積算とは建設工事にかかる費用を算出する重要な仕事ですが、建築業界独自の職業のため具体的になにを行うのかわからない方も多いと思います。
積算の仕事が辛い、大変という声もネットにはありますが、建築業界に興味があり、数字の正確な仕事が好きな人には向いていると思います。
今回は、積算の仕事についてご説明すると共に、積算のここがきついと思う正直な点、逆に向いている人の特徴もご紹介します!
建築設計事務所で積算業務をやっている経験を通じて、積算業務の辛いところや、スキルを活かして年収アップする方法など本音をご紹介したいと思います。
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積算の仕事について
どの材料がどれくらい必要で費用がどれだけかかるのか、材料だけでなく、仮設工事費や人件費など建設工事にかかる全ての費用を算出しなければなりません。
積算の業務を行わなければ、実際にかかる工事費が分からず、利益をあげることができなくなり事業として成り立ちません。
そのため、積算は会社の経営にも直結する重要な仕事といえるでしょう。
積算の仕事がきつい・やめとけと言われる理由
ここからは私の経験をもとに積算の仕事の大変なところについていくつかご紹介したいと思います。
責任が大きい
積算は会社の利益に繋がる仕事で、規模が大きくなると扱う金額も数千万~億単位となります。
1つのミスでも多大な損失に繋がってしまうということもあり、責任が大きな仕事となっています。
そのため、かなりの緊張感を持って仕事に向き合わなければなりません。
以前、私が担当した小学校の改修に伴う拾い出しの作業では、税金が関わる案件のためかなり慎重に作業しなければならず、とても緊張したのを覚えています。
残業がある
建築は比較的に残業が多いといわれる業界です。
積算業務も同様に、案件の数が多いときや繁忙期は残業することがあります。
また、突然近日中に見積が欲しいと言われるなど、スケジュールが厳しい際は残業や休日出勤などで対応することもあります。
建築の豊富な知識が必要
積算業務は図面を読み取って行いますが、材料など全ての情報が記載されているわけではありません。
例えば、土間コンクリートを算出する際、コンクリートの数量以外に骨組みとなる鉄筋や型枠、運搬の手間なども同時に算出しなければなりません。
このように、図面に書かれていないことも想像して行わなければならないため、建築の豊富な知識が必要となります。
私が初めて積算業務を行った際は、何を拾えば良いのか分からず、ネットなどで調べても出てこないことが多いため、上司に何度も教えてもらいながらの作業でとても苦労したのを覚えています。
一人前になるためには、常に勉強しながら経験を積まなければならないため、大変に感じることも多いでしょう。
詳細な図面がない場合がある
平面図や立面図など様々な図面を見て積算していきますが、全ての図面が準備されているとは限りません。
設計士によっては詳細図を丁寧に用意してくれる方もいますが、図面が粗い方もいます。
そのため、詳細を確認しながら、建物をイメージしながら数量を算出しなければならず、根気強さが求められる仕事です。
私も積算の拾い出しの作業は苦手な部分があります。
計算自体は足し算や引き算、掛け算など難しいものはないのですが、図面から建物の細部をイメージして材料を算出するので、複雑な所はかなり神経を使います。
同じ作業の繰り返しである
担当する案件によって、材料や工法など様々な知識を得ることができ、達成感のある仕事だと思います。
しかし、積算業務は主に数量を算出していく作業の繰り返しとなります。
建物の規模や現場により違いはあるものの、クリエイティブな仕事がしたい人や単純作業が苦手な人には不向きな仕事だと思います。
板挟みになることもある
積算は案件を受注する際の金額の検討、設計士が描いた図面を基に見積を作成、現場での予算など、営業・設計・現場すべてに深い関わりがある仕事です。
そのため、見積修正を頼まれた設計図が打合せ前日に渡されたり、受注できないのは積算の算出金額が高いのが原因だと言われたりなど、板挟みになりこともあります。
こうしてみていくと積算の仕事はCADオペレーターの大変なところと似ているところもありますね。
積算の仕事に向いている人とは?
上記は積算の仕事の辛い点、大変なところについてご紹介しましたが、ここでは逆に向いている人の特徴について述べたいと思います。
数字を使った地道で正確な作業が好きな人
積算は、図面をもとに建設工事にかかる費用を算出する仕事なので数字を取り扱います。
計算は、足し算、引き算、掛け算と簡単な計算なのですが、お金に直結する計算なので正確さが求められます。
なので、正確に計算したり、計算結果をしっかりとチェックする地道さ作業が好きな人が向いています。
意思決定の重要な情報を取り扱いたい人
前述したとおりお金を取り扱う仕事なので、経営の重要な意思決定の情報です。
いわば機密情報でもあります。
こういった情報を自分が算出し、携われるのは社内でも限られた存在です。
そういった情報を取り扱うといった優越感のようなものも味わえますよ。
建築物が好きな人
建築物の図面を見て、3D形状をイメージしながら積算していくので、この2次元を3次元にイメージできるスキルが必要です。
これがなかなか苦手な人も多いのですが、建築物が好きであればこういった作業も苦にならない傾向があると思います。
「好きこそ物の上手なれ」ということですね。
コミュニケーションが好きな人
図面や施工で分からないことがあると設計や施工担当に聞く必要があります。
なので分からないことがあれば、関係者とコミュニケーションを取り、仕事を前に進めていける人が向いていると言えます。
積算の仕事の将来性
積算ソフトなどが販売されていますが、積算の仕事は今後も需要があると考えます。
図面や3Dモデルを作成するとそのまま積算も自動で行ってくれるBIMソフトなど、積算の業務は以前より効率的になり取り組みやすくなりました。
しかし、全ての企業がそのようなソフトを使いこなせているわけではありません。
また、設計図の矛盾点の指摘など、積算ソフトだけではカバーしきれない部分もあり、未だ積算業務には人の手が必要です。
今後さらにBIMなどのソフトが普及すると思います。
それに伴い実際にソフトを扱える人材の需要も高まるため、積算の仕事に勤め続けたい方やスキルアップしたい方は、BIMの経験を積んでおくとよいでしょう。
積算の仕事の年収と年収アップ方法
年収
積算の平均年収は400万円前後です。有資格者の場合は収入アップの見込みがあると思います。年代別でみると以下の通りです。
年代 | 平均年収 |
20代前半 | 348万円 |
20代後半 | 403万円 |
30代 | 485万円 |
40代 | 513万円 |
これまでにご説明した通り、積算は専門的な業務であり経験を積むことが必要な仕事となっています。
設計図の読み取り力や工法・材料についての知識などがある上で積算を行わなければならないため、経験年数が多い方はそれだけ業務をこなすことができ、給与も上がりやすいです。
転職して年収アップを目指す
積算は経験を積むことが重要となりますが、ある程度経験値がある方は、現状より好待遇の企業へ転職することで年収アップを目指すことが可能でしょう。
他の業界でもそうですが、建築業界も小規模の企業と大規模の企業では給与にかなり差が出ます。
優良企業への転職の際はより高いスキルが求められるなど難易度も高いとは思いますが、仕事内容や残業時間など他の条件も踏まえた上で、優良企業への転職に挑戦し収入アップを目指してみるのも良いと思います。
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副業する
本業に余裕がある方は、終業後や休日などに副業をするのも収入を増やす方法の一つでしょう。
以下の記事はCADオペレーターにおすすめの副業とありますが積算にも十分当てはまる内容となっています。
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まずは月5万円を稼ぐのを目標にやってみてはいかがでしょうか?
まとめ
今回積算の仕事ついて、大変なことも含めご紹介いたしました。
コツコツと行う作業が好きという方や地道な作業が得意という方、大きな仕事をしたい方にとってやりがいを持てる重要な仕事です。
積算に関心のある方々にとって、この記事がお役に立てれば幸いです!
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