建築業界でますます存在感を強めている「Building Information Model」、通称「BIM」。
BIMは文字通り、建物の情報を持ったモデルを指します。
従来の線のみで作図していた設計図書(2次元図面)とは異なり、柱・壁・窓のような情報をもったパーツを3Dでモデル化し、モデルから作図を行うことが可能です。
今回は、BIMを使った業務の中で、建築士(設計者)とBIMオペレーターの業務分担はどのように行われているのか?について、現役の建築士のかたに語って頂きました。
このかたは、設計・施工・コンサルティングなど総合建設業として幅広い事業を行っている総合建設業(ゼネコン)に勤めで、建物としては、官庁施設、学校・病院、集合住宅、工場・研究所・倉庫、店舗など、幅広く対応しているとのことです。
設計者から見る「できる」BIMオペレーターとは、どんな仕事ぶりなのかを、1級建築士でありゼネコンで働く設計者に語ってもらいます。
また設計者から見てBIMの将来性についても教えてもらいました。

1級建築士を持ちゼネコンで設計者として働いている立場で色々とお話しさせて頂きます。

本音トークで色々と教えて下さい!
ゼネコンで使用しているBIMソフトや特徴、パソコン環境

私の会社で使用しているBIMソフトは以下のものになります。
Revit(Autodesk社)
Autodesk社製なので今後の発展に対して安心感があります。
ファミリと呼ばれる属性設定により部材の管理がしやすく、図面の作成もBIMソフトとしてはやりやすいのが特徴です。
ArchiCAD(グラフィソフト社)
自由形状のモデリングを得意としており、レンダリングもきれいなので建築設計者に好まれるのが特徴です。
ビジュアルの再現性が高いので、建築主とのイメージ共有で活躍します。
StreamBIM(Rendra社)
こちらはBIMクラウドプラットフォームです。
社内外から関係者でデータを共有できるクラウド型のデータ格納庫といったイメージです。
BIMモデルや図面はもちろん、ドキュメントやワークフローなどを一元管理するのに役立ち、様々な専門業者が複雑に関係する建築業においてはこのようなプラットフォームの需要が高まっていきそうです。
パソコン環境
設計者もBIMオペレーターもメインで使用しているパソコンはHP社のZbookです。
モニターはデュアルディスプレイが支給されており、BIMモデルを扱う際にも役立っています。
BIMオペレーターと建築士(設計者)の業務分担

これからは設計者もBIMを普通に使える必要があると思います。
設計者は建築設計者、構造設計者、設備設計者の3者に分かれます。
そして、それぞれの設計者にCADオペレーター・BIMオペレーターが付き、以下のように役割を分担しています。
設計者はBIMオペレーターに指示メインだがBIM使えるとメリット多い
設計を行い、簡単なCAD図や手書きの資料を使ってCADオペレーターとBIMオペレーターに内容を伝達します。
とはいえ、設計者がBIMを使わないということはなく、使えると様々なメリットがあります。
例えば、各職能(建築設計・構造設計・設備設計)のBIMモデルを一つのモデルに統合し、計画がうまくいっているか三次元で視覚的に確認することができます。
建物の設計では、建築設計が壁を、構造設計が柱を、設備設計がエアコンを設計することになります。
建築設計は部屋の壁の位置を決めるために、構造設計が決める柱のサイズや、設備設計が設計するエアコンの配管のサイズを知らなければいけません。
今までは建築設計者が、構造設計者・設備設計者が作図する見慣れない専門的な図面を読み込まなければこれらの情報を得ることができませんでした。
BIMを使えば構造設計者・設備設計者からモデルを受領し、建築設計者のモデルと組み合わせることで、一目で柱、エアコンの配管のサイズを三次元的に確認し、壁の位置を修正することができます。
これらの作業をオペレーターではなく設計者自身が行えることができれば、タイムリーかつ効率的に検討・設計の作業を進めることができます。
以上は典型的な例ですが、一つの建物で100社を超えるメーカーとやり取りをする建築業では、各メーカーのモデルを受領して視覚的に設計内容を確認できるのは強力な武器になります。

今までは100社以上の専門的な図面を一つ一つ確認するしかなかったので気が狂いそうでした汗
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BIMオペレーターは設計者からの指示を正確にモデルに反映させる
CADオペレーターは、CADソフトで2D図を作成し、BIMオペレーターは、CADの2D図を元に3Dモデルを作成後、各職能のモデルを重ね合わせて干渉をチェックし、設計者の修正指示を受けてモデルを修正。
また、設計者のうち、構造設計者と設備設計者はそれぞれ構造解析ソフト、風・熱などの環境解析ソフトを使用しています。
これらの解析ソフトでも3Dモデルを作成し解析するので、それをBIMモデルとして流用する取り組みも積極的に行われており、省人化・生産性向上の一環となっています。
設計が終わったあとは図面とBIMモデルが施工を行う現場に引き継がれます。
現場にもBIMオペレーターが配属されており、BIMを使って施工計画や施工図の調整を行っています。
設計者も現場のオペレーターとコミュニケーションを取り、細かい調整をモデルに落とし込みながらモノを作っています。
建築BIMはまだまだ発展途上の分野であり、設計者とオペレーターの関わり方も試行錯誤しながら、改善を図っているのが現状です。
設計者が実感する「できる」BIMオペレーターとは?

私が実感しているできるBIMオペレーターの実例をご紹介します。
建築におけるBIMは各職能(建築設計・構造設計・設備設計)のモデルが互いに干渉していないか、不整合となっていないかのチェックが主な用途となっています。
干渉、不整合を漏れなくチェックできるのはもちろんのこと、各職能のモデルの意図を理解し、解決の提案をできるオペレーターは「できる」と感じます。
基本的にそれらの調整は設計者の役割であり、BIMオペレーターの役割ではありません。
しかし、逼迫したスケジュールの中、プロジェクトによっては数千個にも及ぶ干渉を設計者が全て対応するのは困難なことが多いので、その手助けをしてくれるオペレーターはとても重宝します。
また、CADオペレーターとBIMオペレーターを兼務し、作図・モデリング業務を一貫して担当できるオペレーターも需要が高いです。
伝達の手間が減り、不整合も減るので設計者としてはとてもやりやすいです。
こういった人たちは単に指示されたことをBIMを使って操作するだけでなく、先読みして提案してくれるので、まさにBIMエンジニアと呼ぶに相応しいです。
建築業界での今後のBIMの将来性
建築業界でのBIMの今後の役割は2つあります。
1つは「労働環境の改善」、もう1つは「魅力的な建物の実現」です。
「労働環境の改善」は、BIMを使って設計から施工まで一貫したモデルを扱うことで作図や不整合調整の工数が減り、時間外労働が削減されることで実現されます。
労働基準法の改正に対応するべく、プロジェクトに掛かる工数を減らすのが建築業界の最優先事項となっています。
「魅力的な建物の実現」は、コンクリートの型枠や鉄骨のデジタルファブリケーションにBIMモデルを使用することで、曲面形状などの自由なデザインの製作が可能となることで実現されます。
3Dプリンターを始めとし、様々な取り組みが実現されています。
まとめ
「労働環境の改善」と「魅力的な建物の実現」の両立が今後BIMに求められる役割です。
ここまで、建築業界におけるBIMの現状と将来について述べさせていただきました。
BIMは「労働環境の改善」と「魅力的な建物の実現」の両立を可能とする強力なツールです。
しかし、各社ともBIMの活用に苦戦し、BIMのために工数が増えてしまっている現状もあります。
BIMソフトの扱い方、BIMモデルの設計段階・施工段階での活用方法、設計者とオペレーターの関わり方など、プロジェクトのサンプルを増やしてノウハウを蓄積することが大切です。
今後の建築業界の更なる発展のために避けては通れない「BIM」、更なる普及・発展が求められています。
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