CADオペレーターとして経験を積んでいくと、いつしか自分って設計士(設計者)としてもやっていけるんじゃない?と思ったりしませんか?
一緒に働いている設計士の仕事ぶりや、仕事内容を分かってくると自分でもやれると思ったりします。
- なんでCADの使い方ぐらい分からないの?
- 設計士ならそのリスクも検討しておくべきでしょう
- これは過去にトラブルがあった類似形状だなぁ
- もっと上手く他部署と調整してほしい
上記のようにCADオペレーターを何年かやっていると設計士よりも分かっていることも増え、いつしか自分も設計士になりたい、なれると思うようになるのです。
今回はCADオペレーターから設計士になりたい、転職したいと考えている人のために、業務の違いや向いている人、必要なスキルなどを書きたいと思います。
CADオペレーターと設計の将来性・取り巻く環境
CADオペレーターや設計の仕事にしている人の中には、このままこの仕事を続けていて良いのだろうか?と将来に不安をもっている人も少なくないでしょう。
そこで、まずはCADオペレーターと設計者の取り巻く環境から整理していきましょう。
CADトレース業務が減っていた
以前は手描きした紙図面をCADデータにするためや、2Dデータを3Dデータにするために、CADオペレータの需要が高かったのですが、そういった業務も完了しつつあり、後は作ったデータを設計変更時に修正する程度の作業がメインになってきています。
また現在は女性を中心にCADオペレータの数も増えてきており、単純にCADを使えるだけでは将来にわたって仕事を得ることが難しい状況です。
設計士・設計者もCADを使えるようになってきた
以前は設計士自身がCAD操作が出来ない人が多かったのですが、今は大学や専門学校でもCADを教えているため設計士自らCAD操作が出来るようになってきています。
なので設計士自らが検討時にCADを使って形を決めることはできるので、CADオペレータとしては設計士の指示のもとに図面やより詳細の3Dモデルを作る仕事になっています。
製品の対象や会社によっては設計士が全てのCAD業務をこなしてしまえるケースも多いでしょう。
単純操作はプログラミングで自動化されつつある
CADの前に長時間座って、目を酷使したり、腰、肩を痛める経験をされている人も少なくないでしょう。
こういった苦痛を伴う単純作業は可能な限り自動化し、生産性を上げ、人間はよりクリエイティブな領域を担っていく、そういった業界動向が見られます。
実際に単純操作はプログラミングを使って自動化されつつあります。
したがって特定のCADの操作が早くできるだけでは、いつしかその操作自体が自動化され、自分の存在意義もおびやかされることにもなります。
以下にもCADオペレーターの将来性についてまとめてありますので参考にしていただければと思います。
このようにCADオペレーターを取り巻く環境は決して明るいものではなく、そのためよりクリエイティブな仕事であり、機械に代替されにくい設計士の仕事に転身したい人も多いでしょう。
それでは次に設計士の仕事はどんなものなのか?CADオペレーターとの役割の違いは何なのかを見ていきましょう。
CADオペレーターと設計の仕事と役割の違い
設計士とCADオペレーターではそもそも役割が違います。
業界や会社によっては、同一人物が設計やCADの両方やる場合もありますし、分けている場合もあります。
これらの2つの業種を分業している会社は、たまに2つの職種の役割の違いが区別できず、それでも処遇が良くないCADオペレーターの不満の種になったりします。
上記の課題はありますが、まずは一般的に言われる設計士とCADオペレーターの役割の違いを見ていきましょう。
設計の仕事と役割
設計には大きく別けて2種類。機械系と建築系があります。
さらに建築系の設計士も大きく別けて2種類あり、設計事務所での建物全体の設計と、ゼネコンの下請けの会社でサッシや空調の設計です。
機械系でいうと、例えば自動車でいうと、自動車全体を設計している人や個別の部品を設計している人がいます。
やはり全体を設計できる人は一握りで、世の中圧倒的に部品など細かい設計士の方が多いでしょう。
- 製造部門や企画部門などの他部署との調整
- 製造工法の把握
- 設計要件の整理
- 形を決める
- 市場不具合対応
- 特許提出
上記に設計者の役割をまとめてみました。
色々と書きましたが要は設計者は、様々な設計要件(機能、構造、製造など)を整理しながら形を決めることが役割です。
形を決める対象にも色々とあり、建築でいえば建造物、住宅などですし、機械でいえば車や電化製品、それらを構成する部品など業界、製品ごとに様々です。
形を決めた以上、何か製品や部品に不具合があれば、CADオペレーターでなく形を決めた設計者が責任を取ることになります。
ただ繰り返しになりますがどの業界、どの製品でも設計士、設計者は情報を整理して形を決めるという行為は普遍的なことだと思います。
設計士は、形を決めるために、数学的な計算をしたり、製造要件を把握したり、市場のニーズ(クライアントと打合せ)を確認したり、他部署と調整したりと様々や役割があります。
そうやって情報を整理しながら最終的にCADを使用して形を決めていくというわけです。
なのでCADで形が決まってしまえば、それを後工程が使えるように図面にしたり、3DモデルやBIMモデルとして完成させたりするのは、しっかりと指示を出し、他の人にやってもらっても良いということになります。
そこで登場するのがCADオペレーターになります。
CADオペレーターの仕事と役割
CADオペレーターの役割は、その名前の通りCADを操作できる人です。
CAD操作のスペシャリストです。
前述したように設計士、設計者から指示をもらってCADで図面や3Dモデルを完成(清書)していきます。
図面や3Dモデルはモノづくりの情報伝達手段の一つなので、建築現場の人、工場の人、大工さんなどの後工程の人が理解できるようになっていなければなりません。
最近は、人だけでなく後工程のソフトや機械が3DモデルやBIMモデルを正確に読める必要があります。
これにより様々な工程が自動化できるためです。
なのでCADオペレーターは設計士の指示のもと、後工程の人やソフト、機械がしっかりと読めるように正確な図面、3Dモデルなどを作るというのが役割になるのです。
またCAD操作のスペシャリストという意味で図面や3Dモデルを正確に作るだけでなく、その作るスピードも求められますし、図面の出図などに合わせ、納期を守ることも重要になります。
そのため「時間あたりで図面や3Dモデルの仕事をどのぐらいこなせるか」が、CADオペレーターの評価となります。
あなたはCADオペレーターと設計のどちら向き?
設計向きの人
- 数学、材料力学が好きな人
- モノづくり興味がある人
- 調整業務が苦に感じない人
設計士向きの人の一般的な特徴を挙げると上記の感じです。
自分で決めた形を世の中に残すや、ユーザーに使ってもらうことに喜びを感じ、そのために前述した設計士の役割を理解し、仕事をしていける人は向いています。
精神的にタフである必要もありが、クリエイティブ性を求められるので長い目で見ると必要不可欠で、機械に代替されにくいでしょう。
CADオペレーター向きの人
- 細かい作業が苦でない人
- 集中力があり黙々と作業するのが好きな人
- パソコン作業が好きな人
- CADの効率的な使い方を追求できる人
- モノづくりが好きな人
CADオペレーターに向いている人を挙げると上記になります。
この仕事をしているとCAD特有のソフトトラブルに巻き込まれるケースもあるので、それについても対応し、時には試行錯誤しながらトラブル回避策なども考える必要もあります。
また単純作業をどうやったら効率的にやれるかの使い方を見つけることが好きな人も向いているでしょう。
CADオペレーターか設計かの選択
ここまでで設計士とCADオペレーターの仕事や役割の違いを見てきました。
これを理解したうえでどちらの仕事を選択するかを決める必要があります。
設計を選択する場合
設計士と言っても機械、電気、土木、建築、設備、内装、いろんな分野があります。
今までどれかの分野のCADオペレーターとして働いていた場合は、その分野の設計士になることが一番早道でしょう。
少しずつ上記で挙げた設計士としての役割に挑戦していきましょう。
大丈夫、CADを使いこなせるというのは設計士になっても強みです。
そのスキルを維持しつつ、設計士としての仕事をこなしていくのです。
そもそも分業化が進み設計士とCADオペレーターの仕事は分かれていますが、もしこれを一人でこなせればそれは非常に重宝される人材になるでしょう。
もし今までCADオペレーターでなかったのなら、まずはご自身がどの分野の設計士になりたいのか明確に決めることが必要です。
ただ年齢も30代後半になってから新たに設計士になることはかなりハードルがあると思います。
20代でも全く未経験で、独学で設計士になることも難しいと思うので、どこかの学校で勉強して図面の基本的な知識とCAD操作の習得、その後『やる気』を全面に出し、希望分野の設計会社にトライするのも良いでしょう。
長く設計の仕事に携わるのでしたら、やはり設計の専門学校などに通い、設計の知識とCAD操作を
両方学んだ方が就職には断然有利だと思います。
建築業界だと、設計者が常に不足していると聞きます。
設計事務所で意匠図は描ける人が多いですが、強度・施工方法なども考慮して細部の施工図となると描ける人は絞り込まれます。
設計士として現場を知ることが重要ですし、現場監督・職人とのコミュニケーションも必要になってきます。
CADオペレーターを選択する場合
- 新しい技術(BIM/CIM、3D図面)をどん欲に身に付ける
- 複数のソフトを使えるようになる
- 設計士の役割もこなせるようになる
- CAD以外にも複数の技術(CAE、CAMなど)を使えるようになる
CADオペレーターになることや続けていくことを決めた場合、前述してきたように取り巻く環境、将来性を考えると気合を入れていく必要があります。
CAD操作だけでなく上記に箇条書きで挙げた追加の技術を身に付けることで生き残れる可能性があります。
どうしてもCADオペレーターは設計士の補助的な役割になります。
あくまでCADの操作がメインになるので今後の自動化技術によりソフトや機械に代替される可能性もあるでしょう。
また、CADソフトも技術革新に合わせドンドン新しいものが出てくるので、それらを覚える必要もありますし、逆に覚えることで存在していくことも可能でしょう。
例えば建築関連でいうとBIM/CIMという3DCADの次の技術が出てきており、政府も推進しております。
こういった新しい技術をいち早く取り入れることで生き残っていけることでしょう。
また3DCADでも1種類でなく複数のソフトを付けるのも貴重な人材です。
更には設計士の仕事もこなしていくことで生き残っていくこともできると思いますし、収入UPも見こせるでしょう。
一番まずいのは2DCADしか使えないオペレーターです。
今は3DCADが浸透していますので、どんどん2DCADの仕事が減ってきています。
設計に必要な資格について
前述した設計士として必要スキルを身につけるための一つとして資格取得が考えられます。
ここでは、設計士の資格について見ていきましょう。
設計士の資格
- 建築:技術士(建築部門)、一級建築士、建築CAD検定試験
- 機械:技術士、機械設計技術者/機械・プラント製図技能士/基礎製図検定/機械製図検定
建築系や機械系の主な設計士の資格を挙げると上記になります。
建築系でいうと1級建築士の資格を取得すると、さらなるキャリアアップや独立できる可能性も高まります。
依頼者のニーズを聞き、専門知識をいかしながら図面をつくり、建築現場を監督・指揮するような総合的な仕事を受けることができます。
1級建築士の資格を認められた後、5年以上の実務経験を積むと取得可能になるのが設備設計1級建築士や構造設計1級建築士です。
これの資格があると、設備設計・構造設計のスペシャリストとして力を発揮できます。
また技術士という国家資格があります。
これは様々な部門があり、建築部門の場合、建築会社は取得を推奨しています。
理由は、技術士の人数が多いほど政府系の仕事を取得しやすいためです。
設計者になるための基礎知識を身につけたいならJTEXと通信講座が良いでしょう。
自分に合った設計士を見つけるために転職エージェントに相談しよう
CADオペレーターを続けるか、設計士になるか迷った時も一人で悩む必要はありません。
まずはCADやエンジニア系に強い転職エージェントに登録し、相談してみましょう。
登録は無料です。
転職エージェントでは色んな案件を知っていますし、色んな人材を見てきているので自分の経歴や悩みを聞いてもらい、今後の進むべき道を考えてみると良いです。
1社だけでなく、複数の転職エージェントに聞き、幅広い意見を聞くことが重要だと思います。
まとめ
私はCADオペレーターから設計士になりたいと思っている人を応援しています。
責任は増えますが、それ含めて成長にもつながりますし、収入も増えます。
性別などは関係ありません。
私の周りでも女性から設計者へ転身したかたも数名いらっしゃいます。
是非、挑戦してほしいと思います。
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