建設業界では最新技術を使った生産性の向上が大きな課題となっています。
その背景には、日本の職人の人手不足といった悩ましい問題があります。
日本は、職人の高齢化により2030年ぐらいまでに約100万人の人手不足が予想されており、これは2015年時点の職人約331万人の約3割に相当する人数です。
こういった日本の建設業界における人手不足を解決するための注目技術の一つにBIM(Building Information Modeling)という技術があり、建設テックという分野の一つとして国土交通省も非常に注目しています。
BIMは、従来の建物の3次元モデルとは違い、3次元モデルに様々な情報、属性を付加したモデルです。
最近ではこのBIMモデルを作成できるBIMオペレーターの需要があり、大手建設メーカー、ゼネコンをはじめ求人や派遣のニーズが出てきています。
CADソフト同様にBIMモデルを作成するためのソフトは様々なものがあります。
こういったBIMソフトを習得することで従来の2次元や3次元のCADオペレーターだけでなく、BIMオペレーターとして在宅勤務や副業で、がっつり稼ぐことができると思っています。
そこで本記事では、以下についてご紹介したいと思います。
- BIMとは?
- BIMと3次元CADの違い
- BIMのメリット
- BIM活用事例
- BIMオペレーターの将来性
- BIMの学び方、資格
- BIMの求人ここにテキストを入力
BIMやCADの副業のやり方、探し方は以下の記事にもまとめてありますので参考にしていただければと思います。
BIMとは?BIMソフトと3次元CADの違い
- Autocad
- Vectorworks
- Sketchup
- Rhinoceros
上記は建設関係の代表的な3次元CADです。
3次元CADや2次元CADで作成した3次元モデルや図面が形状情報だけでしかないのに比べ、BIMはそれらの形状情報に加え、以下のような建物の属性情報が付加された建物情報モデルを構築することがBIMと3次元CADの大きな違いです。
- 部屋や室の名称
- 面積
- 材料・部材の仕様や性能および仕上げ情報
- 材料・部材の価格
BIMソフトの代表的なものは以下があります。
- Revit(レビット)・・・Autodesk社
- Archicad(アーキキャド)・・・GRAPHISOFT社
- Gloobe(グローブ)・・・福井コンピュータ
レビット(Revit)とアーキキャド(Archicad)の比較
ここでは代表的なBIMソフトであるアーキキャドとレビットの比較をしたいと思います。
BIMはアメリカで生まれた技術と言われていますが、そのアメリカの名立たる設計事務所では、事務所で働くための必要スキルとしてレビットやアーキキャドが使えることを明示しています。
ただレビットの方が重要視されるようで、必要スキルの第1位がレビット、2位がAutoCAD、・・・・第18位がアーキキャドとなっているようです。
恐らくアーキキャドがGRAPHISOFT社というハンガリーに本社を置くBIMソフトであるのに対し、レビットはAutodesk社というアメリカの会社であるためだと思われます。
しかし、日本ではレビットとアーキキャドに対しそこまでの差がなく、同じぐらいの人気や普及率だと思います。
BIMのメリット
- 3Dモデルを修正すれば図面の断面図、立面図も自動修正される
- 面積が自動計算される
⇒容積率ぎりぎりまで床面積取りたい場合など面積計算を自動算出してくれるので便利 - タイルや壁材などの材料費が自動計算できる
- 干渉チェック機能などで意匠と構造の不整合を検出してくれる
- 3Dモデル共有により施主様とより円滑なコミュニケーションが可能
⇒施主様は2次元図面では建物の完成形をイメージしづらい - 建物の維持・管理といったメンテナンスの効率化
⇒メンテ時期をモデルに入力しておくとメンテ必要時期の把握が容易
BIM普及の現状
2010年ごろから日本でもBIMが導入され始めていましたが、その普及はまだまだで、2025~2030年で本格的に普及されると言われています。
これはドラフターから2次元CAD、2次元CADから3次元CADの普及の歴史を見ても分かるように、旧来のやり方に固執し、仕事のやり方を変えられないというのはよくある話です。
しかし、建築設計事務所や個人設計事務所ではBIMのメリットを享受しきれていないと言われますが、最近はゼネコン中心に積極的にBIMを使っています。
もし今後、事業主であるゼネコンがBIMモデルでの納品を設計事務所などに要求してきたら、それに従わざるを得ないでしょう。
そうなるとBIMを使えない人は淘汰されることになります。
したがって、早めにBIMソフトを使えるようになっておくと先行者利益を享受できるでしょう。
また学生はBIMソフト使えることで履歴書や面接でアピールでき、就職に有利になる。
BIMソフトの使い方は大学の授業で教えられている
既に大学ではBIMソフトを使った授業が行われており、逆にCADを使った授業が減っているぐらいです。
したがって、今後、どんどんBIMソフトを使える人材が企業に入社してくることを考えると、既にCADオペレーターとして活躍している人は、今までのツールだけ使えるだけでは、若い世代に追いていかれかねない状況になってしまいます。
BIMの活用事例
スターバックスでのBIMとVRの活用
店舗をBIMで設計し、そのBIMモデルをVRで事前に確認し、店舗の建設前に設計者とスターバックス側でリアルに完成形を確認。
照度レンダリングの活用
天窓なしとありで照度の違いをBMIモデル上で確認し、作業時の明るさに問題ないかをシュミレーション。
もし照明を付けた場合は、電気代がかかり、コスト的にも環境的にも影響が出てしまう。
そういったことをBMIを使って事前に確認。
BIMが進んでいるのはイギリス
ヨーロッパではBIMの導入が進んでいます。特にイギリスが進んでいます。
レベル1:2次元と3次元を組み合わせた限定的な設計プロセス
レベル2:BIMモデルを意匠/構造/設備などでお互いに共有する
レベル3:統合BIMモデルを関係者全員で運用する
上記はイギリスが作成したBIM成熟度で、2016年からレベル2を義務化、BIMレベル3に到達することを目標にしています。
更にはこういったプロセスはISOにも織り込まれ、国際的な標準プロセスとして認定されています。
この流れは機械系でも同様の流れですね。
機械系ではBIMモデルとは呼ばれず3次元図面、3Dアノテーションなどと呼ばれています。
やりたいことはBIMと同じで3次元モデルにPMI(Product Manufacturing Information)といった属性を付けることで、単純な3次元モデルではなく、ものづくりの自動化に使われています。
この3次元図面が進んでいると言われているのがヨーロッパの一つであるドイツです。
ドイツのインダストリ4.0の本命の技術で、3次元図面にも成熟レベルが設定されいます。
BIMオペレーターだけだと将来性はない
BIMモデルなどの情報を機械が読めるようにしてAI技術を使って自動化させるためには、まずは情報をデジタル化させる必要があります。
これをデジタイゼーションといいます。
それができたのちにプロセス全体をデジタルで最適化していきます。
これをデジタライゼーションといいます。
BIMオペレーターがBIMモデルを作ることはデジタイゼーションで、デジタライゼーションに向けスタートを切ったにすぎません。
BIMモデル作成の過渡期である2025年~2030年ぐらいまではBIMオペレーターは重宝されるでしょう。
しかし、その後は需要も減る可能性があります。
となると10年後やその先の将来にわたって、AIなどの代替不可能な人材になるためには、まずはBIMソフトを学び、使えるようになることからがスタートではないでしょうか?
それを経験したものが、その先の需要に思いをはせられるのだと思っています。
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Revit Architecture ユーザー試験
Revit Architecture ユーザー試験はRevitの販売元であるAutodesk社が運営する試験です。
試験内容は、Revitの使い方や応用などを問う試験で、筆記と実技から構成されています。
出題数は30問で、試験時間は約50分となっています。
ARCHICAD オンライン認定試験
ARCHICAD オンライン認定試験はArchicadの販売元であるGRAPHISOFT社が運営する試験です。
試験内容は、試験の対象者は、Archicad使用歴が1年以上のユーザで、出題数は30問で、試験時間は約120分となっています。
以下でBIMのスクールやセミナー情報もまとめてありますので参考にしていただければと思います。
BIMの転職および求人
BIMオペレーターは在宅と相性が良いです。
それだけに自分の専門スキルを活かして、好きな時間にフレキシブルに働ける仕事を見つけたいもの。
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