CADにはたくさんソフトが存在しますが無料で使えるソフトも多数存在します。
建築、機械、アパレルなどそれぞれの用途に合ったCADはどれなのか?
2Dや3Dはどちらが良いのか?など、気軽に試してみたいけど、どれが良いのか迷っている方もいるのではないでしょうか?
そこで、今回は無料で使える3DCADのフリーソフトに絞って、それぞれの特徴や用途別にはどれがおすすめなのかを、初心者にも分かり易くまとめてみました。
3DCADのフリーソフトの一覧も整理しながら、全体像もまとめてみましたので参考にして頂ければと思います。
スマホやタブレットで無料で使えるCADアプリは以下の記事を参考にして頂ければと思います。
そもそも3DCADとは何?
CADには大きく分けて2DCADと3DCADがあります。
家を建てる時の設計図などを見たことある方も多いと思いますが、これは2D図面と言われ、一般的に2DCADで作成されます。
一方で3DCADは立体的な3Dモデルを作成します。
どちらも、ものづくりをするための情報伝達手段として使われます。
歴史としては2DCADから世の中に普及し、情報処理技術の発展と共にパソコンも高性能になったという事で、主役の座が2DCADから3DCADになっています。
情報伝達手段としても、2Dより3Dの方が誰にでも直感的に形が伝わりやすいというのもその理由の1つです。
3DCADでできること
3DCADで3Dモデルを作る機能をモデリング機能といい、CADオペレーターと呼ばれる職業の方々がパソコンにインストールされた3DCADでモデリングをします。
作られた3Dモデルを使って様々な事ができ、いくつかを列挙すると以下のような事ができます。
- モデルの寸法を変更し形状変更する
- 他人とモデルを見ながらコミュニケーションする
- 3Dモデルどうしの隙や干渉をチェックする
- 3Dプリンターを使って3Dモデルの形状を印刷する
- CAEソフトに3Dモデルを読み込み、強度解析などシミュレーションする
上記はほんの一例ですが3DCADで作成したモデルを使って様々なものづくりの活動が行われています。
したがって3DCADはモノづくりに欠かすことのできないツールになっています。
3DCADの無料版と有料版、無料体験版の違い
様々な企業が3DCADソフトを販売していますが、一般的にどのソフトにも有料版と無料版があります。
無料版にも色々とあり以下のようなものにわけられます。
- 有料版より機能が制限された無料版
- 30日限定(期間限定)の無料版
- 学生や教育目的だと無料になるケース
- 非商用利用だと無料になるケース
- 無料版しかないケース
5のケースはすごく稀で、ほとんどが1〜4のどれかにあたると思います。
無料で使える3DCADフリーソフトのおすすめ9選
無料の3DCADフリーソフトのおすすめ一覧
まずは本記事でご紹介する9つの3DCADフリーソフトを一覧で見ておきましょう。
それぞれ、建築、機械、アパレルのどの用途に適しているか、各CADの特徴についてもまとめてあります。
CAD名 | 建築 | 機械 | アパレル | 各CADの特徴 |
---|---|---|---|---|
Fusion 360 | ◯ | ◯ | 全体的な3Dモデリングとシミュレーション機能があり、建築デザインにも応用可能 | |
Onshape | ◯ | ◯ | クラウドベースでチームコラボレーションに適しており、建築設計も可能 | |
SketchUp | ◯ | 建築やインテリアデザインに適しており、シンプルで直感的なインターフェースが特徴 | ||
FreeCAD | ◯ | ◯ | パラメトリックモデリングが可能で、機械設計や建築設計に向いている | |
DesignSpark Mechanical | ◯ | 直感的なインターフェースで機械設計に適している | ||
BricsCAD Shape | ◯ | 建築や建築設計に特化した3Dモデリングツール | ||
Tinkercad | ◯ | ◯ | 簡単な3Dモデリングが可能で、アパレルの簡単なプロトタイプ作成に使用可能 | |
nanocad | ◯ | ◯ | 建築設計に適した2D/3D CAD機能を提供 | |
Blender | ◯ | 高度なレンダリングとモデリング機能を持ち、建築ビジュアライゼーションや服飾デザインにも使用可能 | ||
洋裁CAD | ◯ | パラメトリック方式のフリーで使える2D/3DCADです。 | ||
パタパタモードくん | ◯ | パラメトリック、パターンメイキング、縫代付け、グレーディング、マーキングなどができるアパレルCADです。 |
Fusion360
無償版は非商用の利用に限ります。主に機械設計の3Dモデリングに使用されています。
スカルプト機能により、手軽に局面等の形状を形成していく事が可能です。
3Dから2D図面の作成も簡単にできます。作ったものを3Dプリンタで出力したり2D作品を3D化してみたり、趣味で使用する事にも良いソフトでしょう。
dwg・dxf・cam360・fbx・step・123dx等30種類以上のファイル形式をインポート可能です。
エクスポートもdwg・dxf・skp等12種類のファイル形式が可能で、覚えて損する事はないソフトだと思います。直感的な操作で初心者でも扱いやすいCADソフトです。
主な用途 | 機械・電気系など |
開発元の社名 | AUTODESK |
独学用Webサイト | Fusion360の公式ホームページ |
資格あるか? | Autodesk社の認定試験あり |
ファイル形式(インポート、エクスポート) | インポート:dwg・dxf・cam360・fbx・step・123dx等30種類以上 エクスポート:dwg・dxf・skp等12種類 |
対応OS | Windows/Mac |
以下にもFusion360の始め方をまとめてありますので参考にしていただければと思います。
OnShape
OnshapeはCADメーカーで有名なPTCが2019年に買収しました。
PTCとしてはCreoという3大ハイエンドCADの一つの開発元ですが、ここにフルクラウドのCADをラインナップすることを目的にOnshapeを買収したようです。
PTCが買収するぐらいなので相当期待できるCADなのは間違いありません。
私も使ってみましたが、すごく使いやすいですし、とにかく使い始めるまでが短時間ですみます。
冒頭言いましたが、Onshapeはアカウント登録し、オンライン上で作業をするCAD(フルクラウドCAD)になります。
全ての操作をクラウド上で行い、作業内容は自動でクラウド上にバックアップされます。
オンライン上で使用するのでインターネットに繋がれば、どこでも操作ができます。
機械設計や医療、建築等、幅広い分野で利用可能です。
dwg・iam・CATIAv4/v5/v6・dxf・obj・neu・3dm・sat・sidprt・step等の計30種類のファイル形式のインポートと、dwg・ipt・igs・sat・step等計10種類のエクスポートが可能です。
まだ日本ではOnshapeの情報が少なく、公式ホームページのマニュアルなども英語ですが、それだからこそ先行者利益を享受できる可能性はあります。
主な用途 | 機械、建築など |
開発元の社名 | PTC |
独学用Webサイト | 公式ホームページ |
資格あるか? | 公的資格なし |
ファイル形式(インポート、エクスポート) | インポート:dwg・iam・CATIAv4/v5/v6・dxf・obj・neu・3dm・sat・sidprt・step等の計30種類 エクスポート:dwg・ipt・igs・sat・step等計10種類 |
対応OS | Windows/Macなど |
SketchUp for WEB
主に建築・インテリア業界で使用される事の多いSketchUpの無料版です。
無料版は非商用利用の利用に限ります。こちらもアカウントを作成し、オンライン上で作業をするCADです。
インターネットに繋がる環境であればどこでも作業できます。自動保存機能で進行中のモデルを失敗した時等に戻す事も可能です。
操作方法はインターネットで検索すると多数出てきますので初心者の方でも覚えられると思います。
STLファイルのインポート、PNG・STLファイルのエクスポートが可能です。
主な用途 | 建築、インテリア |
開発元の社名 | Trimble |
独学用Webサイト | 個人サイト多数あり |
資格あるか? | 公的資格なし |
ファイル形式(インポート、エクスポート) | インポート:STLファイル エクスポート:PNG・STLファイル |
動作環境 | インターネット必須,GoogleChrome59以降またはFirefox52以降,3ボタンスクロールマウスとキーボードが必要 |
FreeCAD
こちらは商用利用が可能なフリーソフトです。機械向けですが、建築系や工学系全般に使用可能です。
用途に合わせてワークベンチといわれる様々な機能をダウンロードし、登録する事で製図やレンダリングの機能・ツール等が追加できます。
商用利用が可能なので、個人利用ではなく商用利用で3DCADを試してみたいという企業にもお勧めできます。
作業をする上で不明な点が出たきた場合にはラーニングサイトがあります。
ラーニングサイトは英語解説がメインなので、英語が苦手な方は別途インターネットで日本語解説のものを検索する方が早いかもしれません。
3ds・obj・dwg・dxf・bms・xlsx・bmp・jpg・html等、40種類以上ものファイル形式のインポート及びエクスポートが可能です。
主な用途 | 機械、建築など |
開発元の社名 | オープンソース |
独学用Webサイト | 個人サイトいくつかあり |
資格あるか? | 公的資格なし |
ファイル形式(インポート、エクスポート) | 3ds・obj・dwg・dxf・bms・xlsx・bmp・jpg・html等、40種類以上 |
対応OS | Windows、MacOS、Linux |
DesignSpark Mechanical
アカウントの登録で利用可能になります。機械系から建築系まで幅広く使用できます。
操作画面のツール表示が多く慣れが必要かもしれませんが、ショートカットキーもありますので覚えてしまえばスムーズに作業出来るのではないでしょうか。
不明な点はインターネットで検索すれば操作方法の動画等が出てきますので覚えるのも難しくはないと思います。
RSDOC・OBJ・SKP・JPG・BMP・PNG等10種類のインポート及びエクスポートが可能です。
主な用途 | 機械、建築など |
開発元の社名 | RS Components |
独学用Webサイト | 公式ホームページ |
資格あるか? | 公的資格なし |
ファイル形式(インポート、エクスポート) | RSDOC・OBJ・SKP・JPG・BMP・PNG等10種類 |
対応OS | Windows |
BricsCAD Shape
AutoCADと互換性が高いと評判のBricsCADにはBricsCAD Shapeという無料版があります。
次に無料版(BricsCAD Shape)と有料版の違いが気になりますよね?
やはり有料版の方が機能が豊富ではありますが、無料版(BricsCAD Shape)でも基本的な2D図面や3Dモデリングの機能が備わっています。
初心者でもシンプルなインターフェースで直感的な操作が可能なダイレクトモデリングを採用しています。
設計者が構想段階にて3Dを使ってラフ検討できるように作られていて、設計者のアイデアを形として具現化し、プレゼンテーションするには最適なツールです。
BricsCADの有料版の評判については以下の記事を参考にしてください。
Tinkercad
Tinkercadは世界的でもトップレベルのCADベンダー(開発会社)であるAutodesk社が開発したCADです。
Autodeskからはプロフェッショナル向けにAutoCADがありますが、このTinkercadはより初心者向けでブラウザ上で操作でき、簡単な形状を作成できます。
この特徴のため教育用として使われるケースもあり、作成したモデルを3Dプリンターで印刷するといったセミナーには適した3DCADになります。
nanoCAD
nanoCADはNanosoft社が開発したCADで、2D/3D両方とも無料で使えます。
有料版もありサブスクリプションで機能拡張させて使えます。
ただ日本語版がないのでデメリットで、英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、韓国語の5言語に対応しています。
3Dモデリングではダイレクトモデリング、パラメトリックモデリング、両方に対応しています。
AutoCADと互換性が高く、インターフェースも似ていると評判です。
またC++などのプログラミング言語もサポートしているのでカスタマイズも可能です。
Blender
アニメーション作成をされる方が使用する、有名な3DCGソフトです。
モデリングやレンダリングといった機能も備えており、操作性も3DCADに劣らず利用可能です。
アニメーション、ゲーム開発から3D、CG、3DCADを利用する方も使用しています。
CADとして利用するにはスケール等の設定をするという作業が必要になりますが、既にCGソフトを利用している方が3Dプリンタ用のデータを作成したい場合や、CADも使ってみたいという場合には良いでしょう。
その他、複雑な局面の造形があるモノを綺麗に見せたい場合や動きをシュミレーションしたい場合にもBlenderの方が良いかもしれません。
こちらも趣味で覚える方もいらっしゃるソフトですので、初心者にも覚えられるソフトだと思います。
主な用途 | コンピューターグラフィック関係 |
開発元の社名 | オープンソース |
独学用Webサイト | 公式ホームページ |
資格あるか? | 公的資格なし |
対応OS | Windows,MacOS,Linux,FreeBSD |
このBlenderを使ってどんなことができるかや、副業事例を以下にまとめてみました。
建築系におすすめの3DCADフリーソフト
建築の用途で使いやすい3DCADの特徴としては以下のようなものが考えられます。
- 壁、床、屋根、ドア、窓などの建築要素を簡単に作成できるツールが含まれている
- 建築に必要な素材や部品(家具、設備、建材など)のライブラリが豊富に用意されている
- 建築系のCADやBIMとの間で容易にインポート、エクスポートできる
- レンダリング使って建築パースやプレゼン資料が作れる
正直、上記を全て満たす3DCADで無料で使えるものはないに等しいですが、本記事では以下が建築系におすすめの3DCADフリーソフトとしています。
- BricsCAD Shape
- SketchUp
- Fusion360
- FreeCADなど
機械系におすすめの3DCADフリーソフト
機械の用途で使いやすい3DCADの特徴としては以下のようなものが考えられます。
- 寸法変更で形状を変えることができるパラメトリック機能を有している
- サーフェースでなくソリッドの3D形状を作成できる
- CAD上で部品どうしをアセンブリ(組付け)することができる
- 機械系で良く使われているCADとの間でインポート、エクスポートできる
- 部品点数が多いものを扱う際はソフトのレスポンスに問題ない
こちらも正直、上記を全て満たす3DCADで無料で使えるものはないに等しいですが、本記事では以下が機械系におすすめの3DCADフリーソフトとしています。
- Fusion360
- OnShape
- FreeCAD
- DesignSpark Mechanical
- BricsCAD Shapeなど
アパレル系おすすめの3DCADフリーソフト
アパレルの用途で使いやすい3DCADの特徴としては以下のようなものが考えられます。
- 服飾専用のツールや機能(パターンメイキング、ドレーピングなど)
- 実際の布地の質感や挙動を再現できる機能を有している
- バーチャルフィッティング機能を有している
- アパレル系で良く使われているCADとの間でインポート、エクスポートできる
- デザイナーどうしでコラボレーションしやすい
正直、上記を全て満たす3DCADで無料で使えるものはないに等しいですが、本記事では以下がアパレル系におすすめの3DCADフリーソフトとしています。
- 洋裁CAD
- パタパタモードくん
ブラウザ上で使える3DCADフリーソフト
最近はソフトをパソコンにインストールしなくても、インターネットのブラウザ上で使える3DCADフリーソフトもあります。
これにより以下のようなメリットがあります。
- インストール不要
- 基本的に常に最新バージョンを使え、バージョンアップ不要
- クラウド上にデータ保存するためにローカルでのデータ管理が不要
- データをクラウド上に保存するためデータ共有しやすい
実際にインターネットのブラウザ上で使える3DCADフリーソフトには以下のようなものがあります。
- Fusion360
- OnShape
- Google SketchUp for Web
- Tinkercad
ブラウザ上で使える2D/3DCADについては以下にもまとめてありますので参考にして頂ければと思います。
無料で使える3DCADフリーソフトまとめ
今回紹介した以外にも様々な3DCADのフリーソフトがあります。
フリーソフトなら複数試して比べる事も可能です。
趣味やDIYでCADの習得考えている方やどのソフトが良いか迷っている方、業務での使用を検討されている方も業種や利用目的に合わせて気軽に試してみてはどうでしょうか。
コメント