室などは数百万円をかけてモデルルームも作ってきましたが、これからはモデルルームも不要になるかもしれません。
設計者と施工者のイメージの共有
設計者と施工者は設計の内容を共有し、作り方を検討する必要があります。
特に製作が難しいと思われるものに関しては、実物大や1/2スケールでモックアップを製作し、作ることができるかを検討してきました。
これからは建築メタバースを使って、鉄骨の溶接や鉄筋の組み立てを再現、体験することができればモックアップの製作が不要になります。
費用削減、環境負荷低減が期待される魅力的な活用方法です。
また、実際に施工する専門業者は非常に高度なノウハウを持っていますが、設計者がそのノウハウを理解するのが難しいことも多くあります。
これからは建築メタバースを使って施工(工事)ノウハウを共有し、設計者が各社のノウハウをより有効に活用できるようになることでしょう。
建築メタバースの転職
今までは建築メタバースの可能性や将来性についてご紹介してきました。
この建築メタバースの世界で仕事をし、先行者利益を得たいと思っている人も多いと思います。
最近は転職や求人サイトでもメタバースの求人が増えてきています。
以下の記事ににメタバースに強い転職エージェントをまとめてあります。
どの転職エージェントもメタバース案件が増えており人材が不足している、逆に言えば需要が増えている様子が伺えます。
これらの2~3つの転職エージェントに無料登録しながらメタバースの動向や自身の市場価値を確認するところから始めてみることをお勧めします。
もし建築に特化した転職エージェントが良ければ、以下にもまとめてありますので、こちらでメタバースで検索し、求人を探してみると良いでしょう。
まとめ
建築メタバースの世界、いかがだったでしょうか。
建築メタバースは様々な制約から解放されて建築をすることができ、今までは体験できなかった体験をすることができます。
有名建築家の実現しなかった建物、宇宙まで続くエレベーター、空想上で思い描くことしかできなかった建物を仮想空間で楽しむことができます。
BIMオペレーターとしての活躍の場もますます広がっていく分野です。
ぜひ興味をもってみてください。
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