「BIMのスキルを証明したいけど、どんな資格があるんだろう?」
「キャリアアップのためにBIM資格を取りたいけど、どれが自分に合っているかわからない…」
建設業界でBIMの導入が急速に進むなか、あなたもこんな風に悩んでいませんか?
結論から言うと、これからの建設業界で市場価値の高い人材として活躍したいなら、BIM資格の取得は非常に有効な自己投資です。なぜなら、BIMという目に見えにくいスキルを客観的に証明でき、転職や社内でのキャリアアップにおいて強力な武器になるからです。
実際に、私の周りでもBIM関連の資格を取得し、それをきっかけに大手ゼネコンへの転職を成功させ、年収が150万円以上もアップしたなんて方もいらっしゃいます。資格がなければ、書類選考すら通らなかったかもしれないですし、資格によってキャリアの可能性を大きく広げたのです。
もちろん、「資格なんてなくても、実務でBIMが使えれば問題ないのでは?」という意見もあるでしょう。たしかに、最も大切なのは日々の業務で培われる実践的なスキルです。
しかし、BIMのような比較的新しい技術分野では、体系的な知識を持っていることや、一定のスキルレベルにあることを客観的に示す「資格」が、あなたの価値を正しく評価してもらうための重要な指標となります。
だからこそ、数ある資格の中から「今の自分と、将来なりたい姿」に合ったBIM資格を見つけることが、キャリアを切り拓く上で非常に大切なのです。
この記事では、BIM関連の主要な資格から、あなたにぴったりの資格を見つけるお手伝いをします。ぜひ最後まで読んで、未来への一歩を踏出してくださいね。
BIMの主要資格6選!難易度や費用を徹底比較
さっそく、現在日本で受験できる主要なBIM資格を6つご紹介します。それぞれ特徴や対象者、難易度が異なるので、一つずつ比較しながら自分に合いそうなものを探してみてください。
BIM/CIM管理技士
特徴や運営団体
BIM/CIM管理技士は、公益財団法人 日本建設情報技術センターが主催する資格です。建設業界の中でも、特に公共事業でBIM/CIMの活用を推進する技術者を育成することを目的としています。
近年、国土交通省が主導する形で公共事業へのBIM/CIM導入が原則化されており、この分野の専門知識を持つ人材の需要は急速に高まっています。
実際に、2025年度からは小規模なものを除く全ての公共事業でBIM/CIMが原則適用となるため、資格の価値はますます上がっていくと予想されます。
詳しくは国土交通省のBIM/CIMポータルサイトでも最新情報が公開されていますので、公共事業に携わる方はぜひチェックしてみてください。
この資格は、BIM/CIMに関する基本的な知識から、プロジェクト管理、データ活用といった実践的な内容まで幅広くカバーしているのが特徴です。建設・土木業界でBIM/CIMのエキスパートとしてキャリアを築きたい方に最適な資格と言えるでしょう。
難易度、合格率
BIM/CIM管理技士の試験は、まだ歴史が浅いため、合格率などの具体的なデータは公開されていません。しかし、BIM/CIMの専門知識が問われるため、一定レベル以上の学習が必要です。
特に、実務経験が豊富な方でも、ガイドラインや要領といった座学的な知識をしっかりとインプットする必要があります。
より詳しい試験内容や対策については、こちらの記事も参考にしてください。
BIM/CIM管理技士についての詳細は以下の記事にもまとめてありますので参考にしていただければと思います。
BIM利用技術者試験(2級/準1級/1級)
特徴や運営団体
BIM利用技術者試験は、一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP)が実施する、建築分野におけるBIMオペレーターやBIMマネージャーの技術力を証明するための資格です。
試験はレベル別に3段階に分かれています。
- 2級:BIMの基本的な知識が問われ、学生や実務経験の浅い方が対象。
- 準1級:実務経験者を対象とし、より専門的で実践的な知識が問われます。
- 1級:BIMマネージャーやリーダー層を対象とした、高度なプロジェクト管理能力や知識が求められます。
このように、自分のレベルに合わせてステップアップしていける体系になっているため、BIM初学者からベテランまで、幅広い層におすすめできる資格です。
難易度、合格率
合格率は試験の回によって変動しますが、2級は90%程度、準1級は40%~50%程度で推移しているようです。1級は25%~35%とさらに難易度が高くなります。
2級はBIMの入門的な位置づけなので、公式テキストを中心にしっかり学習すれば、実務未経験者でも十分に合格を狙えます。準1級以上は、実務経験に加えて、ガイドラインなどの深い理解が求められるため、計画的な学習が必要です。
BIM利用技術者試験の詳細や勉強法については、以下の記事で詳しく解説しています。
BIMエンジニアライセンス(BIMクリエイター、BIMエキスパート、BIMマスター)
特徴や運営団体
BIMエンジニアライセンスは、一般社団法人日本BIM協会が主催する資格です。この資格の最大の特徴は、特定のBIMソフト(RevitやArchicadなど)に依存しない、中立的で普遍的なBIMスキルを評価する点にあります。
こちらもレベル別に3種類に分かれています。
- BIMクリエイター:BIMの基礎知識とモデリング能力
- BIMエキスパート:BIMモデルの応用とデータ管理能力
- BIMマスター:BIMプロジェクト全体の管理・運営能力
特定のソフトの操作技術だけでなく、BIMプロジェクト全体を俯瞰する知識やスキルが問われるため、将来的にBIMコーディネーターやBIMマネージャーを目指す方にとって価値のある資格と言えます。
難易度、合格率
この資格も比較的新しいため、公式な合格率は発表されていません。しかし、ソフトウェアに依存しない分、BIMの概念やワークフローに関する本質的な理解度が求められます。
公式サイトで公開されているサンプル問題を解いて、どのくらいのレベル感なのかを掴んでから学習計画を立てるのがおすすめです。
buildingSMART プロフェッショナル認証
特徴や運営団体
buildingSMART プロフェッショナル認証は、BIMの国際標準であるIFC(Industry Foundation Classes)を推進する国際団体「buildingSMART International」が提供する国際的な認証制度です。日本では、一般社団法人buildingSMART Japanが運営しています。
この認証の大きな特徴は、国際基準のBIM知識を習得していることを証明できる点です。
基礎編を含めて4つのレベルがありますが、日本語で受験できるのはFoundation Levelというレベルになります。
将来的に海外のプロジェクトに携わりたい方や、グローバルなキャリアを目指す方にとっては、非常に魅力的な資格です。
難易度、合格率
この認証は、試験に合格するという形式ではなく、認定された研修プログラムを受講し、最終テストに合格することで取得できます。そのため、合格率は非常に高いですが、研修への参加が必須となります。
難易度としては、基礎的な内容が中心ですが、オープンBIMやIFCといった国際標準に関する知識が問われるため、専門的な学習が必要です。
詳しくは以下のbuildingSMART プロフェッショナル認証の公式ホームページをご覧頂ければと思います。
Archicad BIM認定試験
特徴や運営団体
Archicad BIM認定試験は、BIMソフト「Archicad」の開発元であるグラフィソフトジャパン株式会社が主催する、Archicadユーザーのための認定資格です。Archicadの操作スキルやBIMワークフローに関する知識を客観的に証明することができます。
この認定試験には、以下の2つのレベルがあります。
- Archicad BIM User 認定試験: Archicadの基本的な操作スキルとBIMの基礎知識を証明します。
- Archicad BIM Author 認定試験: より高度なモデリング技術や情報管理能力を証明します。
普段からArchicadをメインで使っている方であれば、自身のスキルレベルを確かめ、アピールするための最適な資格と言えるでしょう。資格取得者は、認定ロゴを名刺などに使用することもできます。
難易度、合格率
合格率は公表されていませんが、Archicadの基本的な操作から、属性管理、図面作成といった一連のワークフローを理解していれば、合格は難しくないでしょう。グラフィソフトが提供する公式トレーニングやeラーニング教材が充実しているため、これらを活用して学習を進めるのが効率的です。実務での使用経験が最も重要になります。
詳細は以下のグラフィソフトジャパンの公式ホームページを参考にしてください。
Vectorworks 検定
特徴や運営団体
Vectorworks 検定は、CAD/BIMソフト「Vectorworks」のVectorworksジャパンが主催する資格です。意匠設計やインテリアデザインの分野で人気の高いVectorworksのスキルを証明します。
レベルはベーシック検定があり、今後はプロフェッショナル検定なども予定しているとのことです。ベーシックでは2D/3Dの基本的な作図・モデリングスキルが問われます。
特にデザイン性の高い建築・内装設計の分野でキャリアを考えているVectorworksユーザーにおすすめの検定です。
難易度、合格率
こちらも合格率は非公開です。Vectorworksを日常的に使用しているユーザーであれば、ベーシックレベルは比較的スムーズに合格できるでしょう。マスターレベルは、BIM機能を含む全ての機能を使いこなす応用力が求められるため、より実践的な学習が必要になります。
詳細は以下のVectorworksジャパンの公式ホームページを参考にしてください。
【一覧表】BIM資格の難易度・受験料・主催団体まとめ
ここまで紹介した6つの資格のポイントを一覧表にまとめました。資格選びの参考にしてください。
資格名 | 主催団体 | 主な対象者 | 難易度 (目安) | 受験料(税込) |
---|---|---|---|---|
BIM/CIM管理技士 | (公財)日本建設情報技術センター | 建設・土木技術者 | 中級~ | 16,500円 |
BIM利用技術者試験 | (一社)コンピュータ教育振興協会 | 建築設計者、施工管理者、学生 | 初級~上級 | 2級: 8,250円 準1級: 13,200円 1級: 19,800円 |
BIMエンジニアライセンス | (一社)コンピュータ教育振興協会 | 全般(ソフト非依存) | 初級~上級 | クリエイター: 16,500円 エキスパート、マスターは未定 |
buildingSMART プロフェッショナル認証 | (一社)buildingSMART Japan | 全般(国際基準) | 初級~ | 研修機関による |
Archicad BIM認定試験 | グラフィソフトジャパン(株) | Archicadユーザー | 初級~中級 | 無料 |
Vectorworks 検定 | Vectorworksジャパン | Vectorworksユーザー | 初級~中級 | 無料 |
BIMの資格は本当に必要?取得メリットと失敗しない選び方
たくさんの資格があることはわかったけど、「結局、資格って本当に取る意味があるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。ここでは、資格を取得する具体的なメリットと、あなたに合った資格を選ぶためのポイントを解説します。
BIM資格を取得する3つの大きなメリット
BIM資格を取得することには、大きく分けて3つのメリットがあります。これらは、あなたのキャリアを確実に後押ししてくれるはずです。
①BIMスキルを客観的に証明できる
最大のメリットは、あなたのBIMスキルを「客観的な指標」で示せることです。「BIMが使えます」と口で言うのは簡単ですが、どのレベルで、どんな知識を持っているのかを相手に正確に伝えるのは難しいもの。
資格があれば、採用担当者やクライアントに対して、あなたのスキルレベルを具体的かつ信頼性高く証明できます。特に転職活動においては、書類選考の段階で他の候補者と差をつける大きなアピールポイントになります。
②転職活動やキャリアアップに有利に働く
BIMスキルを持つ人材の需要は年々高まっており、特にBIMマネージャーやBIMコーディネーターといった専門職は多くの企業が求めています。
資格を持っていることは、BIMに対する高い意識と学習意欲の証です。そのため、より条件の良い企業への転職や、社内での昇進・昇給、希望のプロジェクトへのアサインなど、キャリアアップのチャンスを掴みやすくなります。
実際に、資格取得をきっかけにBIM関連の部署へ異動できたというケースも少なくありません。
既にBIMスキルがあって転職を考えている方は以下で紹介している建築業界に特化した転職エージェントがおすすめです。
仕事内容や業界にも精通しているので自分の希望にマッチした会社に転職できる可能性が高くなります。
③体系的な知識が身につき実務に役立つ
日々の業務だけでBIMを学んでいると、どうしても知識が断片的になったり、自己流の操作に偏ったりしがちです。
資格取得を目指して学習することで、BIMの基本概念から応用技術、関連するガイドラインまで、知識を体系的に整理することができます。
このプロセスで得た知識は、実務で壁にぶつかったときの解決策の引き出しを増やし、業務の効率化や品質向上に直接つながります。
【目的別】後悔しないBIM資格の選び方
「メリットはわかったけど、じゃあ自分はどれを選べばいいの?」という方のために、目的別の選び方のポイントをご紹介します。
実務未経験者・学生におすすめの資格
これから建設業界を目指す学生の方や、まだBIMの実務経験が浅い方には、まずBIMの基礎知識を証明できる資格がおすすめです。
- BIM利用技術者試験(2級):建築分野の基礎を学ぶのに最適。権威性も高く、就職活動でのアピールになります。
- BIMエンジニアライセンス(BIMクリエイター):ソフトに依存しない普遍的な知識が身につくため、最初のステップとしておすすめです。
まずはこれらの入門的な資格で基礎を固め、自信をつけることから始めましょう。
キャリアアップを目指す実務経験者向けの資格
すでにBIMの実務経験があり、さらなるキャリアアップ(BIMマネージャー、専門職への転職など)を目指す方には、より専門性の高い資格が有効です。
- BIM利用技術者試験(準1級/1級):実務能力を高いレベルで証明でき、社内外での評価を高めます。
- BIM/CIM管理技士:特に建設・土木分野で専門性を発揮したい方に必須の資格です。
- buildingSMART プロフェッショナル認証:国際的なプロジェクトやゼネコン、大手組織設計事務所などを目指す場合に強力な武器になります。
使用しているBIMソフトに特化した資格
特定のBIMソフトを日常的に使っていて、その操作スキルを極めたい、あるいは証明したいという方には、ソフトウェアベンダーが主催する資格がぴったりです。
- Archicad BIM User 認定試験:Archicadをメインで使っている設計者の方。
- Vectorworks 検定:Vectorworksを得意とする意匠設計者やインテリアデザイナーの方。
これらの資格は、フリーランスとして活動する際のスキル証明としても役立ちます。
BIM資格の取得に向けた効率的な学習ロードマップ
受験する資格を決めたら、次は合格に向けた学習計画です。効率的に学習を進めるための一般的なロードマップをご紹介します。
- 公式サイトで情報収集:まずは受験する資格の公式サイトを隅々まで確認しましょう。出題範囲、試験形式、推奨されるテキストや参考資料などを把握することがスタートです。
- 公式テキストや参考書で基礎固め:多くの資格では公式テキストが用意されています。まずはこれを一通り読み、体系的な知識をインプットします。
- サンプル問題・過去問で実践演習:知識をインプットしたら、次はアウトプットです。公式サイトで公開されているサンプル問題や過去問を繰り返し解き、出題形式に慣れるとともに、自分の苦手分野を把握します。
- 実機での操作練習(ソフト系資格の場合):ArchicadやVectorworksの資格の場合は、テキストを読むだけでなく、実際にソフトを操作しながら機能を試すことが最も重要です。
- スクールや講座の活用を検討:独学での学習に不安がある方や、短期間で効率的に学びたい方は、専門のスクールを活用するのも一つの手です。
BIM習得におすすめのスクール
独学が苦手な方や、プロから直接指導を受けたい方のために、BIMスキルを学べるおすすめのスクールを2つご紹介します。
Winスクール
Winスクールは、全国に校舎を持つ大手パソコンスクールで、BIM/CIMの講座も充実しています。特にRevitやCivil 3Dといったオートデスク社製品の講座に強く、企業研修などでも多くの実績があります。
一人ひとりのレベルに合わせた個人レッスンが特徴で、自分のペースでじっくり学びたい方におすすめです。オンラインでの受講も可能です。
WinスクールのRevit講座については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
アビバ
アビバも全国展開している有名なパソコンスクールです。BIM関連では、主にRevitの基礎から応用までを学べる講座が用意されています。
キャリアナビゲーターによるカウンセリングなど、学習のサポート体制が手厚いのが特徴です。目標設定から学習の進め方まで、専門のスタッフに相談しながら進めたい方にぴったりです。
BIM資格に関するよくある質問
最後に、BIM資格に関してよくいただく質問とその回答をまとめました。
Q1. 実務経験がなくても受験できる資格はありますか?
A1. はい、あります。「BIM利用技術者試験(2級)」や「BIMエンジニアライセンス(BIMクリエイター)」などは、実務経験を問われないため、学生の方や未経験の方でも受験可能です。まずはこれらの資格から挑戦してみるのがおすすめです。
Q2. どの資格が一番、転職に有利ですか?
A2. 一概に「この資格が一番」とは言えません。目指す業界や職種によって有利になる資格は異なります。自分の目的に合った資格を取得するようにまずは公式ホームページなどを熟読し、あなたのキャリアプランに合った資格を選ぶことが最も重要です。
Q3. 独学でも合格は可能ですか?
A3. はい、可能です。特に2級などの入門レベルの資格は、市販のテキストや公式問題集を中心に学習すれば、独学でも十分に合格を狙えます。ただし、準1級以上やより専門的な資格を目指す場合や、学習効率を重視する場合は、前述したようなスクールを活用するのも有効な手段です。
まとめ:自分に最適なbim 資格を見つけて市場価値を高めよう
今回は、BIMに関連する主要な資格と、そのメリットや選び方について詳しく解説してきました。
この記事のポイントの再確認
- BIM資格は、スキルを客観的に証明し、キャリアアップに繋がる強力な武器になる。
- 「BIM利用技術者試験」や「BIM/CIM管理技士」など、目的や分野に応じた様々な資格がある。
- 自分のレベル(未経験か、実務経験者か)や、使用ソフト、目指すキャリアに合わせて最適な資格を選ぶことが重要。
- 独学だけでなく、必要に応じて専門スクールを活用することで、効率的な資格取得が可能になる。
BIMの導入は、もはや特別なことではなく、建設業界におけるスタンダードとなりつつあります。そんな時代の中で、BIMスキルを証明する資格を持っていることは、あなたの市場価値を大きく高め、仕事の幅を広げてくれる間違いありません。
この記事を読んで、少しでも興味を持った資格が見つかったなら、ぜひその資格の公式サイトを訪れてみてください。情報を集め、一歩を踏み出すことが、あなたの未来を変えるきっかけになるはずです。あなたにぴったりのBIM資格を見つけて、理想のキャリアを実現してくださいね。
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