CAMオペレーターという仕事をご存知でしょうか?
CADオペレーターを知っている人は多いかもしれませんが、CAMオペレーターはまた違った役割で設計よりは生産技術よりの仕事になります。
今回はこのCAMオペレーターについて、どんな仕事なのか?やりがいや辛いところはどこか?年収はいくらぐらいかなどをご紹介します。
筆者は、このCAD/CAMオペレーターからキャリアをスタートしましたので、その経験に基づいてご紹介します。
CAMオペレーターとは?
CAMとはComputer Aided Manufacturingの略で、3DCADで作成した3DデータをもとにNCデータ(加工軌跡、加工パス)と言われるものを作成します。
このNCデータを使って加工機を動かし、金属加工することができます。
したがってCAMオペレーターは、3Dデータと専用のCAMソフトを使って、加工用のNCデータをプログラミングする仕事になります。
一般的には自動車や航空宇宙、電気製品の分野で活躍する職業になります。
加工といってもいくつか種類があり代表的なものは以下になります。
- 金型加工
- 製品(部品)加工
最近は3Dプリンターも登場してきていますが、世の中の各種部品のほとんどは上記①、②の製造過程を経て、製品として組みたてられエンドユーザーのもとに届きます。
金型加工は、たい焼き機の型をイメージしてもらうと分かりやすいのですが、その型を加工することです。
製品(部品)加工は、金型で作られた製品(部品)に穴あけや平面加工などをすることをいいます。
これらの加工はどちらも3DCADの登場で劇的に仕事のやり方が変わりました。
3DCADが登場する前は、工場の加工機で手動でプログラミングしながら加工軌跡を覚えさせたり、もしくは完全に手動で加工機を動かして加工していました。
これが3DCADにより作られる3Dデータをもとに、パソコン上で加工軌跡(加工パス)のNCデータを作り、加工機を自動で動かすという仕事のやり方に変化しました。
金型用NCデータ作成の場合は、CAMソフトが3D形状を自動で認識してくれ自動で加工パスを作成してくれ劇的な生産性向上につながりました。
なので、CAMオペレーターという仕事は3DCADと密接な関係があり、よくCAD/CAMオペレーターといわれる所以はそこにあると思います。
CAMオペレーターの働き方
CAMオペレーターの働き方は会社によって違うとは思いますが、金型加工を例にして説明すると以下の流れで仕事をするイメージです。
- 3DCADで3Dデータ作成もしくは3Dデータ受領
- 3DデータとCAMソフトを使ってNCデータをプログラミング
- 加工シミュレーションを使ってちゃんと加工されているかチェック
- 刃物(ドリルのようなもの)で加工できない箇所は別工程(放電加工、手仕上げなど)にするなど工程設計する
- 工場の加工機にNCデータを送信する
- 加工後の金型チェック
- 別工程(放電加工、手仕上げなど)後の金型チェック
3DCADで3Dデータまで作成するかどうかでCAMオペレーターの負荷も大きく変わってきますが、いずれにせよ金型製作においてはCAMオペレーターがNCデータを作らないと工場の加工機を動かせないということなります。
したがって、金型製作全行程のトップバッターを担っていることになります。
CAMオペレーターのやりがい
CAMオペレーターのやりがいを自分の経験をもとに列挙すると以下のような感じです。
- モノづくりに深く関われる
- 自分が加工した金型、製品を現物で見ることができる
- CAD/CAMというデジタルエンジニアリングを広く経験できる
- 加工工程全体を自分好みにコントロールできる
- 工場の現場のおっちゃんと仲良くなれる
前述した仕事の流れを見て頂くと分かると思いますが、CAMオペレーターはモノづくりにかなり密接に絡みますし、自分でプログラミングしたNCデータで金型や製品が加工され現物となって目の前にくるので、モノづくりが好きな人にはたまらない職業でしょう。
また会社にもよると思いますが、CAMソフトでNCデータを作るだけでなく3DCADを使った3Dデータのモデリングや加工工程の設計なども併せてやれると仕事の幅が広がってやりがいがあります。
加工工程の設計においては、自分の設計した加工工程によって工場の多くの人や機械が動くので、責任もありますがやりがいも感じられるでしょう。
CAMオペレーターの辛いところ
人によって辛いと感じるところは異なると思いますが、以下は自分自身で感じた辛いところになります。
- 長時間のパソコン操作で目疲れや肩コリがある
- 納期が厳しい
- ミスに対する精神的なプレッシャーがある
- 残業が多い
前述したやりがいの裏返しで辛いところもあるのも確かです。
例えば自分の作った3DデータやNCデータで間違ったものが加工されてしまったときは、かなりの追加コストが発生します。
金型でいうとミスにより溶接や追加工が発生します。
溶接した場合は、給料の3か月分が飛ぶとよく脅されたのを記憶しています。
自分のミスによりコストだけでなく工場全体も追加で作業が発生するので、このミスに対するプレッシャーはあります。
私の場合、間違ったプログラミングをしたことが夢に出てきて、早朝慌てて工場に電話して加工機を止めたことがありました。
このようにプレッシャーはあるものお、逆に自分の仕事が正しいか確認したり、責任を持つのでやりがいに感じることもあります。
CAMオペレーターの辛いところはCADオペレーターの辛いところに似ているところがあると思いますので、以下にまとめたものをご紹介しておきます。
CAMオペレーターに向いている人
前述してきたCAMオペレーターのやりがいや辛いところを鑑みながら、この仕事に向いている人を以下に挙げてみました。
- モノづくりが好きな人
- パソコン作業が好きな人
- 工場に行ってモノづくりに触れたい人
- モノづくりの各種工法に携わりたい人
- トライ&エラーや改善が好きな人
- 自分の仕事に対する確認、チェックを怠らない人
- 自分のミスに対し真因を突き止め同じミスを起こさないよう努める人
3Dプリンターの登場でCAMオペレーターはなくなる?将来性は?
最近、3Dプリンターは産業用だけでなく、家庭用にも普及してきています。
もし全ての製品、部品をた3Dプリンターで作ることが可能になれば金型も不要になり、金型加工用のNCデータを作っていたCAMオペレーターという職業はなくなるのでしょうか?
それが現実になるには、以下のようなかなりの技術革新が必要だと思います。
- 3Dプリンター印刷スピード、時間の飛躍的向上
- 印刷可能な金属素材の拡充
もし上記が実現し、金型による製品製作並みの大量生産や製品強度向上ができるとすると金型が不要になり、金型加工用NCデータを作っていたCAMオペレータは不要になる可能性があります。
しかし、上記が実現するためには数年から10年単位の時間が必要ではないでしょうか?
逆に上記が実現するとかなりのブレイクスルーが起こり、ものづくりの産業構造を激変させる可能性を秘めています。
個人的にも3Dプリンターを使っていますが、日に日にその威力を感じています。
CAMオペレーターの年収
CAMオペレーターの平均年収は400~700万円といわれています。
ただ会社によっては前述した通り役割に幅を持たせています。
もしCAMだけでなく、CADオペレーター、工程設計といった生産技術なども含めた場合は、上記の平均年収の後半ぐらいを狙えるのではないでしょうか?
CAMオペレーターに強い転職エージェント
CAMオペレーターは様々な業態からの求人があります。
まずは転職エージェントに無料登録し、情報収集から始めましょう。
転職エージェントによってはカウンセラーがいて、自分に合った会社を紹介してくれたりもします。
以下の記事におすすめの転職エージェントを紹介しています。
タイトルはCADですが、ほとんどCAMはCADと親和性が強いので、これらの転職エージェントでCAMの求人も扱っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はCAMオペレーターの仕事内容、やりがい、辛いところ、将来性、転職エージェントにについてご紹介しました。
CAMオペレーターはモノづくりに密接な関係する職種ですので、経験を積みながらモノづくり全体を把握し、幅広いデジタルエンジニアリングの職種へキャリアアップすることも可能でしょう。
コメント
CAMについての記事を見た中ではかなり核心をついた内容でした。CAM業務に就こうとしている人がほぼ信用して問題ない内容です。