私はレブロを使って、設備設計業務を5年以上担当しています。
具体的には空気調和設備や衛生設備の提案、設計、見積りまでをレブロで行っています。
そこで本記事では、そのレブロを使っている設備設計の実務者が、実際のレブロの使われ方(活用事例)、メリット、デメリットを紹介いたします。
レブロの実業務を通した生声をご紹介したいと思います。
実ユーザーの声は貴重ですので是非よろしくお願い致します。
レブロはTfasと比較されることも多いので、以下の記事にレブロとTfasの違いをまとめてありますので参考にしていただければと思います。
建築設備CAD「レブロ」の活用事例
3Dモデルで建築思想に合わせた設備計画の提案をしやすい
レブロの最も評価すべき点は、3Dモデリングを通じてクライアントに提案ができることです。
例えば以下はボイラ機器回りの設備の3Dモデルになります。
クライアントが設備について詳しいことはあまりなく、2Dの平面図や文章などで説明するのは、大変なことでした。
実際設備の形態は、建物用途やクライアントの要望などにより様々で、レブロを使用するまでは顔を突き合わせて、何度も何度も打ち合わせを行っていました。
ですが、レブロの3Dモデリングであれば、建築思想やクライアントの要望に合わせた設備が、どのような形状でどこにどう配置されるのか、イメージを具体的に提案することが可能になりました。
設備機械の選定用の3Dデータひな形をダウンロードできる
レブロでは、メーカーから提供された3DデータをNYKのウェブページからダウンロードして活用できます。
例えばダイキン、三菱、日立、衛生設備のTOTO、LIXILといったメーカーの空気調和設備3Dデータをダウンロードできます。
また、ユーザーが作成した機械設備データをウェブ上で共有できるため、サポートされていないデータでもアップロードされている可能性があります。
これにより、一からそれらの3Dデータを作る必要はなく、ダウンロードして、そのままレイアウト検討に使用することができます。
また状況に合わせた機器の選定やレイアウトの変更などの対応がスムーズにできます。
配管ダクトの設計は直感的にできる
配管・ダクトは線を引くように直感的な感覚で作成が可能です。
曲げると自動でエルボが追加され、配管口径を変えればレジューサーが配置され、枝管を追加すれば分岐の継手が配置されます。
また、作成した配管を移動させたり、管径管種を変えたりとフレキシブルな編集が可能です。
配管・ダクトは単線・複線切替機能がついており、以下の図のように2D設計図から3D施工図まで対応ができます。
設計初期の大まかに物量が知りたい段階から、最終段階における施工レベルまで、ブラッシュアップしながら、一貫して活用が可能です。
BIMデータ取り込みにより躯体図に合わせた納まり検討
レブロはIFC(BIM)データの使用をサポートしており(レブロ上で建築データの作成も可能)、建築の躯体データをレブロ上に取り込むことができます。
これにより設備機器、配管、ダクト、照明などを3Dで配置し、干渉する箇所や施工上の問題点を特定できます。
天井内の納まりや梁の貫通領域など、現場の施工段階で発生する問題を予めデータ上で検討することができるので、現場での手戻りの防止や労務の削減につながります。
積算見積ができる
レブロ上の配管・ダクトデータ(他、バルブ類、ダンパ類、桝なども)は、 サイズや長さなどのデータを含んでおり、図面上のデータから集計し、 物量を把握することができます。
実際に業務上でもこのような操作を行い、 配管やダクトに単価を適用することで、積算見積を行っております。
ただし、施工場所による断熱・保護の違いにより、単価が変わってくるため’ゾーン’機能を使用して、配管の配置条件に応じて再計算を行い正確な見積作成を行っております。
建築設備CAD「レブロ」のメリット
レブロの可能性・メリットは、紹介しきれないので3点に絞り説明させていただきます。
3Dによるプレゼン効果や効率的な各種チェックが可能
なんと言っても、作図を3Dデータにて行うことができるので、直感的なイメージとしてクライアントにプレゼンが行え、また干渉や納まりを施工前にチェックが可能であることです。
上記内容でもありましたが、3Dデータを用いることによって具体的に打合せが進められ、意思決定も早くなります。
また、データ上で総合的に検討が可能なため、施工段階において発生する問題に予め解決することができ、余計な費用の削減につながります。
幅広い機能とサポート体制
機械設備に関することはもちろん、電気設備の作図、3Dモデルの建築データの取り込みや作成など総合的に作業することが可能です。
また各設備平面図も、レイヤーの表示/非表示などの機能を使い簡単に作成できます。
この場合、一つのデータ内で作業を行うため、修正などで変更した場合も、すべての設備平面図に反映されるので、修正が一回で済むことになり、省力化及び修正漏れの心配がなくなります。
他、操作設定をカスタマイズでき、(私の場合はショートカット機能をカスタマイズしてます。)よりスムーズに作業が可能です。
NYKのウェブページでは、レブロの操作方法を説明しているページや動画があり、サポート体制も万全です。
国交省による2027年BIM全面展開への対応
国交省によると2027年にはBIMによる建築確認が全国的に実施される計画となっております。
Revit、ARCHICAD、Tfasと並び、レブロも代表的なBIMソフトウエアとして挙げられており、作成したBIMモデルから確認申請図書を作成、審査機関へ提出が可能となります。
またレブロは、Catenda社のオープンBIM「Catenda hub🄬」との連携が可能です。
オープンBIMとは、クラウド上で異なるCAD間でデータ互換を行い、設計・情報の交換が可能とするシステムです。
異なるCADにはCatenda hab🄬の場合、Revit、Archicad、Tekla、Solibri、Rebroの5種類があります(2024年現在)。
具体的には、それぞれのBIMデータをクラウド上にアップして一つに組み上げ、プロジェクトに携わる全員が組み上げたBIMを見ながら問題点の洗出しや情報交換を行い、作図データをブラッシュアップする流れになります。
いままでは、会社間でデータを送り、自社のデータと組み合わせ問題点をチェックして、送り返すという手順を踏んでいましたが、オープンBIMを利用すことによりその手順を踏む必要がなくなります。
ただこのシステムは、プロジェクト毎に契約が必要となります。詳しくは下記にてご確認ください。
レブロがCatenda hubとの連携機能をリリースしたのは2023年10月のことで、普及まだまだこれからですが、大きなポテンシャルを持っていることは間違いありません。
建築設備CAD「レブロ」のデメリット
習得にある程度の時間が必要
いろいろな場面で活躍できるスペックを持っているレブロですが、業務で通用するレベルになるまでそれなりに時間がかかります。
累計時間として、30~50時間程度と想定されます。
また、細部まで詳細に作りこむ場合、どうしても時間を必要としてしまいます。
作図時間と現場の作業時間とはトレードオフの関係になり、現場の労務削減にはつながりますが、作図時間が長くなってしまいます。
ただこれはどの業界にも言えますが、作業のフロントローディングということです。
後工程は楽になるが、一番最初のデータ作成という前工程に、どうしてもしわ寄せがきてしまいます。
将来的にはデータ作成もAIなどにより自動化できれば、こういった問題も改善されると思います。
ハードに求められるスペックが高い
機器、配管、ダクト、躯体データなど様々なデータを取り込んで表示が可能ですが、 膨大なデータを取扱うため、パソコン側のスペックもそれなりのものが必要になります。
規模の大きな建築物になると、高スペックのパソコンでも動作が鈍くなることがあります。
以下にレブロの推奨パソコンスペックをまとめておきます。
- CPU Intel Core i9、Core i7、Core i5以上推奨
- メモリー 16GB以上推奨
- HDD 1.5GB以上の空き容量
- グラフィックはDirectX9が快適に動作するグラフィックボード、もしくはオンボードチップ
- ディスプレイ解像度 1,280×1,024(800)dot以上
CADにおすすめのデスクトップパソコンやノートパソコンについては以下の記事にまとめてありますので、参考にしていただければと思います。
購入およびライセンスが必要
レブロは、無料で使用できるCADではありません。
導入費用も決して安いものではなく、 ライセンス数により従量料金も変わってきます。
会社単位で利用する場合であれば問題ないですが、個人での利用はハードルが高いと思われます。
ただ、ダイキン(株)ではライセンスをシェアする導入方法も提案しており、選択肢も増えてきています。
まとめ
レブロは、建築設備設計において革新的なツールです。
その多機能性とBIM対応能力は、今後の建築業界においてますます重要になること間違いありません。
また、BIMによる建築確認も予定されていますので、早めの導入をオススメします。
デメリットは、時間とコストですが、選択肢も広がっており、ハードルも下がってきています。
まだまだ欠点もあるレブロですが、日々進化し、使いやすくなっています。是非検討してみてはいかがでしょうか?
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