2級建築士の資格取得を目指している方にとって、難易度や独学法など気になるポイントだと思います。
私は2級建築士を取得し、現在、設計事務所で設計士として働いています。
ここでは、2級建築士の試験概要、合格率や独学法などをご紹介します。また、1級建築士試験についても併せてお伝えします。
これから建築士の資格取得を検討している方はぜひご覧になってみてください。
2級建築士を取得し、設計事務所で設計士として働いている私が解説させて頂きます。
これから2級建築士を目指す人のために色々と教えてください。
2級建築士は国家資格ではないのか?1級建築士との違いは?
2級建築士は各都道府県知事から免許の交付を受ける国家資格です。
1級建築士と2級建築士では、設計できる建築物の規模が異なります。
1級建築士は構造や規模の制限なく、全ての建築物を設計することができ、2級建建築士は、戸建て住宅の設計を想定した資格で、設計できる建物の構造や規模に以下のような制限があります。
- 高さが13mかつ軒高9m以下のもの
- 木造の場合、延べ面積1000mを超えないもの(特殊建築物は500mを超えないもの)
- 鉄筋コンクリート造・鉄骨造の場合、延べ面積300mを超えないもの
このように扱う建築物が異なるため、1級建築士はハウスメーカーや工務店、大規模建築物を取扱う設計事務所やゼネコンなど幅広く活躍することができ、2級建築士はハウスメーカーや工務店、設計事務所など比較的小規模な設計業務で活躍できます。
2級建築士の難易度や合格率は?
建築士試験は学科試験と設計製図試験が行われます。学科試験に合格しなければ、製図試験を受験することができません。
1級建築士と2級建築士の学科試験内容の違い
出題形式 | 出題科目 | 出題数 | 試験時間 | |
2級建築士 | 五肢択一式 | 建築計画 | 25問 | 計3時間 |
建築法規 | 25問 | |||
建築構造 | 25問 | 計3時間 | ||
1級建築士 | 四肢択一式 | 計画 | 20問 | 計2時間 |
環境・設備 | 20問 | |||
法規 | 30問 | 1時間45分 | ||
構造 | 30問 | 計2時間45分 |
2級建築士の学科試験は5つの選択肢の中から適した答えを1つ選ぶマークシート方式となっています。
建築計画、法規、構造、施工の4項目に分かれ、それぞれの出題数と試験時間は下記の通りです。
1級建築士の学科試験は4つの選択肢の中から適した答えを1つ選ぶマークシート方式となっています。
建築計画、環境・設備、法規、構造、施工の5項目に分かれ、それぞれの出題数と試験時間は下記の通りです。
2級建築士よりも出題科目や出題数が増え、問題もより深い内容となるため、学習範囲が広くなりその分難易度が上がります。
1級建築士と2級建築士の実技試験の違い
設計製図試験はあらかじめ公表される課題の建築物について設計図を作成する実技試験となっています。
平面図や立面図など、課題で要求された図面を試験時間内に全て手書きで作成しなければなりません。
試験時間は1級建築士が6時間30分、2級建築士が5時間となっておりますが、作図量がかなり多いため、いかに効率的に製図するかが問われます。
また、建築法規も順守しなければならないなど、難易度の高い試験です。
1級建築士に関しては、計画の要点という記述形式の課題も作成しなければならないため、時間的にさらに厳しくなる内容となっています。
1級建築士と2級建築士の合格率の違い
合格率は以下の通りです。
科目 | 平成30年 | 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和3年 | |
2級建築士 | 学科 | 37.7% | 42.0% | 41.4% | 41.9% | 42.8% |
製図 | 54.9% | 46.3% | 53.1% | 48.6% | 52.5% | |
総合 | 25.5% | 22.2% | 26.4% | 23.6% | 25.0% | |
1級建築士 | 学科 | 18.3% | 22.8% | 20.7% | 15.2% | 21.0% |
製図 | 41.4% | 35.2% | 34.4% | 35.9% | 33.0% | |
総合 | 12.5% | 12.0% | 10.6% | 9.9% | 9.9% |
2級建築士は例年、約2~3割の合格率という決して簡単ではない試験となっています。
また、1級建築士となると合格率が1割とかなり少なく、難易度が非常に高い試験だということが分かります。
1級建築士と2級建築士の受験資格の違い
2級建築士の受験資格は、建築系の大学や高等専門学校、高等学校、専修学校などで指定科目を修めて卒業した方は実務経験なしで受験することができます。
建築に関する学歴のない方は実務経験が7年以上必要となります。
1級建築士の受験資格は、令和2年に制度の見直しが行われ、受験資格が変更されました。
以前は受験するために実務経験が必須でしたが、現在は建築系の学校で指定科目を修めて卒業した方や2級建築士の方などは実務経験なしで受験できるようになりました。
ただし、試験合格後すぐに1級建築士免許が貰えるのではなく、免許登録には実務経験が必要となります。
そのため、例えば大学卒業後すぐに1級建築士試験を受験+合格し、実務経験を積んで1級建築士免許の登録、このような流れで免許を取得でき、以前より受験しやすくなりました。
2級建築士を持っていることでのメリットは?
2級建築士を取得すると、収入やキャリアにおいて多くのメリットがあります。
キャリアアップ
2級建築士は国家資格であり、企業からの評価が高いため、転職や就職活動で他の希望者と差をつけられるでしょう。
また、建築業界での転職は求人の必須項目に有資格者と記載されていることも多く、資格の有無が大きく関わるため、資格を所持していれば転職活動時に有利になります。
転職するなら以下にあるような建築業界に特化した転職エージェントがおすすめです。
タイトルにはCAD/BIMオペレーターとありますが、建築士にももちろんおすすめです。
スキル+収入アップ
技術者としてさらに専門的な仕事に携わる機会も増え、より高度な案件を任されるなど技術力の向上が期待できます。
それに伴い、役職などが上がれば収入アップにもつながるでしょう。
また、資格手当などがあれば、給与面での優遇も受けられるようになります。
信頼度アップ
資格を取得すると、取引先や顧客からの信頼度も向上します。建築設計は人々の安全に大きく関わる仕事となります。
そのため、専門知識を持っていると証明できれば、取引先や顧客の安心感につながるでしょう。
2級建築士の年収、給料は?
2級建築士の取得を検討している人は、資格取得後に年収や給料がどれぐらいになるのか?気になっている人も多いと思います。
勤めている会社、年齢、仕事内容や残業時間によって年収も変わってきますが、2級建築士の平均年収は500万円程度と一般的に言われています。
会社によっては資格手当のようなものが毎月の給料にプラスされるところもあるでしょう。
ちなみに1級建築士の平均年収は800万円程度と言われています。
2級建築士の勉強方法は?働きながら独学する方法
2級建築士の勉強をするために資格学校へ通うという方が多いでしょう。
しかし、授業料は決して安いとは言えないため、独学で挑戦する方もいると思います。
私も独学で挑戦し、学科試験に1発で合格することができました。
残念ながら、1回目の製図試験では不合格となり、資格学校に通ったのち2回目に無事合格という流れでしたが、学科試験だけでも独学で受験となれば、金銭的な余裕もかなり出てくると思います。
学科試験に関しては独学でも十分挑める試験ですので、今回紹介する勉強法をぜひ試してみてください。
学科試験の勉強方法
学科試験は過去問をいかに解くかが重要となってきます。
問題を見ていただくと、毎年似たような問題が多く出題されることが分かると思います。
もちろん新しい傾向の問題や時代に沿った問題(省エネルギーに関してなど)も出題されますが、そこまで多くはありません。
過去に出題された問題を確実に覚えておけば、合格点を取ることができます。
解説付きの過去問題集を購入し、最低でも5年分の過去問を5回は解いてみてください。
何度も間違える問題は覚えるまで解き、過去問をほぼ100%覚えるくらい繰り返してみましょう。
余裕がある方はさらにさかのぼって問題を解いたり、模試問題をといてみたりなど学習範囲を広げてみてください。
そこまで勉強しきれば、合格できる可能性は非常に高いです。
今は以下のようなスタディングの建築士講座があり、スマホでスキマ時間を使って勉強もできます。
過去問を繰り返し解くのに活用したり、実技試験についても学べるのでこれを使うのもおすすめです。
講座は1級、2級の両方ともあります。
製図試験の勉強方法
製図試験は独学ではかなり難しい試験です。
実際に図面を描いてみるとよくわかりますが、時間的にとても厳しく、効率よく図面を仕上げるにはかなりの練習量が必要となります。
また、仕上げた図面が法律違反をしていたら、失格となってしまいます。
そのため、建築を熟知した設計士の方に採点してもらうことがとても重要となってきます。
そういった方が周りにいる場合は独学で挑戦してみるのも良いと思います。
製図試験は法律違反、未完成の状態だと即失格です。
しかし、法律を守り、時間内に図面を完成させれば受かる確率が高い試験です。
課題に関連してくる法規を覚え、何枚も図面を描き時間内に完成できるよう練習していきましょう。
まとめ
2級建築士の資格は難しくて自分には無理なのではないか、と不安に思う方もいると思います。
しかし、諦めずに勉強すれば必ず取れる資格です。
学業や仕事との両立なども大変だと思いますが、2級建築士を取得できれば自分の自信にもつながると思います。
ぜひ今回ご紹介した勉強法などを参考に挑戦してみてください!
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